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掲載日:2023年12月18日

令和2年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(辻浩司議員)

アフターコロナにおける知事のリーダーシップ

Q  辻浩司  議員(民主フォーラム

新型コロナウイルス感染症の拡大は、ウイルスの持つ毒性そのものよりも、感染拡大を防止するために実施された、いわゆる3密回避などの様々な社会的防衛措置による影響によって、人類史上幾度もないような深刻な状況に見舞われております。この状況は良くも悪くも社会構造に大きな変化をもたらすもので、この変化にどう向き合い、未来を展望していくのか、目の前の感染拡大や経済的な打撃に対する個別的対応策をとりつつも、大きな視点で時代を見ていくことが、今、私たちには問われていると思います。
コロナ禍と呼ばれる言い回しに象徴されるように、この問題は単なる一感染症の流行という医療、公衆衛生上の課題という性格にとどまらず、社会のあらゆる領域に多大な影響をもたらしています。そして、そのことによって、私たちの社会が抱えてきた様々なぜい弱性が、コロナ禍によって一斉にあぶり出されたという側面があります。
これまでの日本では、新自由主義的政策の下に、感染症病床などの病床削減や保健所の統廃合、医療従事者の不足が進み、平常時でもぎりぎりの状態で回しているところに、新型コロナ感染症が襲いかかりました。一斉休校で子供たちが日中、家にいることにより、勤務の変更による減収や在宅勤務をしながらの家事や育児による精神的な負担は、シングルマザーなどのひとり親家庭をますます苦しめました。虐待やネグレクトなどの家庭で育つ子供にとっては、日中の避難場所であった学校という場所が失われることになりました。給食の提供がなくなったことで栄養面に支障が出た子供もいました。自殺者も増加し、その中でも女性の自殺者の増加が目立ちます。非正規などの不安定雇用の労働者は、雇用の調整弁として真っ先に切り捨てられています。
新しい生活様式や3密回避という行動変容は、人と人とのつながりを断ち切る側面もあり、人との接触がなくなったことで認知症や鬱病の症状が進行した人もいます。公共施設も休止し、公園などの場所にも集まることがはばかられ、地域の中から居場所が奪われ追い立てられていきました。
非接触型社会という言葉を初めて耳にしたときに、私は、何とも言えない気持ちの悪い感覚に陥りました。まるでSF映画に出てくる近未来社会を見せられている気持ちになったからです。あらゆる場面で人と人が接触することや集まることが制限され、その代替手段として登場した在宅でのリモートワーク、オンライン授業に始まり、オンライン飲み会はまだしも、オンラインキャバクラまで来ると、最初は冗談かと思うようなことが、現実に私たちの生活の中で始まるようになりました。こういったことに対するもやもやした気持ちを感じているのは、私だけではないと思います。
東京で感染が突出して広がっていく事態は、東京一極集中のぜい弱さを露呈しました。満員電車に乗っていかなければならない東京にオフィスを構えるということは、もはやステータスではなくなり、リスクになりつつあります。また、これまで増え続けていた東京の人口も、都内に移り住む人の数よりも出ていく人の数が多い転出超過が、7月から10月まで4カ月連続で続いています。つまり、東京から人が逃げ始めているわけです。東京近郊の埼玉県は、東京と運命共同体となるのか、独自のスタンスを発揮できるのかが、今問われています。
このようにコロナ禍によって、社会のありようが大きく変わろうとしています。コロナ以前から抱えていた私たちの社会の問題点が、コロナ禍によって臨界点を超え、雪崩を打って変わろうとしている、そんな時代の節目にあるのが今ではないでしょうか。そのような時代にあって、大野知事は埼玉県知事に就任されたわけでございます。
そこで、お伺いします。知事は、歴史的転換点であるコロナ禍の時代にあって、知事の職責を務められるに当たり、自ら自治体のリーダーとしてどうあるべきと考えるのか、御所見をお伺いします。

A  大野元裕  知事 

議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症は世界中で日常を一変させ、ひとり親家庭の生活困窮や子供の貧困、非正規労働者の失業をはじめ社会的弱者とされる方々がより一層困難な状況に置かれるなど、様々な課題を浮き彫りにいたしました。
一方、コロナ禍においても社会経済活動を継続していくため、テレワークの推進や学校のICT化、キャッシュレス決済の導入など、新しい技術が急速に私たちの生活に浸透してまいりました。
これらの急激な社会の変化や人々の価値観の変容の結果「人と人とのつながりが断ち切られた」社会としてはならないと思います。
「新たな社会」をつくり上げるためには、DX

 

や働き方改革が、必要であり、行政では、手続のオンライン化やAI・RPAの活用など「行政手続のデジタル化」進めてまいります。他方、どんな社会においても誰一人、どの地域も取り残さない「日本一暮らしやすい埼玉県」を実現することが、私の信念であります。
アフターコロナの不確実な将来に対しては、単に人とのつながりを断ち切るのではなく、例えば、福祉や人とのつながりへの細やかな配慮の行き届いたDX化もあるということを県民の皆様とビジョンとして共有することが必要です。
女性を含めあらゆる人にとって働きやすい職場をつくるためのDXを活用した働き方改革、あるいはリモートワークを通じた家庭の復権、さらには様々な世代の交流の速やかな回復につながるオンラインと直接の訪問の両方の長所を生かした高齢者福祉施設の感染症防止対策の構築・徹底などが有効と考えます。
コロナ後における社会の在り方について検討を進め、感染症防止対策と社会経済活動を両立させバランスを取っていく、そのために、県議会をはじめ市町村や関係団体の皆様と協力しながら、引き続き全力で県政にまい進してまいります。

 

 

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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