埼玉県四半期経営動向調査(令和5年7~9月期)
埼玉県は、県内中小企業2,200社を対象に四半期ごとに経営動向調査を実施しています。このほど、令和5年7~9月期(調査日:令和5年9月1日時点)の調査結果を取りまとめました。
今回は、景況感等に関する定例の調査に加えて、「価格転嫁」、「経営上の課題と行政に望む支援策」、「SDGsの認知・取組状況」についても調査しました。
調査結果のポイント
県内中小企業の景況感
県内中小企業の景況感は、持ち直しの動きがみられる
先行きについては改善の動きがみられる
アンケート結果
- 景況感DI*は、▲40.8と、前期比で1.8ポイント減少し、2期ぶりに悪化した。
*調査対象企業に自社が属する業界の景況感を調査。「好況である」-「不況である」の企業割合。
- 製造業は2期ぶりに悪化し、非製造業は2期連続改善した。
- 製造業では「金属製品」が改善し、「プラスチック製品」が横ばい、それ以外の10業種は悪化した。非製造業では「建設業」「卸売・小売業」「不動産業」が改善し、それ以外の4業種は悪化した。
- 売上げDI、資金繰りDI及び採算DIは2期ぶりに悪化し、設備投資実施率は20.4%で、3期ぶりに増加した。
- 10~12月期の先行きDIは、▲11.2と、3期連続改善した。
景況感DIの推移
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当期DI
(R5.7-9)
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前期比
(R5.4-6)
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前年同期比
(R4.7-9)
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来期見通しDI
(R5.10-12の見通し)
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前期比[前回調査]
(R5.7-9の見通し)
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全体 |
▲40.8 |
1.8 |
+9.4 |
▲11.2 |
+0.2 |
製造業 |
▲47.3 |
6.8 |
+1.7 |
▲8.1 |
+2.9 |
非製造業 |
▲36.0 |
+1.9 |
+15.2 |
▲13.6 |
1.8 |
ヒアリング企業の声
- 業界の景気について、企業からは「中国経済の減速の影響を受けて関連する受注が落ち込んでおり不況である。」(一般機械器具)、「半導体不足が解消された影響もあり各メーカーからの受注が改善しており好況である。」(輸送用機械器具)、「工事の引き合いは堅調だが、受注価格で折り合わないことも多く、どちらとも言えない。」(建設業)などの声が聞かれた。
- 先行きについては、「生産回復により今後注文が増えるとの話も聞くが、現状定かではない。」(輸送用機械器具)、「足元で堅調な需要が物価高で今後落ち込む懸念もある。人手不足も当面続く。」(食料品製造)、「観光需要の回復により、引き続き良い方向に向かうとみている。」(旅行業)などの声が聞かれた。
特別調査結果
価格転嫁について
- コスト高騰に対して6割以上転嫁できている企業の割合は45.1%であった。一方、「全くできていない」と回答した企業の割合は17.4%であった。
- 「パートナーシップ構築宣言」の登録については、「既に登録している」(6.1%)、「今後登録する予定」(4.9%)、「登録しようか検討している」(23.3%)を合わせた回答割合は34.4%であった。
経営上の課題と行政に望む支援策
- 経営上の課題については、「原材料・燃料価格の高騰」(57.2%)が最も多く、次いで「人材の不足」(45.9%)、「売上の停滞・減少」(45.1%)、「コスト上昇分の価格転嫁」(30.2%)の順となった。
- 行政に望む支援策については、「人材確保、従業員の能力開発支援」(39.8%)が最も多く、次いで「事業展開や資金繰りに必要な金融支援」(28.0%)、「販路開拓、受注機会の確保支援(ビジネスマッチング)」(20.7%)、「コスト上昇分の価格転嫁への支援(相談窓口等)」(19.0%)の順となった。
SDGsの認知・取組状況について
- SDGsの認知度は92.7%で、前回調査(令和4年7~9月期)から3.6ポイント増加した。「SDGs について既に取り組んでいる」の回答割合は19.8%で、前回調査から5.3ポイント増加した。
- SDGsに取り組むに当たっての課題は、「資金的余裕がない」(30.7%)が最も多く、次いで「より優先すべき課題がある」(28.8%)、「社内の認知度・理解度がまだ低い」(28.0%)の順となった。
報告書
アンケート調査集計表(Excel形式、csv形式)
時系列データ(Excel形式、csv形式)