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掲載日:2023年12月18日
Q 辻浩司 議員(民主フォーラム)
かつては、環境か経済かという2項対立で捉えられていた環境問題でしたが、気候変動が要因と考えられる自然災害の多発や感染症のまん延などの時代状況を考えると、もはや環境問題は経済発展と対極に存在するわけではなく、むしろ経済を維持していくためにクリアしなければならない必須命題と捉えるべき時代となりました。
国においては、菅総理が2050年温室効果ガス実質排出ゼロを宣言しました。アメリカでは気候変動への対応で国際的枠組みから離脱し、自国の経済発展に比重を置くトランプ氏が大統領選に敗北し、気候危機への対応を重視するバイデン氏が勝利するなど、国際情勢が動いています。このような情勢変化の中、埼玉県としても気候危機への対応について、改めて強い姿勢を示していくときではないかと考えます。
本県も、水害などたび重なる被害によって経済や県民生活に多大なダメージを受け、そのために大きな財政出動を余儀なくされています。
コロナ禍からの経済復興のための一つのキーワードとして、グリーンリカバリー(緑の復興)という概念があります。グリーンリカバリーとは、これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済に復興するのではなく、これを機に脱炭素型の循環型社会をつくるために公共投資をしていくことで、経済復興を果たそうという政策です。
EUでは、再生可能エネルギーの普及や電気自動車への転換、航空機から鉄道輸送への転換などのための巨額のインフラ支援などが実施され、脱炭素化を促進していますが、残念ながら日本では、これまでの新型コロナ対策、経済再生のための補正予算の内容は、脱炭素化に向けたメニューは乏しいのが現状です。子供や孫が生存できる環境をつないでいくための最後にして最大のチャンスとしてこのコロナ禍を捉え、再生可能エネルギーの拡大やZEH対策、森林対策、排出量取引制度の推進などにしっかり予算を充てていくことが求められます。
これらに積極的に取り組み、内外に対し明確な意思を示すため、大野知事には、埼玉県として気候危機宣言を発出していただきたいと考えます。また、宣言を出すだけではなく、それらの実効性を担保するために、県の地球温暖化対策実行計画の見直しも必要と考えますが、このことについての知事のお考えをお聞きします。
A 大野元裕 知事
気候危機宣言の発出についてでございます。
国内外において地球温暖化の影響と考えられる深刻な気象災害が多発し、今後も更にこのリスクが高まることが指摘をされています。
本県においても、台風や豪雨による災害の甚大化や熱中症患者の増加など、気象災害が深刻化しており、危機感を持っております。
こうした認識の下、本年3月に県の有識者会議の御意見や国のエネルギー政策を踏まえ、実現可能性も強く意識して地球温暖化対策実行計画を策定したところであります。
県計画策定後の10月には、菅義偉総理は所信表明演説において、2050年カーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言をされました。
これを受け12月1日の国の成長戦略会議では、2050年カーボンニュートラルに向けたグリーン成長戦略を盛り込んだ実行計画を取りまとめました。
国会では、11月に衆参両院で気候非常事態宣言を決議し、国としても気候変動への強い危機感を表明したものと重く受け止めています。
議員お尋ねの気候危機宣言は、裏付けのある見通しが立って初めて打ち出すべきものであり、気候変動への危機意識を一層高めつつも、国のグリーン成長戦略や県の実行計画との整合性を図りつつ、県民の生命や社会経済活動などを守り抜くという強い覚悟をもって全力で地球温暖化対策に取り組むための実効的な施策を構築してまいります。
その上で、気候危機宣言の必要性について検討したいと思います。
次に、地球温暖化対策実行計画の見直しについてでございます。
本年3月に策定した県の地球温暖化対策実行計画は、環境と経済の好循環を生み出しながら、「脱炭素社会の実現」を2050年以降のできるだけ早期に実現することを将来像としています。
その実現に向け、再生可能エネルギーの活用をはじめ、建築物の低炭素化や目標設定型排出量取引制度の推進、森林の保全・整備、さらには、脱炭素社会をリードする産業の育成などを対策として位置付けています。
