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掲載日:2023年1月16日

「身の回りから出たごみ」ってどのように処理されているの?

この記事は平成22年10月に執筆したものです。

Question - 質問します

「ごみ」は出したらおしまい、と思っていたのですが、自分たちが出したごみは、その後どうなっているのでしょうか?

Answer - お答えします

研究推進室 倉田 泰人

一般家庭から出されたごみは自治体が責任をもって処理しています。ごみの種類によって、燃やしたり、埋め立てたり、あるいはリサイクルされています。

ごみ(廃棄物)は、排出された後に、収集されてごみを処理する施設に送られています。そして、利用できるごみはリサイクルし、利用できないごみは何らかの方法で生命や環境になるべく影響を与えないように処理されています。ごみがどのように処理されているかを知るためには、ごみの流れを知ることが必要です。まずそこからお話しすることにします。

ごみは誰が処理しなければならないのか?

人が生活し、社会が活動することにより、あらゆる局面でごみが発生します。発生したごみを好き勝手に処理させると衛生面や環境面で大きな影響をもたらすので、法律に則ってごみは処理されています。ごみの処理については、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(通称、廃棄物処理法)」という法律に規定されており、誰が出したごみかで処理する責任者が異なります。事業活動により発生したごみのうち、燃え殻、汚泥、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、金属くず等の法律で定められた種類のごみは「産業廃棄物」と呼び、ごみを出した者に処理する責任があります。産業廃棄物に該当しない事業活動に伴う廃棄物(事業系一般廃棄物)は、事業者が自ら処理するか、市町村または市町村の許可を受けた一般廃棄物処理業者に処理・処分を委託することになっています。また、家庭から出たごみは「一般廃棄物」に分類されており、ごみの収集・運搬や処理は市町村である自治体が処理しなければならないことになっています。

埼玉県内のごみ排出量は少しずつ減っている

さて、1年間にごみはどれくらい出るのでしょうか。ここからは皆さんの住んでいるところの自治体が処理する家庭から出たごみ(生活系一般廃棄物)に焦点を合わせることにします。日本全国で排出される一般廃棄物の量は4,810万トン(平成20年度)です。この量は、生活系一般廃棄物と事業系一般廃棄物の合計です。その内、埼玉県内での排出量は255.8万トンでした。全体量だと感覚的にわかりにくいので、県民一人が一日に排出する量に換算してみることにしましょう。埼玉県内では、一般廃棄物は一人が一日に989グラム捨てています(平成20年度)。その内の756グラムは一般家庭から捨てられており、残りは事業系一般廃棄物になります。また、生活系一般廃棄物の全国平均は733グラムであり、埼玉県の場合、平均的な量より若干多いと考えられます。しかし、この数値は県単位で比較すると相当異なってきます、多い県では926グラム、少ない県では547グラムとなっています。埼玉県における生活系一般廃棄物排出量を経年的に見てみると、一人一日当たりの排出量は年々減少しています(図1)。

一人一日当たり排出量の推移のグラフ

図1 生活系一般廃棄物の一人一日当たり排出量の推移(新排出量定義による)

発生したごみは大半が燃やされている

家庭から出るごみは、燃えるごみ(可燃ごみ)と燃えないごみ(不燃ごみ)に分けて出されるのが一般的です。その他に粗大ごみ、資源ごみ、有害危険ごみとして出ますが、いずれも自治体が処理しています。燃えるごみは自治体が所有する焼却施設で燃やされますが、埼玉県全体では一般廃棄物の排出量に対して76%が焼却されています(平成20年度)。この割合は全国の焼却割合である74%とほぼ同程度で、埼玉県が特に高いわけではありません。ごみを焼却することは、伝染病を予防するという衛生面で有効であること、排出したごみをそのまま埋め立てると最終処分場が早く一杯になってしまうので、最終処分場を長く活用することができることから日本には向いた処理手段と考えられています。しかしながら、埼玉県内の自治体毎にごみ処理に対する考え方が違うため(例えば、リサイクルを優先する、廃プラスチック類は燃やさない等)、焼却処理されているごみの種類には違いがあります。そのため、焼却割合が低い自治体では58%、高いところでは91%と大きな違いがあります。

さて、ごみを燃やせば灰が残る。ごみ焼却施設の中では、ごみが燃えた後に燃え残った灰である焼却灰(燃え殻)と焼却によって発生した排ガスが冷えた時に発生する飛灰(ばいじん)という2種類の灰が発生します。これらの灰を焼却残さと呼んでいます。この焼却残さは毎年大量に発生しています。

燃えないごみは破砕機で細かく砕き、不要なごみとして最終処分場に処分されます。燃えないごみの内訳は自治体により異なります。廃プラスチック類を燃えないごみに含める自治体もあれば、焼却時に発生する熱をより有効に利用するため(例えば、発生した熱エネルギーを電気に変える発電や温水としての利用)に燃えるごみに含める自治体もあります。

焼却残さはどのように扱われているのか?

