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掲載日:2019年7月12日
Q 萩原一寿 議員(公明)
私が中小企業の皆様のところに伺い、多くの方から出る話は、景気回復といっても大企業が中心で、中小企業は恩恵を受けていないとのことです。埼玉の法人は99%が中小企業。中小企業が元気になってこそ本当の景気回復があります。もちろん、売上げを伸ばしている中小企業もあります。調べてみますと、その多くが輸出をしている会社でした。それを埼玉中で見渡せば、世界に輸出したい誇れる埼玉ブランドがたくさんあります。例えば、お茶や地酒、盆栽など、様々な特産品があります。私の地元川口であれば、鋳物や植木が有名です。
今月10日、県内企業の海外支援を応援する日本貿易振興機構ジェトロから、埼玉事務所の設置について正式な発表がありました。今年の11月、大宮ソニックシティ内に埼玉貿易情報センターという名称で設置するとのことです。私は、平成27年9月定例会一般質問で、ジェトロ事務所と県内誘致を取り上げて以降、委員会質疑などで繰り返しこのことを訴えてきました。今回のジェトロ事務所の設置は、目的ではなく手段でなければなりません。それは、我が国の人口減少が進み、国内市場が縮小していくと考えられているからです。だからこそ、今回の設置が県内企業における海外展開の起爆剤になることを願ってやみません。
そこで質問です。今回のジェトロ事務所設置を機に、本県としてどのような戦略で中小企業の海外展開を支援していくのか、上田知事に伺います。
併せて、これまで主に県内中小企業の海外展開を支援してきたのは、県産業振興公社でした。そこでは主に製造業を中心に支援してきたわけですが、今回のジェトロ事務所の設置は、製造業以外の農産物や特産品の支援も可能にします。そこに向けての取組について、上田知事の御見解を伺います。
A 上田清司 知事
県はこれまで海外進出先としてニーズの高いベトナム、タイなどにサポートデスクを置き現地政府と協定を結んで県内中小企業の進出を支援してまいりました。
従来はどちらかといえば製造拠点の設置支援が中心でございました。近年は医療や食品などの最終製品の販売という新たな流れも出てきております。議員の御指摘のとおりでございます。
海外進出先も今やアジアから北米、ヨーロッパまで広がっています。
案件が少ない時代は、私たちがジェトロの本部に行ってつなぐことが可能でございました。
しかし、最近は案件も増え私どもでつなぐことが十分できなくなってきました。
こうした背景の下、様々な企業ニーズに対応するため、世界54カ国に74の拠点を持つジェトロの力をさらに活用することが必要だと感じました。
そこで、県内どの地域からもアクセスしやすい大宮ソニックシティにジェトロの事務所を誘致することとした次第であります。
ジェトロには海外展開の豊富なノウハウがあり、海外バイヤーの招へいや世界各国の見本市への出展支援など多彩なメニューがそろっています。
このため、今まで海外展開に無縁だった企業も含め県や産業振興公社が中小企業の優れた技術や製品を掘り起こし、ジェトロにつないでいきます。
例えば、iPS細胞を大量培養できる装置など先端産業創造プロジェクトで開発した製品を欧米やアジアに売り込みたいとも考えております。
TPP11や日欧EPAが発効し、ビジネスチャンスが大きく広がる今、県とジェトロが一体となって県内企業の海外展開を後押ししてまいります。
次に、農産物や特産品の支援に向けた取組でございます。
近年、和食がユネスコの文化遺産に登録されたこともあり、海外では日本食ブームや健康志向を背景に緑茶の人気が高まっており、本県も狭山茶のプロモーションに力を入れております。
盆栽や植木などの輸出規模も全国的に拡大しております。
農産物の輸出に当たっては、国ごとに異なる植物検疫や残留農薬基準などの輸入条件を知り、マーケットの情報を十分把握する必要がございます。
このため、輸出を希望する生産者が必要な情報提供を受け、専門家による勉強会や販路開拓などきめ細かな支援を受けられるよう、県がつなぎ役になり、ジェトロにしっかり働き掛けてまいります。
農産物以外にも、本県には多彩な特産品があります。
例えば本県は日本酒の製造が盛んで清酒の出荷量が全国5位を誇り、ワイン酵母で仕込んだ純米酒など個性豊かなお酒も造られております。
ジェトロでは食品分野の専門家がマンツーマンで輸出戦略の策定から契約まで一貫支援を行っています。
こうしたジェトロの支援を活用することで、埼玉ブランドの優れた特産品を世界の市場に強力に売り込むことも可能になるものと考えます。
県と業界団体が輸出候補となる品目の掘り起こしを行い、ジェトロにつなぐことで県産品の輸出拡大につなげてまいります。
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