埼玉県四半期経営動向調査(令和6年1~3月期)
埼玉県は、県内中小企業2,200社を対象に四半期ごとに経営動向調査を実施しています。このほど、令和6年1~3月期(調査日:令和6年3月1日時点)の調査結果を取りまとめました。
今回は、景況感等に関する定例の調査に加えて、「価格転嫁」、「最低賃金の引上げ」、「サーキュラーエコノミー」、「支援情報の取得手段」についても調査しました。
調査結果のポイント
県内中小企業の景況感
県内中小企業の景況感は、持ち直しの動きがみられる。
先行きについては改善の動きがみられるものの、一部に不透明感がみられる。
アンケート結果
- 景況感DI*は、▲41.0と、前期比で0.9ポイント増加し、3期ぶりに改善した。
*調査対象企業に自社が属する業界の景況感を調査。「好況である」-「不況である」の企業割合。
- 製造業は2期ぶりに悪化し、非製造業は2期ぶりに改善した。
- 製造業では「繊維工業」「家具・装備品」「印刷業」「プラスチック製品」「鉄鋼業・非鉄金属」が改善し、それ以外の7業種は悪化した。非製造業では「卸売・小売業」「サービス業」が悪化し、それ以外の5業種は改善した。
- 売上げDI、資金繰りDI及び採算DIは2期ぶりに悪化し、設備投資実施率は2期ぶりに増加した。
- 4~6月期の先行きDIは、▲11.9と、2期ぶりに改善した。
景況感DIの推移
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当期DI
(R6.1-3)
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前期比
(R5.10-12)
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前年同期比
(R5.1-3)
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来期見通しDI
(R6.4-6の見通し)
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前期比[前回調査]
(R6.1-3の見通し)
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全体 |
-41.0 |
+0.9 |
+6.1 |
-11.9 |
+5.8 |
製造業 |
-46.9 |
-2.4
|
+2.4 |
-12.1 |
+6.0 |
非製造業 |
-36.4 |
+3.6 |
+9.0 |
-11.7 |
+5.6 |
ヒアリング企業の声
- 業界の景気について、企業からは、「自動車関連の受注が弱含む一方、新しい分野の受注が堅調。景況感は普通である。」(輸送用機械器具)、「売上は堅調だが原材料や人件費の上昇分を賄えていない。景況感は普通である。」(食料品製造)、「巣ごもり消費の特需が無くなった中でも売上げが増加しており、好況である。」(スーパー)などの声が聞かれた。
- 先行きについては、「半導体市況はまだ底を打ってない。回復は今年の後半以降になるのではないか。」(一般機械器具)、「原材料費や人件費に加え、物流費も上昇する見込みであり、先行きは不透明である。」(食料品製造)、「引き続き企業、学校等からの問い合わせが多く、良い方向に向かうとみている。」(旅行業)などの声が聞かれた。
特別調査結果
価格転嫁について
- 発注側企業と十分に価格交渉(相談)ができていると回答した企業の割合は46.9%で、前回調査(令和5年7~9月期)から2.2ポイント増加した。一方、十分にできていないと回答した企業の割合は39.9%で、前回調査から1.1ポイント減少した。
- コスト高騰に対して6割以上転嫁できていると回答した企業の割合は47.4%で、前回調査から2.3ポイント増加した。一方、価格転嫁が全くできていないと回答した企業の割合は15.5%で、前回調査から1.9ポイント減少した。
- 「パートナーシップ構築宣言」の登録については、「既に登録している」、「今後登録する予定」、「登録しようか検討している」を合わせた回答割合は36.7%で、前回調査から2.4ポイント増加した。
最低賃金の引上げについて
- 今回の最低賃金引上げに伴う自社の賃金の引上げ状況については、「最低賃金は上回っていたので、賃金は引き上げていない」(35.9%)が最も多く、次いで「最低賃金を上回っていたが、賃金を引き上げた」(27.7%)、「新たな最低賃金額を下回っていたので、最低賃金額を超えて賃金を引き上げた」(14.4%)の順となった。
- 今回の最低賃金引上げによる人件費上昇への対応策については、「生産性の向上」(38.0%)が最も多く、次いで「経費削減」(36.1%)、「価格転嫁」(34.1%)の順となった。
- 今回の最低賃金引上げによる経営への影響については、「多少は負担になっている」(40.7%)が最も多く、次いで「大いに負担となっている」(22.9%)、「負担になっていない」(18.6%)、「どちらとも言えない」(17.9%)の順となった。
サーキュラーエコノミーについて
- サーキュラーエコノミーについて、「聞いたことがあり、内容も理解している」と回答した企業の割合は5.3%、「聞いたことはあるが、内容は分からない」は21.3%、「聞いたことがない」は73.4%であった。
- サーキュラーエコノミーについて、「取り組んでいる」と回答した企業の割合は4.1%、「関心はあるが取組に至っていない」が12.2%、「関心がない」が20.1%、「分からない」が63.7%であった。
- 取り組んでいる内容又は関心がある内容については、「廃棄物の削減・リサイクルの徹底」(58.1%)が最も多く、次いで「生産工程の最適化による生産ロスの削減や端材・副産物の活用」(41.9%)、「自社における、リースやシェアリング、中古品の活用」(26.3%)の順となった。
支援情報の取得手段について
- 補助金やセミナーなどの支援情報を得る際の手段については、「商工会・商工会議所(広報誌・経営指導員等)」(44.3%)が最も多く、次いで「取引金融機関」(30.6%)、「税理士等のコンサルタント」(25.8%)の順となった。
報告書
アンケート調査集計表(Excel形式、csv形式)
時系列データ(Excel形式、csv形式)