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掲載日:2023年1月16日
この記事はニュースレター第24号(平成26年7月発行)に掲載したものです。
熱中症対策のための「暑さ指数」ってどのような指数なのでしょうか?
⾃然環境担当 ⽶倉 哲志
「暑さ指数」は、環境省が付けた通称で、「熱中症指数」とも呼ばれます。単位は気温と同じ℃で表しますが、気温とは異なり、人体が感じる熱を的確に表して、熱中症の予防に役立てようと提案されました。正確には「湿球黒球温度」と言い、英名のWet Bulb Globe Temperatureの頭文字から、WBGTと呼ばれます。
この暑さ指数(WBGT)は、人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に影響の大きい3つの要素(気温、湿度、輻射熱など周辺の熱環境)を取り入れた指標です。乾球温度(気温)、湿球温度(気温と湿度)、黒球温度(輻射熱などに関係する温度で、直径15cmもしくは7.5cmの黒球中の温度)の3種類の温度(写真1)を計測し、以下の計算式でWBGTを算出します。
WBGT(℃)= 0.7×湿球温度+ 0.2×黒球温度 + 0.1×乾球温度
WBGT(℃)= 0.7×湿球温度+ 0.3×黒球温度
暑さ指数(WBGT)は、日本生気象学会の「日常生活における熱中症予防指針」(表1)、日本体育協会の「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」や厚生労働省の「職場における熱中症予防対策マニュアル」などに採用されており、日本工業規格(JIS)においても、「WBGT指数に基づく作業者の熱ストレスの評価-暑熱環境」としてJIS Z 8504 に規定されています。また、世界的にもISO7243として規格化されており、人の熱環境の指標として多く用いられています。
表1を見ていただければ分かるように、暑さ指数(WBGT)が28℃を超えると熱中症の危険性が高まります。実際に、熱中症患者の発生率も急激に高くなることが報告されています。気温が高くなると熱中症になりやすくなりますが、同じ気温でも湿度が高いとより熱中症になりやすくなります。なぜなら、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体の熱を逃がしにくくなるためです。
環境省では、熱中症を予防するための関連情報を提供する「熱中症予防情報サイト」を開設し、全国各地の暑さ指数をリアルタイムで発信しています。また、埼玉県熊谷市でも独自のホームページ「あっぱれ!熊谷流」で、熊谷市内の暑さ指数情報を発信しています。
埼玉県内の夏季の熱中症救急搬送者数は、平成24年は2,939人(全国2位)、平成25年は3,542人(全国4位)と、全国的に見ても熱中症発生患者が非常に多くなっています。埼玉県の健康長寿課のホームページには、熱中症予防のポイントや各省庁の熱中症関連情報が掲載されています。また、最近では、簡易WBGT計が数多く市販されています。これらを上手に活用するなどして、熱中症予防に努めてください。
写真1 暑さ指数の測定(環境省熱中症予防情報サイトより)
表1 熱中症予防の日常生活に関する指針
(日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針Ver.3」より)
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