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掲載日:2024年11月1日
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若者に魅力のある雇用の場を創出したく、豊かな観光資源や地場産業、ドローンなどの先端事業を組み合わせ、平日の滞在に繋がるコンテンツを提案してもらいたい。
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秩父市
埼玉県秩父市産業観光部先端技術推進課の井上と申します。どうぞよろしくお願いいたします。これから秩父市の「観光と産業の調和」~平日に賑わいを呼ぶ新しいスタイル~の発表を始めます。
発表の構成はこのようになっております。
まず、秩父市の概要をお伝えいたします。秩父市は、埼玉県の北西部に位置する、県内で最も面積が広い自治体です。人口は6万人を切っており、消滅可能性都市にも選ばれてしまいました。周囲を山々に囲まれて、市の面積の87パーセントは森林に覆われているという山間地域が多いまちです。
また、秩父市は観光で人気の場所で、コロナ禍前には年間約600万人の観光客が訪れていました。写真を御覧ください。春は羊山公園に約40万株の芝桜が咲き、秋には秩父市街地に雲海がよく発生し、12月には日本三大曳山祭りの1つである秩父夜祭が行われ、四季折々のイベントを楽しむことができます。
秩父地域はお酒も有名で、御覧のとおり様々なお酒の産地となっています。この多さは関東屈指で、その背景には、水がおいしくて寒暖差が大きく、お酒づくりに向いているという土地柄があります。
続いて、観光と産業についてのこれまでの取組と課題についてお話します。まず観光の現状です。観光客の全体数は約600万人で、内訳をグラフで示しております。滞在時間については日帰りが73パーセント、宿泊者数の内訳では2人以上のグループでの利用が95パーセントと大多数を占めています。年代別の観光客数は右のグラフのようになっていて、50代以上の方が約60パーセントを占めています。
秩父市はアニメ「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」という作品をはじめとするアニメ3部作の舞台となっており、アニメツーリズムの共催などもしております。他にも「祭りのまち」、「自然豊かなまち」とありますが、秩父地域で小さいものを合わせると約400ものお祭りがあると言われています。また写真にあるように芝桜や紅葉など四季折々のイベントも開催されています。
続いて、産業についてお話します。これまでの秩父市の主要産業は、林業から始まり、養蚕業によって秩父銘仙という織物のブランドが生まれ、武甲山という石灰が採れる山があるためセメント業が発展し、現在は金属製品製造業へと変わってきました。秩父銘仙を始めとした、地元産業のブランド化や、企業誘致、若者がSNSで企業の魅力を発信する「ちちぶアンバサダー」などの取組も行っています。
これらの現状を踏まえて秩父市の課題を整理しました。まず、観光については来訪者が週末や大型連休に集中します。また、グラフでもお見せしましたが、日帰り観光客が多く、宿泊に比べて地域にお金が落ちません。これらのことから、「平日の宿泊が少ないこと」を観光の課題としました。また、宿泊の内訳についても1人での利用が5パーセントにとどまることから、平日のビジネスユースに拡大の余地があると推測しています。
産業については、現在の主要産業は製造業で、消滅可能性都市に選出されてしまったのは、若い女性の雇用が少ないという現状によるものだと考えられます。また、人手不足で雇用の需要はあるものの、若者が魅力的だと感じる仕事が少ないと推測しています。宿泊や飲食を含めた観光産業の視点では、休日に需要が偏っているため、正規雇用が難しいという現状もあります。
以上の現状を踏まえて、今回のガバメントピッチで解決したい課題についてお話します。一番の課題は、単刀直入に「平日にたくさん人が来てほしい!」ということです。平日に人が増えれば、宿泊や飲食等の需要が平準化して、雇用が安定し、ビジネスを起こしやすくなることで、新たな企業が参入する機会も出てくるのではないかと考えています。このような好循環を生み出し、雇用の増加や新規企業の参入で、若者の定着を図ろうという狙いがあります。
実際に平日の流入を促すために、観光と産業の視点から3つのターゲットの例を設定しました。1つ目はインバウンド客の観光です。長期滞在が前提なので、曜日に関係なく訪れてくれます。また、日本の神社や自然を楽しみたいという方が多いと思うので、秩父市はその面でも充実していると思います。