県内の自治体が所有するごみ焼却施設で発生した焼却残さを最終処分場に処分しようとしても、各自治体がそれぞれ処分場を持っているわけではありません。埼玉県の場合、最終処分場を持たない自治体から発生する廃棄物を受け入れるため、寄居町内に全国初の県営処分場である埼玉県環境整備センターを平成元年から稼働させています。しかしながら、県内の最終処分場に全てを処分することはできないため、県外の民間最終処分場にも処分されています。

自治体によっては、焼却残さの無害化や処分量削減を目的に、1,300℃程度の高温で焼却残さを溶融する処理が行われています。平成22年度現在、県内には5ヵ所の焼却施設で溶融処理が行われています。これにより焼却残さの量を減少させることが可能です。この時に発生する物がガラス質の溶融スラグというものです。また、同時に溶融飛灰という灰も発生します。

焼却灰、飛灰、溶融スラグは1年間にどれくらい発生するのでしょうか。平成20年度に埼玉県内で発生した焼却灰、飛灰、溶融スラグの合計量は237,876トンでした。これは焼却された一般廃棄物の排出量に対して11.9%の重量にあたります。つまり、焼却や溶融することによりごみの量が8分の1以下にまで減少することを示しています。

かつて焼却灰や飛灰は最終処分場に埋められていましたが、これらの一部は平成13年以降に埼玉県内で資源化され始めました。埼玉県内にはセメント工場がありますが、この工場でセメントの原料として資源化されるようになりました。平成20年度では、県外のセメント工場での資源化量も合わせると、64,578トンの焼却灰と飛灰がセメント原料として利用されています。また、平成17年からは、焼却灰を原料に人工砂が製造され始めました。人工砂は主に道路路盤材として利用されていますが、焼却灰の利用量は21年度で29,850トンにも達しています。さらに、溶融スラグは道路路盤材やインターロッキングブロック、道路側溝(U字溝)のようなコンクリート製品の骨材等として14,289トン(平成21年度)が利用されました。このように、今まで埋めてられていた焼却残さを資源化することにより最終処分場への埋立量を削減することが可能となりました。これにより、最終処分場の寿命を長らえることが可能であるだけではなく、天然資源の採取量を削減することができます。

最終処分場の役割

最終処分場は不要廃棄物の最終的な行き場所です。排出されたごみの大半が焼却処理されていることは先に説明しましたが、最終処分場には焼却残さや燃えないごみが捨てられています。埋立ごみには有機汚濁物質や金属等の有害化学物質が含まれているため、雨水によりそれらが溶け出てくる可能性があります。このしみ出した水を浸出水と呼んでいます。浸出水をそのまま環境中に流してしまうと環境汚染を引き起こす可能性があります。そのため、浸出水は水処理により無害化されてから放流されています。

平成20年度末現在、埼玉県内には自治体が管理するものとしては28ヵ所の一般廃棄物最終処分場が埋立中です。それら県内の自己処分場の合計残余容量は1,368,289立方メートルであり、毎年確実に減少しています。新しく最終処分場を建設することが困難な現状から考えていくと、埋立地を長く使えるようにすることが大切です。最も重要な方向性としては、ごみの排出量を削減することです。これを実行するには相当の年月を要しますので、埋立廃棄物自体を削減することが喫緊の課題となります。先に焼却残さの資源化について簡単にお話ししましたが、今後とも焼却残さの資源化を推進することは重要です。

資源ごみ

新聞紙、びん、缶、金属、ペットボトル等は有用な資源(資源ごみ)として回収されています。また、焼却残さも再生利用の対象となります。市町村が直接資源ごみを回収し、焼却残さや選別により資源として使用する場合を公共回収といいます。自治会、町内会、学校PTAなどの市民団体、資源回収業者が資源ごみを回収するのは集団回収と呼ばれ、大きく分けるとこの2つの回収ルートがあります。資源ごみの回収には既に長い歴史があり、高い再生利用率を誇っています(図2)。

集団回収により、資源ごみは安定的に回収されていることがわかります。平成20年度の実績では、再生利用率24.2%の内、集団回収による寄与分は5.9%にものぼります。県民一人ひとりの協力が循環型社会の形成に対し大きく貢献していることは間違いありません。

埼玉県における回収量と再生利用率の推移のグラフ

図2 埼玉県における回収量と再生利用率の推移

廃棄物処理における今後の課題

国の政策の下、循環型社会を形成することが基本的な方向性です。ごみをなるべく出さない、出たごみはなるべく資源として有効に利用することが大切です。

近年、地球温暖化が問題とされていますが、その対策の一つとして、ごみを処理する場合でも、焼却炉から発生する熱を電気エネルギーとして回収する発電を行う等によりエネルギー使用量を実質的に少なくする、言い換えれば温室効果ガスの排出量を少なくすることも重要となっています。

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究推進室 資源循環・廃棄物担当

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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