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掲載日:2022年7月25日

令和元年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(松坂喜浩議員)

2025年問題、介護人材確保などについて

Q   松坂喜浩   議員(県民

2025年問題、あと6年でその年を迎えます。改めて後期高齢者が急激に増加し、現在抱えている少子高齢化問題に拍車をかけることになります。医療の問題、介護の問題、認知症高齢者の増加、社会保障費の問題、死の問題、住まいの問題など2025年は始まりに過ぎず、この問題は更に進行していきます。
こうした問題に立ち向かうべく上田知事は、その対策として医療や介護に係る人材の確保、地域包括ケアシステムの構築支援、健康長寿埼玉プロジェクトや働くシニア応援プロジェクトの推進など大きな成果を上げてきました。いずれの取組も今後一層推進していくことが期待されますが、私は特に介護人材の確保が重要だと考えます。
急速に高齢化が進む本県において、県民一人ひとりが必要な介護サービスが受けられるよう、介護人材を確保していくことは喫緊の課題であります。昨今、様々な産業において人手不足が深刻化する中、今年4月現在の介護サービス業の有効求人倍率は4.42倍となっており、介護分野での人材確保は今後一段と厳しくなることが想定されます。そうした中、国では外国人介護人材を確保するため、平成29年9月から留学生が介護福祉士を取得した際に介護の在留資格を認め、さらに本年4月からは新たな在留資格、特定技能1号の制度が施行されました。
少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少していく中で、人材を確保するために介護現場への就労支援と就労した方の離職を防ぐことの2つの視点が重要だと考えます。これまで本県は介護職員しっかり応援プロジェクトを立ち上げ、介護職のイメージアップや魅力ある職場づくりの促進、介護職員の給料アップにつながる様々な取組を行っており、私もこの取組を評価しているところであります。
また、他県の取組になりますが、神奈川県では「かながわベスト介護セレクト20」を立ち上げました。これは県内の約8,000の介護サービス事業所を対象に、介護サービスの質の向上や人材育成、処遇改善に顕著な成果を上げた事業所を表彰する制度で、セレクト20に選定された事業所には何と奨励金100万円が交付されるというものであります。こうした頑張った事業所が報われるという制度も私は必要と考えております。
介護現場における人材不足は年々深刻化しており、介護サービス事業者からは、「これ以上、介護保険施設を増やさないでほしい」という声があるのも事実であります。いずれにしても、他の都道府県より速いスピードで高齢化が進む埼玉県において、来るべき超高齢化に対応できるようにしていく必要がございます。
そこで、まず、介護人材確保の問題をはじめとした2025年問題に取り組んでこられた全体的成果について、また、その先を見据え、更にどのようなことに取り組むべきと考えているのか、知事の見解を伺います。

A   上田清司   知事

2025年問題に取り組んだ全体的成果についてでございます。
介護人材の確保については、「確保」「定着」「介護のイメージアップ」という3つの視点で事業に取り組んでまいりました。
例えば、人材の確保という点では介護未経験者を対象に初任者研修を受講していただき、施設での就労体験を経て就職を支援しています。
介護福祉士を養成する学校の学生に対しては、卒業後県内の施設で5年間働くと返還が免除となる修学資金の貸付も行っております。
また、人材の定着という点では介護ロボットの導入促進による職員の負担軽減や介護福祉士の資格取得への補助などによるキャリア・アップに取り組んでいるところです。
さらに、関係団体と一緒に実施している「介護職員しっかり応援プロジェクト」では介護のイメージアップや職員のやりがいを高める取組などを進めているところです。
特に、介護現場の一線で活躍する職員からなる介護の魅力PR隊は中学校や高校で出張介護授業を行って、介護職の魅力や大切さを分かりやすく伝えていただいているところです。
このほかにも、都道府県初の取組として介護職員合同入職式を関係団体の皆さんと実施し、私も出席し、介護職員の皆さんにエールを送っているところです。
また、頑張った事業所が報われる制度が必要との議員のお考えにも同感です。本県でも職員の育成などに優れた取組を行っている事業所を優良事業所として認証をしております。
国でも平成30年度から利用者の要介護度や心身の機能が改善された介護事業所に対する介護報酬の加算の制度も創設されております。
この結果、平成24年から平成29年にかけて特別養護老人ホームの介護職員の増加数は本県では3,663人、伸び率は40.2%であり、ともに全国第1位です。
あわせて、高齢者が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるため、市町村と連携して「地域包括ケアシステムの構築」を進めているところです。
医療と介護の連携については、実施主体の市町村には医療の専担組織がなく、地元医師会との調整が難しいと言われていました。
そこで、県医師会と共同で県内30の郡市医師会単位に医療と介護の相談窓口となる「在宅医療連携拠点」を設置いたしました。
この取組は全国でも例がなく、これまで培った市町村長や県医師会など関係団体との強い信頼関係の中で作られたものだと思っております。
ケアマネジャーからは医師との連携がスムーズになったとの声をいただくなど、地域の医療・介護連携に重要な役割を果たしています。
また、国は地域包括ケアシステムは御当地主義であるとし、具体的なモデルを示していませんでした。
そこで、市町村からの要請もあり、平成28年度から4市町で自立促進、介護予防、生活支援のモデル事業をそれぞれ実施していただきました。
事業を通じて得られた取組の手法を他の市町村に提示し、地域の実情に応じてアレンジしていただいております。
さらに、平成30年度からは県社会福祉協議会の職員や理学療法士などの専門職で構成する「総合支援チーム」を市町村の要望に合わせて派遣し、伴走型で支援をしております。
こうしたきめの細かい支援を行った結果、2025年に向けて地域包括ケアシステム構築の基礎固めができたものと思っております。
次に、その先を見据え、さらにどのようなことに取り組むかについてでございます。
2015年に24.8%だった高齢化率が2040年には34.2%にまで上がると推測されていますが、数字だけを考えていてはいけないと思います。
この課題を解決するには、発想の転換が必要です。
生産年齢人口は15歳から64歳となっていますがこれを仮に20歳から74歳まで、実際15歳から20歳まではほとんど働いていませんので20歳からいわゆる健康寿命、現在74歳でありますので、74歳までと改めると日本は2040年の段階で生産年齢人口の割合が世界のトップクラスになるという数字上の非常に明るいものが出てまいります。
県ではそういう意味で健康寿命の延伸を図るため、平成24年度から「健康長寿埼玉プロジェクト」を推進していますし、高齢者は「支えられる側」だけではなく「共に支える側」という考え方に立つことも可能ではないかというふうに考えております。
高齢者の潜在的な力を最大限に生かすため、まさしくシニアの可能性に注目して、平成28年度から「働くシニア応援プロジェクト」にも取り組んでいるところでございます。
こうした視点でこれまでの施策を更に拡充していくことで持続可能で活力のある社会を築いていくことができると私は思っております。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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