2つ目はシニア層の観光です。時間に余裕があり、平日に動きやすい客層だと思います。また、自然豊かな街を楽しみたい方が多いと思います。
3つ目はビジネスユースです。秩父市ではドローンに力を入れているので、ドローン関係の企業やドローンに興味のある企業に秩父市というフィールドを様々な形で利用していただきたいです。
課題解決に当たって、是非使っていただきたい秩父市のコンテンツは、「自然」「お酒」「ドローン」です。このドローンについてこれから御紹介させていただきます。ドローン事業との関わりの歴史は平成28年にさかのぼります。それ以降、御覧のとおりですが、様々な取組を行ってきました。この取組の中で秩父市とお隣の横瀬町で10のドローン航路を作ってきました。どこも山間地域であり、ドローン航路を敷いた実績があるところは災害時にスムーズに物資輸送ができます。
実際に社会実装した例です。2023年に市内大滝地域という山間地域で土砂崩落が起きた際に、奥の集落が孤立寸前となってしまいました。通信環境が不安定な地域でしたが、衛星通信のスターリンクを活用することで、このタイミングで定期配送を行うことができました。能登半島の震災でもスターリンクは活用され、取組に参加していたKDDIさんは秩父市での実装の経験が役立ったという話をしてくださいました。
今後の展望としては、デジタルライフライン全国総合整備計画の中で、秩父の送電線網150キロメートルと浜松市の河川上空30キロメートルで合計180キロメートルのドローン航路を整備するプロジェクトがあり、この2つが今年の6月21日に閣議決定されました。市ではこれを契機としてドローンによる地域課題の解決に向けた官民連携のコンソーシアムの設立の準備をしています。
ここからは皆様にお願いしたいことをお話します。改めましてターゲットは、インバウンド客、シニア層、ビジネスユースというイメージです。このようなターゲットの方に訪れてもらうために、皆様にお願いしたいことは3つあります。
1つ目は、インバウンド客やシニア層に向けた新しい体験型ツーリズムです。そこには、平日に行い、秩父ならではのコンテンツも盛り込みたいです。2つ目は、ドローンビジネスのマッチングの場や体験提供のコーディネートをしていただきたいです。事業者同士のマッチングはもちろん、興味のある一般の方や観光客とのマッチングなども考えられると思います。また、お酒を絡めてラフに交流出来る場があっても良いと思います。3つ目は、提案ではないのですが、今聞いていただいている皆様の中にドローンに取り組んでいる企業様や取り組みたいと思っている企業様がいましたら、「こんな場や取組があったら良いな」という提案や、市への要望もお伺いしたいです。
最後に目指したい姿をお伝えします。市としては調整やサポートをさせていただきますが、最終的には企業側で自立したビジネスとして回し続けられるモデルにしたいと考えています。そのために、我々が出来ることは、場所の提供や地元の調整、人や企業を繋げること、庁内他部署との連携、そして何より熱意を持って一生懸命取組みますので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
以上で埼玉県秩父市の発表を終了いたします。御清聴ありがとうございました。
モデレーター
井上さん、お疲れ様でした。皆さんからコメントや御質問をいただきたいと思いますが、グラフィックレコーディングを共有しながら、「観光と産業の調和」ということで、ストレートに「平日に賑わいを呼ぶ」という課題感がまっすぐ出ていますね。「平日にたくさんの人が来てほしい、平日の流入を増やしたい」ということなんですけど、質問が寄せられるまでの間は私の方から質問をしていきたいと思います。
平日という視点でインバウンドのお話が出てきましたけど、インバウンドに関してはどういった取組をしていて、600万人のうちどの程度のボリュームがインバウンドになっている、などといった現状について共有してもらってもよろしいでしょうか。
秩父市
はい。現状インバウンド客は全体数600万人のうち4万人にとどまっており、その中でも宿泊者数は1万人にも満たないので、かなり割合は低い数値になっております。東京から電車一本で来ることができる土地柄ですので、東京に宿泊して日帰りで秩父に訪れる方が多いのではないかと推測しています。実際に取り組んでいることとしては、多言語パンフレットの制作等はしておりますし、観光庁の別の事業で多言語対応のデジタルサイネージの設置計画などもありますが、旅前の広告等についての具体的な取組についてはまだできていないのが現状になります。
