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掲載日:2022年12月8日
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限られた研究資源で、効率的かつ効果的な研究開発を実施するために、研究課題の評価(以下「課題評価」という)を実施しています。課題評価において適切な助言を得ることで、研究員の創造性が十分に発揮できるように活用するものです。
ここでは、課題評価の透明性を高めるとともに、試験研究について多くのかたに知っていただくために、ホームページで公開いたします。
当研究室では、「埼玉県農林水産試験研究機関研究課題評価実施要領(平成27年4月1日最終改正)」に基づき、厳正かつ公平性、客観性を確保するため課題評価を行う組織として、外部の有識者等で構成する研究等評価委員会(以下「評価委員会」という)を設置しています。令和4年10月11日に評価委員会を開催しました。
令和4年度の評価委員会構成は、以下の3名です。
氏名 |
現職等 |
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後藤 晋 | 東京大学大学院農学生命科学研究科 付属演習林教育研究センター 准教授 |
原口 雅人 | 埼玉県中央部森林組合 森林管理アドバイザー |
永沢 晴雄 | 埼玉県山林種苗協同組合 前理事 |
※所属は、令和4年10月現在のものです。(敬称略)
評価委員会で行う課題評価には、下記の3つがあり、このホームページで公開するのは、令和3年度に終了した研究課題を対象にした「事後評価」です。
事前評価 |
新たに実施する研究課題について、県民ニーズなど農林水産行政からみた緊急性や重要性、本県農林水産業への貢献の可能性、技術的な達成の可能性等、多様な観点から、課題化の妥当性を評価します。 |
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事後評価 |
研究終了後、当該研究の成否について総括するとともに、新たな研究計画の策定等に活かすため、研究目標の達成の度合い、研究成果の波及効果、県民生活や本県農林水産業への貢献度など研究内容の全般について、総合的な観点から評価します。 |
追跡評価 |
事後評価だけではその成果が確定できないと判断された研究課題については、研究終了後一定期間経過後に、追跡評価を実施します。 |
<評価基準(事後評価)>
評価基準は「総合評価」と、「要素別の評価」があります。
評価基準表
評価基準 |
総合評価 |
A |
優れた研究成果で活用が大いに期待できる |
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---|---|---|---|---|
B |
良好な研究成果で活用が期待できる |
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C |
一部の研究成果で活用が期待できる |
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D |
不十分な研究成果で活用が期待できない |
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評価の要素 |
目標達成度 |
a |
大いに認められる |
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b |
認められる |
|||
c |
やや欠ける |
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d |
認められない |
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活用見込み |
a |
大いに認められる |
||
b |
認められる |
|||
c |
やや欠ける |
|||
d |
認められない |
研究課題名 |
スギミニチュア採種園における効率的な種子生産技術の確立 |
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---|---|---|
研究担当 |
育種・森林資源担当 |
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研究期間 |
平成29~令和3年度 |
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研究概要 |
(1) 少花粉ミニチュア採種園の管理手法の検討 寄居林業事務所上の原採種園においてスギミニチュア採種園を構成するクローンの種子生産量を調査した結果、生産された種子の比率は特定の系統(利根6号、上都賀9号、群馬4号など)を母樹とするものに偏ることが明らかになった。採種園の種子生産量は構成クローンに強く影響されることが予想される。 同採種園において本数比率50%の間伐を実施して採種木あたりの占有面積を2倍にして管理したところ、採種木あたりの種子生産量が対照区の2倍以上に増加した。一方、種子発芽率は間伐区で低下する傾向にあった。その他の種子発芽率の低下要因としてカメムシ吸汁害と後述する高温環境が確認されており、発芽率の正確な評価や生産効率の向上のためにはこれらの影響を排除する必要があると考えられる。 (2) 高品質種子の安定供給に関する新技術の確立 受粉効率の改善による発芽率の向上を検討するため、同採種園において人工交配試験と閉鎖系試験を実施した。人工交配試験の結果、交配袋への花粉注入を2回に分割すると1回で倍量を注入した場合より発芽率が高くなったが、発芽率は全体的に自然交配の場合より低くなった。また開花期に採種木をビニールハウスで覆い工場扇により受粉を促進する閉鎖系試験を実施したところ、クローンによって発芽率が上昇する場合と低下する場合があった。 カメムシ防除による発芽率の向上を検討するため、春から秋にかけてスギ枝に防除袋を設置したところ、無処理の枝よりもかえって発芽率が低下する場合が認められた。そこで、この発芽率低下の原因が防除袋内部の夏季の高温であるとの仮説を立て、防除袋と採種木の遮光を組み合わせて発芽率と夏季の枝温度の関係を調査した。その結果、発芽率と夏季の枝温度との間に有意な負の相関が認められ、枝温度が高いほど発芽率が低下することが明らかになった。カメムシの吸汁害と夏季の高温環境はともにスギ種子の発芽率を低下させるため、種子生産事業の観点からも、また管理手法の正確な評価の観点からも防除が必要であると考えられる。また、寒冷紗を用いた遮光処理により夏季の高温の抑制が可能であることが明らかになったが、一方で種子重量は遮光処理により有意に小さくなった。このことから初夏に遮光率70%の遮光を開始すると苗木の生産性が低下する可能性が示唆され、種子生産事業への適用のためには更なる検討が必要であると考えられた。 |
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研究評価 |
評価の要素 |
目標達成度:c |
活用見込み:b |
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総合評価 |
C |
平成30年度 終了課題はありませんでした。
平成29年度 終了課題はありませんでした。
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