気候変動を取り巻く国内外の情勢は、正に大きな転換点を迎えています。
産業界を見ても、経済発展のためには環境との両立を図っていかなければならないと意識しなければならない時代になってまいりました。
今後、脱炭素社会に向けた国内外の議論や地球温暖化への取組は、ますます活発になってくると考えます。
私は今年8月、全国知事会のプロジェクトチームにおいて、県が対策を進めていくためには、国において温室効果ガス排出の実質ゼロを実現するための実効的な道筋を示すべきであると、小泉進次郎環境大臣に直接お話をいたしました。
今後、国によりグリーン成長戦略に関する議論やエネルギー基本計画のエネルギーミックスの見直しが進められると考えております。
県としても、エネルギー政策など国の議論や取組を踏まえながら、2050年に脱炭素社会を実現するためのシナリオの検討、さらには2030年までに講ずべき対策などを鋭意検討してまいります。
その結果、必要に応じて、実行計画の見直しを図るなど、時宜を逃すことなく的確に対処をさせていただきたいと考えています。
再Q 辻浩司 議員(民主フォーラム)
まず、「脱炭素化」社会の関係ですが、知事も環境非常事態宣言を発出するに当たっては、これの裏付けになる根拠が必要ではないか、施策が必要じゃないかということをおっしゃっていました。ただ単にパフォーマンスとして宣言を出すだけでは駄目だという、実務的な知事ならではの御答弁だったと思います。また一方で、時宜を逃さずに取り組んでいくというような御答弁もありました。
私は、社会が動くときとか人々の行動が変わるときというのは、やっぱり潮目があるんだと思うんですね。この機を敏感に読み取って社会を前に進めていくというのが、政治の役割だというふうに思っています。そして今、例えば日本においては、菅総理が2050年までに温室効果ガス実質ゼロを打ち出したり、また、環境投資に2兆円の基金を創設するとか、いろんな方針を出しております。また、国際的にも機運が高まっている中で、まさに今がそのときではないかなというふうに考えております。
このことを踏まえて、まさに今この時期を逃さず、もちろん裏付けも取りながら、しかし大きな強い姿勢を出すためにも、緊急事態宣言を発出するというのが今ではないかというふうに考えますが、この時期について知事の御見解をお聞かせください。
再A 大野元裕 知事
今が気候危機宣言を発出する潮目ではないか、逃さずに早期に対応をについて答弁させていただきたいと思います。
私は、気象災害が深刻化している現状に強い危機感を持っています。
ただし、危機宣言を発出するとか、数十年後について宣言をするという、正に議員のお言葉を借りればパフォーマンスを行うことは簡単であります。
しかしながらそのためには実効的な対策を行うことが肝要であり、実効的にするためには国のグリーン成長戦略や地球温暖化対策実行計画との整合性を図る必要があると思っています。
先ほどご答弁申し上げた際に、今年の8月に小泉進次郎環境大臣に対して直接お話をして国における温室効果ガス排出ゼロを実現するための道筋を示していただきたい、このお話をしました。
実は後日談がございまして、11月に全国知事会として菅総理や閣僚の皆様とお会いした時に小泉進次郎環境大臣の方から改めて、埼玉県としてカーボンゼロ宣言ができないかという話を私の方に直接持ち掛けてまいりました。非公式な席であります。
その際に、私が申し上げたのは10月に菅内閣としてグリーン戦略を見直すとおっしゃったその直後でございますので、これからいわゆるエネルギー基本計画等を政府としてとりまとめるのであろうと、こういった取りまとめをして実効的な施策を政府が示してからおっしゃるのであれば、私としてはしっかりとした議論をさせていただく用意がある、このように申し上げたところでございます。
まさに時宜を逃すことなく的確に対応をするべく、政府の施策等もにらみながら、県民の生命や社会経済活動を守り抜くという強い覚悟の下、全力で地球温暖化対策に取り組んでいくことはしっかりと明言をさせていただき、時宜を逃すことなく気候危機宣言なり、エネルギー政策のためのいわゆるカーボンゼロ宣言等についてもそのあと、検討させていただきたいと考えています。
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