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掲載日:2019年7月12日

令和元年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(吉良英敏議員)

これからの学校の在り方について

Q   吉良英敏   議員(自民

埼玉県の小中学校では、働き改革の一環で午後6時前後から留守電体制が進んでいます。すなわち先生はもう夕方学校にいないんです。既に県内2割の市町村で導入済み、これから全県に広がる予定であります。苦情はない、緊急時にはしっかり対応する。聞くとそんな答えは返ってきます。現在の学校には例えばスクールカウンセラー、ソーシャルワーカー、支援員、相談員、様々な人が学校を支援し、教員を支えています。さらに最近では部活指導員、スクール・サポート・スタッフも取り入れています。これは学校の変わらぬ役割と責任を果たすために、こうした新たな支援体制を築いてきた。これは重要なことだと思います。しかし、留守電となると、これは学校そのものの在り方が変わるのではないかと思うんです。
これからの学校をどのようにしていくのか、近年、学校と地域が一体となって運営し、盛り上げるコミュニティスクールが話題です。国の努力義務規定ではございますが、今年埼玉県は400校以上に拡大する見込み。学校外の様々な協力で教員の負担も軽減されるものと期待しております。しかし、今後の計画では5カ年で650校にするという目標数。それは全体の6割程度であり、非常に中途半端に感じます。
なぜ全ての学校でやる目標でないのか、努力義務だからですか。まず、これを教育長に伺いたいと思います。
こちらを御覧ください。私のうちです。これは、私が地域の方々と運営している小学生対象のきらきら☆こども塾の風景です。大学生が小学生に科学の授業をしています。次に、こちら。車に自由に色を塗るアートの授業です。ちなみに、この車は私の街宣車です。おかげで乗れなくなりました。全く意味のない作業。しかし、後で子供たちの日記を見ると、これが一番楽しかったと言うんです。しかも、よく見てください。この車にはプロペラがついています。
どうでもいい話と思うかもしれませんが、子供たちは真剣な顔をしてこう聞いてくるんです。「先生、これ本当に飛べるのか」、「飛べるはずないだろう」。ただ、子供たちに飛べるようにしてほしいと言うんです。この塾には物理を教えて、あるいは科学や数学の大切さ、さらには英語の必要性を肌で実感させる、そんなプログラムを作っています。
正に興味はつながり、そしておもしろさを教えます。そして、このこども塾、公共機関などはチラシ一枚も置いてくれません。しかしながら、ネットの申込み、開始数時間でいっぱいになる。とても人気があるんです。学校以外で完全にやり切るプログラムです。コミュニティスクールでもこのような取組できるのではないか、私は大きな期待をしています。
話を戻します。本気でコミュニティスクールを拡大させるのであれば、例えば夕方や土日をはじめもっと学校を開放すべきだと私は思っています。しかし、実際には留守電の閉店ガラガラ、やっていることがある意味正反対に思えるんです。コミュニティスクールのこの拡大方針の一方で、この留守電体制、この二つの整合性について、教育長にお伺いをいたします。
さて、先生が生徒を評価する、これはよくある話です。でも、逆に生徒児童が学校を評価している事例を御紹介いたします。現代の小学生は8割の子が習い事に通っています。学習塾に限って言えば45.8%、小学生の約半分は学校以外でも勉強しています。そんな塾に通う子供たちにベネッセ教育総合研究所が意識調査をしました。授業の分かりやすさ、満足度はいずれも塾のほうが高い。しかし、学校が上回っている項目が一つだけありました。何だと思いますか。「生徒児童の話を聞いてくれるのは学校か塾か」、こういった項目です。学校が塾に唯一勝っているものでした。
皆さん、埼玉県内の子供を取り巻く環境はどうでしょうか。児童虐待通報件数は11年連続で過去最多、児相はいっぱい、里親も足りない、いじめ、自殺。近年、自殺が減ったと言われておりますけれども、子供たちの自殺は減っていないですからね。10代が一番多い。そして不登校、どれだけ増えているか。そんなときに、帰っちゃうんですか、通じなくなっちゃうんでしょうか。子供たちの声聞こえていますか。
しかし、ここまで言って申し上げるのもなんですが、私は決して留守電に反対しているわけではないです。こちらのパネルを御覧ください。子供たちを育む環境を分かりやすく図にしたものです。学校と家庭の重なったところがPTA、学校と地域が重なったところがコミュニティスクールとなるでしょう。そしてこちら。そして、これが現在の状況を踏まえた図です。留守電で学校の範囲は縮小、家庭も核家族化で縮小、地域の部分は学童、あるいは子ども食堂、あるいは私の塾のような学校外の教育活動で大きくなっている。むしろ近年は、私は学校は大き過ぎた、任せ過ぎていたんじゃないかなとも思います。いずれにせよ、総体的にバランスよく子供たちを支えられればいいと思うんです。
さらに話を進めます。県は、教員を増強して今までの学校の役割を果たそうとするのか、もしくは教員を増強せず学校の役割を縮小させるのか。例えば、こういう見方からすると県の立場は前者だと思うんです。なぜなら教育長は、教員の増員に対して「国に要望していく」とおっしゃっています。しかし、ここで問題なのは、国へ要望するということは何もしないということ。やるというのは、自分たちの県の予算で教員を増やすということ。
そこで、質問に入ります。
一つ目、これまで教育長は、教員の増員に対して強く国へ要望すると言い続けてこられました。どれぐらいの効果がこれまであったのか、前進したことはあるのか伺います。
そして二つ目、県の予算で教員を増員しない理由を伺います。
そして三つ目、教育長は、これまでも、これからも学校の役割は変わらない、そうおっしゃいます。しかし、増員もできない、留守電もするでは、これからの学校の役割と責任を果たすことはできないと思うんです。教育長はどのようにこれを果たしていくのか。覚悟とか熱意とかそういうのではなく、具体的に考え方と政策をお示しください。

