埼玉県四半期経営動向調査(令和5年1~3月期)
埼玉県は、県内中小企業2,200社を対象に四半期ごとに経営動向調査を実施しています。このほど、令和5年1~3月期(調査日:令和5年3月1日時点)の調査結果を取りまとめました。
今回は、景況感等に関する定例の調査に加えて、「新型コロナウイルス感染症の影響」、「事業継続計画(BCP)の策定」、「最低賃金の引上げ」についても調査しました。
調査結果のポイント
県内中小企業の景況感
県内中小企業の景況感は、持ち直しの動きがみられる
先行きについては改善の動きがみられる
アンケート結果
- 景況感DI*は、▲47.1と、前期比で2.1ポイント減少し、2期ぶりに悪化した。
*調査対象企業に自社が属する業界の景況感を調査。「好況である」-「不況である」の企業割合。
- 製造業は4期ぶりに悪化し、非製造業は2期ぶりに悪化した。
- 製造業では「家具・装備品」「輸送用機械器具」の2業種が改善し、それ以外の10業種は悪化した。非製造業では「情報サービス業」「運輸業」「サービス業」の3業種が悪化し、それ以外の4業種は改善した。
- 売上げDI、資金繰りDI及び採算DIは2期ぶりに悪化し、設備投資実施率は前期と同水準だった。
- 4~6月期の先行きDIは、▲15.7と、3期ぶりに改善した。
景況感DIの推移
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当期DI
(R5.1-3)
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前期比
(R4.10-12)
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前年同期比
(R4.1-3)
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来期見通しDI
(R5.4-6の見通し)
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前期比[前回調査]
(R5.1-3の見通し)
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全体 |
▲47.1 |
▲2.1 |
+7.4 |
▲15.7 |
+7.6 |
製造業 |
▲49.3 |
▲4.6 |
+2.3 |
▲17.3 |
+6.2 |
非製造業 |
▲45.4 |
▲0.3 |
+11.3 |
▲14.5 |
+8.7 |
ヒアリング企業の声
- 業界の景気について、企業からは「半導体関連の売上高、受注高ともに落ちており、不況である。」(一般機械器具)、「売上高は回復しているが、原材料費が高騰しており、景況感は普通である。」(食料品製造)、「行動制限の緩和で化粧品、バッグの売上が好調に推移しており、好況である。」(百貨店)などの声が聞かれた。
- 先行きについては、「自動車の生産回復は時間を要するが、新規取引が増えており、良い方向に向かう。」(輸送用機械器具)、「受注は回復しているが、卵不足の長期化懸念があり、どちらともいえない。」(食料品製造)、「観光客はこれから本格的に戻ってくる見通しであり、良い方向に向かうとみている。」(商店街)などの声が聞かれた。
特別調査結果
新型コロナウイルス感染症の影響について
- 新型コロナウイルス感染症の経営への影響について、「マイナスの影響が続いている」の回答割合が42.6%で、前回調査(令和4年10~12月期)から5.0ポイント減少した。
- 「影響はあったが、既にコロナ前の水準に回復」の回答割合は21.8%で、前回調査から7.5ポイント増加した。
事業継続計画(BCP)の策定について
- 事業継続計画(BCP)について、「策定済み」と「策定中」を合わせた回答割合は13.9%で、前回調査(平成31年1~3月期)から0.9ポイント増加した。
- 事業継続計画(BCP)について、「策定する予定はない」と回答した企業の割合は38.8%であった。策定しない理由は、「具体的な策定方法が分からない」(36.9%)が最も多く、次いで「人的余裕がない」(34.7%)、「資金的余裕がない」(28.3%)、「より優先すべき課題がある」(27.3%)の順となった。
最低賃金の引上げについて
- 今回(※)の最低賃金引上げに伴う自社における賃金の引上げ状況については、全体では「最低賃金は上回っていたので、賃金は引き上げていない」(45.1%)が最も多く、次いで「最低賃金を上回っていたが、賃金を引き上げた」(22.2%)、「新たな最低賃金額を下回っていたので、最低賃金額まで賃金を引き上げた」(13.5%)の順となった。
※令和4年10月1日から県内最低賃金が987円に引き上げられた。
- 今回の最低賃金引上げによる人件費上昇への対応策については、全体では「生産性の向上」(40.8%)が最も多く、次いで「価格転嫁」(36.3%)、「時間外、休日労働の削減」(22.5%)の順となった。
- 今回の最低賃金引上げによる経営への影響については、全体では「多少は負担になっている」(37.1%)が最も多く、次いで「大いに負担となっている」(21.9%)、「どちらとも言えない」(20.6%)、「負担になっていない」(20.4%)の順となった。
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