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掲載日:2019年7月12日
Q 山口京子 議員(自民)
私の地元、3年前、ようやく総合文化会館ハストピアができました。昭和の頃から望まれていたものの、財政の手当てができずに実現できずにいましたが、生涯学習の場としてホールが欲しいという市民の声にやっと応えたものです。初めこそ、様々な団体が利用したり、音楽や演劇、お笑い、落語、バレエ、オペラ等々、あれも見たい、これも聞きたいと、多くの市民のオーダーがありましたが、限られた市の予算の中で市主催のプロの公演も出し物が固定化されてきました。
その中では、ジャンルの幅のある音楽の公演の開催は多いようですが、演劇を見ることはいまだできておりません。同じようなことが県内各地の市町村のホールでも起きています。市民が主体でやることは、もちろん必要ですが、まずは多くの人にプロの演劇を見てもらうことが芸術文化を振興する上では重要だと考えます。その上で、市民主体で演劇やミュージカルができるようになれば、もっとすばらしいと考えます。実際、さいたま芸術劇場の御指導の下、吉川市が公演を行っており、来年は東松山市でも行われるそうです。
ところで、私は池袋にある東京芸術劇場の副支配人から、埼玉は演劇に限って言えば彩の国さいたま劇場があり、蜷川氏を芸術監督にしたことで一歩も二歩もリードしている感があるとのお話を聞いたことがあります。それを聞いた2年後に、残念ながら蜷川氏は他界されましたが、晩年は高齢者の大群集劇、1万人のゴールド・シアターを仕掛けたりと、演劇を手段に高齢者が元気にアグレッシブに生きていくという演目を創作されました。私も2年続きで見に行きましたが、高齢者が生き生きと舞台上に存在する姿に非常に感銘を受けました。
彩の国さいたま芸術劇場には、蜷川氏がつくった高齢者劇団ゴールド・シアターと、若者の劇団ネクスト・シアターがあります。有名な俳優・女優の芝居も創作して公演しています。多くの優れた演劇のストックがあります。埼玉が演劇の拠点として他県をずっとリードしていくためにも、彩の国さいたま芸術劇場で創作されたそれらの優れた演目を県内各地に広げる目的で、各市町村のホールで順番に出前して公演していただきたいと考えますが、いかがでしょうか、県民生活部長の御見解を伺います。
芸術はお金がかかります。昨年12月定例会では、各市区町村による青少年対象の文化芸術活動充実に向け、一層の支援をしていただきたいという趣旨の請願が採択されました。この取組により、青少年への演劇鑑賞の機会を増やすことにもなりますので、是非とも前向きな御答弁をお願いいたします。
A 矢嶋行雄 県民生活部長
彩の国さいたま芸術劇場では「埼玉県芸術文化振興財団」を指定管理者として「創造する劇場」の理念のもと、質の高い舞台芸術作品を制作し、発信しております。
高齢者の演劇集団「さいたまゴールド・シアター」の活動などは、高齢社会という課題に対応した特色ある取組として、県内外から高い評価を得ております。
「彩の国シェイクスピア・シリーズ」でも、本年2月に第34弾となります「ヘンリー五世」を上演したところ、チケットが完売し追加公演も行うなど大変な好評を博しました。
また、芸術劇場は、県内文化施設の中核として、舞台芸術の専門人材を育成する役割も求められております。
このため、市町村の公立文化施設などを対象に、舞台技術の講習会や研究会を開催し、各施設の舞台スタッフのスキルアップを図っております。
議員お話の芸術劇場で創作した演劇作品を各市町村のホールで上演することは、質の高い舞台芸術の鑑賞機会の拡大とホールの人材育成にもつながり大変意義のあることだと思います。
一方で、市町村のホールでの演劇公演には様々な課題もございます。
芸術劇場では、国内最大級の広さ、高度な音響や照明など、保有する舞台の特徴に合わせて大道具を配置し、役者の動きを決め作品を制作しています。
このため、作品を異なる舞台でそのまま上演することは困難な状況となっています。
場合によりましては、その施設に応じた大道具の作成や、照明、音響プランの変更などが必要となり、経費が増大するケースも考えられます。
また、一定の期間の稽古場所や現地スタッフの確保も必要であり、その施設の多大な協力が不可欠となります。
市町村ホールでの公演は、平成25、26年度に「さいたまゴールド・シアター」の公演を熊谷市と川越市のホールで行った事例がございます。
平成30年度は親子で楽しめる児童演劇公演を吉川市のホールで行いました。
同様の公演を令和元年度は東松山市のホールでも行う予定となっております。
こうした事例も踏まえまして、優れた演劇作品が各地の市町村ホールで上演できますよう、舞台の状況や協力体制などを考慮し、演出家の御意見も伺いながら検討してまいります。
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