A   小松弥生   教育長

まず、「なぜ、すべての学校でコミュニティ・スクールを設置する目標ではないのか」についてでございます。
コミュニティ・スクールは、学校運営協議会を設置することで、学校と地域が目標を共有し、課題を解決していく上で有効な仕組みでございます。
これまで、県では、コミュニティ・スクールの推進のため、研修会を開催するなど、市町村教育委員会に働き掛けてまいりました。
段階的な目標として、埼玉県5か年計画では令和3年度に約3割に当たる300校、第3期埼玉県教育振興基本計画では令和5年度に約6割に当たる650校としております。
最終的には全校への導入を目指すため、市町村に対して引き続き働き掛けてまいります。
次に、「コミュニティ・スクールの拡大方針の一方で、留守番電話を導入することの整合性について」でございます。
留守番電話の導入は、緊急以外の用件は、勤務時間を少し超える一定時間内での対応とさせていただき、教員が本来行うべき授業準備や、学級運営のための事務等の時間を確保するためのものでございます。
もちろん、緊急を要する内容につきましては、市町村教育委員会や学校長に連絡が取れる仕組みになっておりますし、学校の役割の範囲を縮小するものではございません。
留守番電話の導入に当たりましては、保護者や地域にその趣旨を十分理解していただくよう説明する必要がございます。
コミュニティ・スクールの仕組みの中で、教員の働き方改革について協議していただくこともあろうかと存じます。
より充実した教育活動を目指す教員の働き方改革の一方策である留守電と、保護者、地域住民の意見を学校運営に反映させるコミュニティ・スクールの取組とは十分整合性をもって行われるものと考えております。
次に、「教員の増員について国へ要望し、どれくらいの効果があったのか」についてでございます。
教員の増員につきましては、本県をはじめとする多くの自治体から毎年度、繰り返し要望を行っております。
財政的視点のみから見ると、子どもの数が減っているので、教員は減らされる一方であるからです。
これらの要望を受け、平成29年には、通級による指導や日本語指導に対応する教員を、安定的・計画的に確保できるよう、いわゆる義務標準法の改正が行われました。
また、本県の教員一人当たりの児童数を見ても、10年前の平成20年度に小学校で20.3人でございましたが、平成30年度では、18.0人と2.3人減少しております。
次に、「県の予算で力強く教員を増員しない理由」についてでございます。
県では、独自の取組として、いわゆる小1プロブレムへの対応や、初任者研修に参加する教員に代わって授業を行う非常勤講師などを配置しております。
しかし、教員を将来にわたって、安定的に任用していくためには、県の単年度予算ではなく、法に基づいた国の財源措置が必要と考えております。
今後も、引き続き教員の増員について国へ要望してまいります。
次に、「学校の役割と責任をどのように果たしていくのか」についてでございます。
現在、教育改革の大きな柱として、教員の働き方改革と、社会に開かれた教育課程及び学校運営の二つがございます。
留守電を含む教員の働き方改革は、教員や学校の役割を後退させるものではなく、教員や子供たちにとって、重要な資源である時間を、最も効果的に配分するためのものです。
その中で、学校と社会との連携を重視、強化するということで二つの柱は密接に関係しております。
教員の専門性で足りない部分については、スクールソーシャルワーカーなど、専門的な知識を持つ人材を配置し、チーム学校としての協働体制に努めてまいります。
また、教員の負担軽減をするためのサポートスタッフや、部活動指導員の配置も進めてまいります。
学校の様々な取組については、コミュニティ・スクールや学校応援団など、保護者や地域の理解と協力を得ながら行っていくことが必要です。
社会に開かれた教育課程の実施のためには、地域の教育資源、人的・物的資源様々ございますが、それらを活用して、実社会で役に立つという実感を持てる教育活動を充実させてまいります。
学校がしっかりとその役割を果たせるよう、このように支援をしてまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。  

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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