埼玉県四半期経営動向調査(令和7年1~3月期)
埼玉県では、県内中小企業2,200社を対象に四半期ごとに経営動向調査を実施しています。このほど、令和7年1~3月期(調査日:令和7年3月1日時点)の調査結果を取りまとめました。
今回は、景況感等に関する定例の調査に加えて、「価格転嫁」、「最低賃金の引上げ」及び「外国人材の雇用」についても調査しました。
調査結果のポイント
県内中小企業の景況感
県内中小企業の景況感は、持ち直している。
先行きについては、改善の動きがみられる。
アンケート結果
- 景況感DI*は、▲40.8と、前期比で2.8ポイント減少し、3期ぶりに悪化した。
*調査対象企業に自社が属する業界の景況感を調査し、「好況である」と回答した企業割合から「不況である」と回答した企業割合を差し引いた指数。
- 業種別では、製造業、非製造業ともに3期ぶりに悪化した。
- 製造業では「化学工業」「電気機械器具」等の6業種が改善し、「食料品製造」「印刷業」等の6業種は悪化した。
非製造業では「情報サービス業」「建設業」の2業種が改善、「サービス業」は横ばいに推移し、「運輸業」「卸売・小売業」等の4業種は悪化した。
- 売上げDIは2期ぶりに悪化、資金繰りDIは2期連続改善、採算DIは4期ぶりに悪化した。また、設備投資実施率は3期ぶりに減少した。
- 来期(4~6月期)の先行きDIは、▲17.4と、2期ぶりに改善した。
景況感DIの推移
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当期DI
(R7.1-3)
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前期比
(R6.10-12)
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前年同期比
(R6.1-3)
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来期見通しDI
(R7.4-6の見通し)
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前期比
(R7.1-3の見通し)
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全体 |
-40.8 |
-2.8 |
+0.2 |
-17.4 |
+0.3 |
製造業 |
-46.9 |
-3.0
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0.0 |
-18.8 |
-2.2 |
非製造業 |
-36.1 |
-2.6 |
+0.3 |
-16.4 |
+2.2 |
ヒアリング企業の声
- 業界の景気について、企業からは、「大手ゼネコンからの受注や新たな調査機器の開発依頼が増えており、好況である。」(一般機械器具)、「原材料費や光熱費高騰の影響が大きく、不況である。」(商店街)、「需要は旺盛だが、人手不足で受注を増やせない状況が続く。」(旅行業)などの声が聞かれた。
- 先行きについては、「米国による関税政策やそれに伴う米中貿易戦争等への懸念から、不透明感が強い。」(金属製品)、「生産性向上が図れており、今後徐々に良い方向に向かっていくとみている。」(食料品製造)などの声が聞かれた。
特別調査結果
価格転嫁について
- 発注側企業と十分に価格交渉(相談)ができていると回答した企業の割合は52.4%で、前回調査(令和6年7~9月期)と同程度であった。一方、十分にできていないと回答した企業の割合は30.5%で、前回調査から1.0ポイント増加した。
- コスト高騰に対して6割以上転嫁できていると回答した企業の割合は54.0%で、前回調査から2.1ポイント増加した。一方、価格転嫁が全くできていないと回答した企業の割合は11.2%で、前回調査と同程度であった。
- 「パートナーシップ構築宣言」の登録については、「既に登録している」、「今後登録する予定」、「登録しようか検討している」を合わせた回答割合は31.7%で、前回調査から1.9ポイント増加した。
最低賃金の引上げについて
- 今回の最低賃金引上げに伴う自社の賃金の引上げ状況については、「最低賃金は上回っていたので、賃金は引き上げていない」(33.8%)が最も多く、次いで「最低賃金を上回っていたが、賃金を引き上げた」(31.3%)、「新たな最低賃金を下回っていたので、最低賃金額まで賃金を引き上げた」(14.7%)の順となった。
- 今回の最低賃金引上げによる人件費上昇への対応策については、「生産性の向上」(35.5%)が最も多く、次いで「価格転嫁」(33.2%)、「経費削減」(32.1%)の順となった。
- 今回の最低賃金引上げによる経営への影響については、「多少は負担になっている」(38.9%)が最も多く、次いで「負担になっていない」(23.4%)、「大いに負担になっている」(20.1%)、「どちらとも言えない」(17.6%)の順となった。
外国人材の雇用について
- 外国人材の雇用状況について、在留資格別に聞いたところ、「技能実習」(6.3%)が最も多く、次いで「特定技能」(5.8%)、「その他(永住者・定住者・日本人の配偶者等)」(5.1%)の順となった。
- 外国人材を雇用したい理由については、「人手不足への対応」(90.0%)が最も多く、次いで「専門的知識、技術を有する人材の確保」(19.2%)、「海外進出、展開」(9.2%)の順となった。
- 外国人材の雇用に関する課題については、「外国の文化や生活慣習などへの理解が必要」(38.6%)が最も多く、次いで「日本語の支援(受入側での日本語教育等)(34.0%)、「在留資格申請等の手続が煩雑」(32.2%)の順となった。
報告書
アンケート調査集計表(Excel形式)
時系列データ(Excel形式)