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掲載日:2019年7月12日
Q 松澤 正 議員(自民)
私の地元吉川市では、埼玉県を代表する野菜であるコマツナをはじめ、ブランド野菜の吉川ネギなど農業生産が盛んであります。また、市の全域に広がる約1,000ヘクタールの水田では、昭和50年代から県内でも先駆的に稲作経営における法人化が進み、本県の将来の稲作経営モデル事例とも言える経営面積100ヘクタール規模の法人が三つもあります。これら法人の中には、市内外の大規模な主穀作農家とネットワークを構築し、米の安定生産、安定販売に取り組んでいる法人や、養魚池を整備して「なまずの里よしかわ」に代表されるナマズの養殖も行う法人などがあり、その経営内容も非常に工夫された特徴あるものとなっております。正に、これら法人は地域農業の担い手として、市の農業をけん引してきました。
ところが、法人を設立してから40年、短い法人でも25年以上の時が経過する中、従業員は順調に確保されているようですが、経営者については70歳を過ぎてもいまだ経営の中核を務めるなど、世代交代が順調に進んでいるとは言いがたい状況です。吉川市農業の担い手の顔ぶれにほとんど変化がなく、高齢化が進み、新たな担い手が誕生している状況はほとんど見られません。このことは、県内のどこであっても、またどの作物であっても状況は同じであると思います。このような状況で、5年後、10年後の埼玉県の農業は大丈夫なのかと心配になります。
特に、土地利用型農業の大規模生産者の場合は、後継者がいない状態が続き、急に農業が続けられなくなったときに、それまで経営していた100ヘクタール規模の水田はどうなるのでしょうか。広大な荒廃農地が現れることにもなりかねない危険な状態であると言えます。
さらに、これだけ大規模に米生産を行っている法人であっても、話を聞くと昨年、一昨年は経営的に厳しい状況だったと伺っております。特Aを取った彩のきずなを作って、おいしいお米として売るのは非常に良いことだと思います。しかしながら、一つの法人が100ヘクタールの水田に全て彩のきずなを作付けすることは作業体系から考えても不可能であり、経営者は様々な品種を組み合わせ、さらには販路開拓など、経営の工夫に取り組まざるを得ません。
私は、担い手の高齢化や減少に対応するとともに、消費者が求める生産や流通に対応した農業経営を確立することは本県農業共通の課題と言っても過言ではないと考えております。農業従事者の現役世代の高齢化が進む中、近い将来、そうした従事者が集中的に引退し、従事者の慢性的不足や荒廃農地の増加など、農業の衰退が危惧されております。首都圏に位置しながら、豊かな農業生産力を誇ってきた埼玉農業を今後も維持発展させるためには、担い手の確保・育成は重要な課題であります。県では、どのような取組を行っているのか農林部長に伺います。
A 牧 千瑞 農林部長
議員お話のとおり、農業従事者の世代交代が進まないことは荒廃農地の増加など、農業の衰退につながる大きな問題であると考えています。
このため、県としても担い手の確保・育成は重要課題として取り組んでいます。
そこで県では、農林振興センターなど11カ所に就農相談窓口を設置しているほか、就農イベント等に出向き相談に応じるなど、就農者の確保に努めています。
さらに、農家子弟を含め、就農希望者が確実に就農できるよう「明日の農業担い手育成塾」を県内に22カ所設置し、市町村やJAと連携して技術習得や農地の確保などを支援しています。
これらの取組により、平成30年度の年間新規就農者は10年前の242人から310人となり、着実に増加しています。
また、安定的な雇用の確保や円滑な経営継承などの面で、法人化の推進が鍵であると考えています。
県では農業経営相談所を設置し、税理士や社会保険労務士などの専門家と連携して、法人化に向けた支援を行っています。
こうした中、平成30年度末の本県の農業法人数は、前年より80法人増えて1,052法人となりました。
さらに、優れた経営感覚を有する人材を育成するため、埼玉農業経営塾を今年度から強化いたしました。
具体的には、より高い経営力を備えた人材を育成するトップマネジメントコースと、地域農業をけん引する次の世代の人材を育成する次世代経営者養成コースの2コースを設けたところです。
今後とも、就農の前後を通じた切れ目のない支援や法人化の推進などにより、将来にわたって埼玉農業を担う人材の確保・育成に努めてまいります。
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