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掲載日:2019年7月12日
Q 松坂喜浩 議員(県民)
上田知事は、先週の土曜日、15日に記者会見し、「任期満了をもって知事の仕事を終了させていただく。やり残したことはない」と述べられ、8月に執行される知事選に立候補しないことを表明されました。そのコメントの一つに「改革の成果と方向性がきちんと出ている」とありました。
そこで、4期16年間、知事としての成果とこれから将来に向けて県政への思いについて、知事にお伺いいたします。
A 上田清司 知事
まず、「県政の取組の成果と今後について」のお尋ねのうち、「知事としてこれまでの成果と県政への想いについて」でございます。
16年前の就任以来、「県庁を優れた経営体とする」、先進的な政策で「埼玉から日本を変える」をスローガンに全力で取り組んでまいりました。
「県庁を優れた経営体」にするためには、まず手掛けたのは職員の意識改革でございます。
公務員の世界はとかく「赤字が苦にならない」、「競争原理が働かない」という二大欠点があると私は思っております。
1つ目の「赤字が苦にならない」の典型的な例は地方自治体がその運営に大きく関わる出資法人や一部事務組合であります。
全国的にもこうした法人などは大きな赤字を抱え清算されたり、ただ同然で民間に売却されたりする例などが大きな問題として取り上げられていました。
知事就任時の埼玉県も例外ではありません。
例えば、さいたまスーパーアリーナを運営している株式会社さいたまアリーナですが、平成15年度は県が4億8,000万円の補給金を支給する形で赤字を補てんしておりました。
ある意味では、交通の利便性や施設のすばらしさなどを積極的にアピールし売り込むことなど積極的に職員に取り組んでいただいて経営改善に取り組んでまいりました。
その努力の結果、平成17年度に黒字に転換し、平成18年度以降の県に対する納付金の累計総額は83億8,580万円になっております。
収益の改善とともに年間観客動員数も180万人の横浜アリーナを上回る300万人を超え、「いつかはさいたまアリーナで」という正に国内トップレベルの人気を誇るアリーナに成長しております。
同様に赤字はだめだと職員に認識させることで埼玉高速鉄道株式会社や埼玉県浦和競馬組合など多くの法人等が黒字に転換いたしました。
2つ目の「競争原理が働きづらい」要因の一つに担当者が2年程度で交代し、事業全体を見ている人がいないことがままあります。
私は職員に日々の業務を見つめ直す「虫の目」、全体を俯瞰する「鳥の目」、時代の流れを読む「魚の目」の3つの目で見ていくことを説いてまいりました。
例えば、本県の刑法犯認知件数があります。職員の分析は前年度との比較の中で見ていけば少し増えたという感覚で、漫然とした認識になってしまいます。
しかし、20年というタイムラグで見ていきますと間違いなくすごい勢いで犯罪が増えています。
例えば、昭和60年から20年間の件数をグラフ化したら、60年は約6万件、平成16年には約18万件、現在では刑法犯認知件数は60,001件という形で確実に減ってきております。
また、高校中退率を都道府県別で比較をいたしました。埼玉県は46位でございました。現在では8位になっております。
あるいはまた公立中学校の不登校でも市町村別で比較を通じて、しっかりと現状を認識することが、まずは大事だということを訴えました。
その結果、埼玉県は平成18年度の都道府県別中学生の不登校率で全国40位でしたが、現在では9位になっております。
こうして公務員はやや、やったことに満足をする、結果を丁寧に追っかけてる人が少なかったというふうに私は認識をしておりました。
そこで職員には「問題の本質」を見極めること、更に「政策ターゲットの規模感」というものも意識するように申し上げました。
「問題の本質」を突いた成功事例としては、「埼玉県方式」による糖尿病重症化予防があります。
まず、糖尿病が重症化し人工透析にならない方法はないかと細かく分析をいたしました。
具体的な手法としては、まず国民健康保険の健診データ等を活用しリスクの高い方を抽出することにしました。
このうち医療機関を受診していない方には県医師会や専門医と協働して受診を促すとともに、保健指導により人工透析への移行を防止しています。
現在は県内市町村で展開され、国の「骨太の方針2018」で全国に横展開すべき先進・優良事例として埼玉県が名指しで紹介されています。
また、貧困の連鎖を断ち切るために平成22年度から全国に先駆けて実施しました生活保護世帯の子供への学習支援、いわゆるアスポート事業ですが、これは国を動かし生活困窮者自立支援法の制定につながっています。
次に「政策ターゲットの規模感」でありますが一番いい事例が「埼玉県発達障害支援プロジェクト」だと思っております。
本県の発達障害児は約6万人と推計され早期診断による適切な支援が必要ですが、早期発見に向けたこれまでの研修体制は市町村毎に数人ずつという全く規模感がありませんでした。
各市町村、保育園、幼稚園や小学校から3人以上の教職員に研修を受けていただくことで平成23年度から5年間で1万549人の支援人材を育成し早期発見の成果を上げています。
毎年1,000人くらい補充することで、この1万500人くらいを確保しています。
その後も発達障害総合支援センターも開設し総合的な支援体制を整えています。
このプロジェクトは先に話しました糖尿病重症化予防や生活保護世帯の子供への学習支援同様、全国知事会の優秀政策に選ばれています。
私は埼玉県庁を優れた経営体とするため、成果を上げ続ける仕組みを職員の意識に根付かせたことが、最大の成果だというふうに思っております。時々先祖返りをする職員もいないことはないですが。
今後も問題の本質を突き、成果を出すことを常に意識する経営体としての埼玉県が成長することを望んでいます。
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