モデレーター
ハード面での多言語化や御案内表示等の整備には少しずつ着手することができているものの、コンテンツそのものをインバウンド向けにするとか、それを発信するなどといったソフト部分はまだこれからという感じでしょうか。
秩父市
そうですね、まず秩父に来てもらうきっかけづくりの部分がまだ弱いのかなと思います。
モデレーター
きっかけというのは、情報発信も含めてという理解でよろしいですか。
秩父市
はい。
モデレーター
その600万人という年間観光客数は、秩父地域くらいの都市圏では全体的としては多いほうであるという認識で良いですよね。
秩父市
そうですね。
モデレーター
ただ、それが週末に集中してしまっているし、都心に近いがために日帰りが中心になってしまい、宿泊には繋がっていないということですね。
秩父市
そうですね。季節的には春、芝桜の時期にドカンと人が来て、夏・秋も同様の流れですね。四季で見ると冬が一番落ちてしまう時期になります。
モデレーター
質問が2件ほど来ておりましたが、一つは秩父市さんは西武鉄道さんと連携していると思いますけれども、西武鉄道さんとの取組、これは、インバウンドとか平日とか今回の課題感に特化していなくてもいいんですけれども、西武鉄道さんとは観光やインバウンドに向けて、どんな取組をしているか共有できそうな情報は何かありますか。
秩父市
西武鉄道さんは、東京と秩父市を繋いでくださっている鉄道ですので、様々な誘客事業を行っているほか、「のってみ秩父」という観光型MaaSの事業も西武鉄道さんと一緒に取り組んでいる事業で、広告のようなところで連携をしております。
モデレーター
特に平日やインバウンドといった今回のテーマに注力した取組になっている訳ではないということですね。
秩父市
そうですね。
モデレーター
もう一つ質問をいただいています。「旅行代理店とオーバーツーリズム対策、インバウンド対策とかの開発は共創されていますか」、旅行代理店と一緒に作り上げていく、課題を解決するアイデア出しなどのところからやられている取組事例はありますか、という御質問ですが、いかがですか。
秩父市
旅行代理店さんとは、モニターツアーで終わらせない、地域や旅行会社のプランで自走できるモデルを共に検証しているところです。
モデレーター
旅行代理店さんと、ということになると、モデルプランを一緒に作るということなんですね。「コンテンツづくり」まではいかないですよね。
秩父市
そうですね。
モデレーター
ありがとうございます。今回は、コンテンツづくりや情報発信等の提案を期待しているという理解でよろしいですか。
秩父市
はい。
モデレーター
それと、もう一つの柱として「ドローン」の話がありました。ドローンに関して秩父市は国の先行地域に選定されているとのお話が先ほどありましたが、素人の質問になってしまいますが、先行地域に選定されていることは、秩父市を目指せという流れができる、そういった大きなメリットがあるものなのでしょうか。
秩父市
先行地域に選ばれているからといって何か補助金などがついているということではないのですが、各省庁の補助金に申込んだ際に優先的に採択が受けられるというものがあります。
モデレーター
直ちに、直接的にということではないけれども、取組によっては国からサポートをいただける土台ができているということですかね。
秩父市
そうですね。そして、先行地域への選定によって人・モノ・情報が集結してくるというメリットもあるかと思いますし、発表の中でも申し上げましたけれども、コンソーシアムも設立されるということで、より一層人や情報が集まってくるのではないかと思います。
モデレーター
ありがとうございます。では最後に、本日集まっている企業の皆さんに向けてメッセージをお願いします。
秩父市
発表でも申し上げましたが、一番の目標は「平日に人を呼んで秩父市を活性化する」ということです。利用してほしい秩父市の誇りとしてはドローン、自然、お酒ですが、もちろんそれ以外でも秩父市で実現できそうなことがあれば一緒に検討させていただきたいと思いますので、是非皆様、よろしくお願いいたします。
モデレーター
たくさん資源がありますので、これを企業と一緒に活かしていきたいというピッチだったと思います。たくさんの御提案をお待ちしたいと思います。井上さん、ありがとうございました。
秩父市
ありがとうございました。
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