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掲載日:2019年7月12日
Q 吉良英敏 議員(自民)
埼玉県は、年に2億円以上かけて県学力調査を4年間実施してきました。以前、岡田議員にも取り上げていただきましたこの県学力調査、これは児童生徒一人ひとりの学力の伸びを測れるメリットがあります。そして、伸びの大きいクラスを特定して、担当の教員の効果的な指導方法を抽出して全県で共有することができるそうです。しかし、これは同時に、先生の能力を測る一つの指標になっています。先生や学校こそ総合的に評価されなければならないのに、調査結果が現場に強烈な影響を与えているのも事実です。様々な現場の声を聞いてみると、それによる教師の点数化、学校の点数化が負担となり、先生も児童も4月の試験対策に追われているという声も聞こえてきます。
そこで、質問をいたします。調査の目的と効果は理解はいたしますけれども、一方で、現場にどのような影響教育を及ぼしているのか把握されているのでしょうか。また、教員や学校へのバランスのとれた評価はどのようにされているのでしょうか。そして、このような負担に対し具体的にどのように対応していくのか、教育長の見解を伺います。
次に、現場の負担といえば、小学校の英語の必修化であります。来年度から学習指導要領の改訂で英語が教科化され、小学校3年生・4年生は年間35時間、5年生・6年生は70時間導入されます。しかし、まず心配なのは、小学校には英語の専門の先生はいないということです。では、誰が教えるのか。そのときの担任の先生です。ちなみに、小学校の教員の試験には英語指導の科目がありません。本当に英語が教えられるのか。
さらに、この英語が負担となっている理由として、どこの授業も削っていないということです。小学生に1日7時間授業は大変だろうということで、朝や昼に数分ずつ分散させたり、総合学習の時間なら削ってもいいということになっている。もはや総合は何でもありです。
今年の予算では、教員の英語指導力の養成ということで、各小学校から1名を研修、700人対象、1,000万円の予算、むしろこの規模の準備で大丈夫かと思いますが、既に授業は始められています。県はALTやボランティアスタッフを十分に配置するから大丈夫だと言いますが、現場の声を聞くと一様に足りないと言われます。
そこで、質問します。教員の英語指導力、ALT、ボランティアスタッフの配置、現状と照らし合わせ、現場の環境がどこまで整っているのか明確に教えてください。そして、英語教科化による教員負担の認識と対策を伺います。
A 小松弥生 教育長
まず、「埼玉県学力・学習状況調査が、現場にどのような影響を及ぼしているか実態を把握しているのか」についてでございます。
本調査は、子供一人ひとりの学力の伸びを把握しやる気を引き出すとともに、その調査結果から学校や学級の効果的な取組を明らかにし、指導に生かしていくことを目的としております。
県では、指導主事が直接学校に出向き、調査の目的や活用方法について説明するとともに、アンケートを取るなどして、実態を把握しております。
本調査を活用した学力向上の取組が浸透してきている一方、中には、御指摘のように学校や教員の比較につながるのではないかという心配の声もございます。
そうした声に対しては、本調査は、教員間でよい取組を共有し、学校全体の指導力向上を図るものであり、個々の教員の評価に使うものではないということを丁寧に説明しております。
次に、「教員や学校へのバランスの取れた評価はどのように行われているのか」についてでございます。
調査結果から学力を伸ばした教員は分かりますが、各学校には授業の他にも、生徒指導で力を発揮する教員、子供との関わりが得意な教員など様々な持ち味のある教員がおります。
そうした個々の教員の良さや各学校の特色を生かした学校運営をはじめ、教育活動全般を捉えて、学校は内外の関係者から評価されているものと認識しております。
次に、「このような負担に対し、具体的にどのように対応していくのか」についてでございます。
学校現場において、本調査の目的や活用方法などの正しい理解が進み、議員お話のような負担を感じることなく調査が活用されるよう、今後も引き続き、丁寧に説明をしてまいります。
次に「英語教育の現場の環境がどこまで整っているのか」についてでございます。
県では、これまで国の中央研修を受講した教員を講師として英語教育中核教員養成研修を実施し、各地域における英語指導の中核として活躍が期待される教員を、5年間で約300人育成してまいりました。
また、新学習指導要領に対応するため、小学校教員の英語の指導力を高める講座を、昨年度から実施しており、2年間で約1,400人が受講することになります。
この講座は、さいたま市を除く県内の全公立小学校の教員が各校から2名ずつ参加することで、校内研修により全教員に伝わるようにしております。
また、平成29年度の国の調査では、県内の公立小学校5・6年生の外国語活動のうち、およそ90%の授業でALT等が活用されており、ICT機器は全ての小学校で活用されております。
次に、「英語教科化による教員負担の認識と対策について」でございます。
新学習指導要領では、英語教育の時間が増加したことで、小学校の3年生から6年生で、現行の学習指導要領と比べて、週1時間分授業が増えることになります。
そのため、研修の実施や、英語を専門に指導する教員の活用促進、教科担任制の導入を進めることにより、教員の負担をできる限り軽減できるよう引き続き取り組んでまいります。
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