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掲載日:2024年10月17日
Q 山本正乃 議員(民主フォーラム)
現在、我が国における地球温暖化対策は、大きな転換点を迎えています。昨年10月、菅首相が2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする2050年カーボンニュートラルを宣言されました。それを踏まえ、今年4月には2030年度の排出量を2013年度比で46%削減することを国際公約しました。これは従来の26%削減から、大幅な目標引上げとなっています。
これを受け政府は、今年5月に温暖化対策推進法を改正し、2050年までの脱炭素社会の実現を基本理念として法律上に位置付け、6月には国・地方脱炭素実現会議において地域脱炭素ロードマップを決定するなど、国を挙げて地球温暖化対策に関する取組を加速させています。
埼玉県においては、2020年3月に埼玉県地球温暖化対策実行計画を策定し、2030年度における埼玉県の温室効果ガス排出量を2013年度比で26%削減することを目標に掲げています。また、今年3月には、埼玉県庁が大規模事業者として率先して取り組む第3期埼玉県地球温暖化対策実行計画を策定し、2030年度に県庁全体から排出される温室効果ガス排出量を2013年度比で28%以上削減することを目標に掲げています。目標達成に向け効果的に温室効果ガスの削減を進めるためには、バイオガスや熱エネルギーなどの再生可能エネルギーの利用が不可欠と考えます。
そこで、地球温暖化対策として取り組んでいただいている下水道資源の有効活用についてお伺いします。
元荒川の水循環センターで行われているバイオガス事業では、下水道汚泥を焼却する前段階として消化タンクの中で濃縮した汚泥を微生物により分解し、その際に発生するバイオガスを汚泥焼却の燃料や発電に有効活用しています。この工程でバイオガスの原料となった分、焼却する汚泥の量が減り、その後の脱水焼却工程において発生する温室効果ガス排出量を削減するとともに、使用電力量も減るというダブルの効果があります。元荒川水循環センターに続いて、中川水循環センターにおいてもバイオガス発電が導入され、今年11月には発電が開始される予定とお聞きしています。
そこで、まず中川水循環センターにおける汚泥消化施設、バイオガス発電導入の結果、地球温暖化対策への貢献度がどのくらいになるのか、また下水道資源の更なる有効活用に向けた同施設の今後の導入計画について、下水道事業管理者のお考えをお伺いいたします。
A 今成貞昭 下水道事業管理者
「中川水循環センターにおける汚泥消化施設及びバイオガス発電導入の結果、地球温暖化対策への貢献度がどのくらいになるのか」についてでございます。
三郷市の中川水循環センターでは、現在、汚泥消化施設の設置工事が終わり、11月1日のバイオガス発電施設の稼働開始に向けた準備を鋭意進めております。
この施設が稼働いたしますと、発生汚泥が約半分に減り、焼却時に発生する一酸化二窒素が削減されるとともに、焼却時の送風に必要な電力なども削減されます。
一酸化二窒素は、二酸化炭素の298倍もの温室効果があるため、削減効果は極めて大きなものになります。
この結果、温室効果ガスの排出は二酸化炭素換算で年間およそ1万2,400トン削減されるものと見込んでおります。
これは、新座市と同程度の面積となる2,250ヘクタールのブナ林が吸収する二酸化炭素の量に相当いたします。
また、消化施設から発生するバイオガスを売却し、民設民営による発電を行うことで、年間925万キロワットアワーのクリーンエネルギーが供給されます。
これは、二酸化炭素に換算して年間およそ4,600トン分、志木市と同程度の面積となる840ヘクタールのブナ林が吸収する量に相当いたします。
なお、令和元年度から同様の施設を運用する桶川市の元荒川水循環センターでは、温室効果ガスの排出を二酸化炭素換算で年間3,100トン削減するとともに、バイオガス発電により年間1,300トンの削減に貢献をしております。
次に、「下水道資源の更なる有効活用に向けた、同施設の今後の導入計画」についてでございます。
今後は、久喜市の古利根川水循環センターで同様の施設の導入を予定しており、現在、鋭意準備を進めております。
汚泥消化施設は、温室効果ガス削減に極めて大きな効果がある施設でございます。
他の水循環センターにおいても、敷地の確保等の課題はございますが、温室効果ガスの更なる削減に向け、同様の施設の導入について検討してまいります。
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