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掲載日:2024年12月11日

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ネット通販の定期購入トラブル

【事例1】お試しのつもりが、定期購入の契約だった

SNSを見ていたら、健康飲料がお試し価格100円という広告が出てきた。安いし、1回試してみようと注文した。翌月も同じ商品が届き、商品代金7000円とあり、初めて定期購入の契約になっていることを知った。

イラスト:お試しのつもりが定期購入になっていて、送られてきた請求書を見て驚く高齢女性

 

【事例2】「解約保証」に条件があった

スマートフォンで、痩せるサプリメントが「初回限定価格300円、2回目からは割引価格の6千円、解約保証」等と書かれた広告を見て、定期購入契約だがいつでも解約できると思い気軽に申し込んだ。1回目が送られてきて試したが解約しようと思い、事業者に連絡すると「単品購入価格の1万5千円を支払えば2回目からの解約に応じる。このことは解約保証に書いてある」と言われた。そのような記載があったか覚えがない。

イラスト:定期購入の解約条件が小さな文字で書いてあることに気付き驚く女性

 

【事例3】解約したいが事業者に電話がつながらない

ネット通販で6回の定期購入コースで初回限定980円の脱毛クリームを注文した。解約は次回商品発送日の10日前までに電話でするよう記載があった。2回目からは解約しようと事業者に電話し続けているが一向につながらない。

イラスト:定期購入を解約しようと業者に電話するが全然つながらずイラつく男性

定期購入契約でよくある問題点

定期購入とは気づかなかったネット通販広告画面を高速でスクロールするイラスト

  • 「お試し」「初回無料」と書いてあるのを見て、1回限りの契約だと思った。
  • 「お試し」「初回無料」「安い」などはすぐ目につくが、定期購入であることの文字が小さすぎたり、離れたことろに記載してあって気付かなかった。
  • SNS広告にポップアップした「お試し500円」をタップしたら商品の効能をうたう漫画やクーポン画面などが次々表示され、読むのが面倒になりスクロールした。

定期購入契約とは把握していたが

  • 「いつでも解約可能」と書いてあったのに解約に細かい条件があった。
  • 1回の受け取り量や定期の回数が多く、高額で払えない。

販売業者と、契約に関する重要な情報の表示があった・なかったの水掛け論になった。

  • いくつもサイト(画面)を経由したので、どこに何が書かれていたか覚えがない。
  • いつでも解約できるようなことが書かれていたと記憶しているが、今サイトを見ると書かれていない。販売業者に「書かれていた。覚えている」と言っても取り合ってもらえず、解約の話が先に進まない。

販売業者が指定した解約可能期日までに連絡したいのに、電話がつながらない。

SNS(メッセージアプリ等)でしか解約を受け付けないとされているが、登録や操作がわからない。

特定商取引法の改正

通信販売における定期購入契約関するトラブルの増加を受け、事態を改善するために特定商取引法で以下の規定が新設されました(令和4年6月1日施行)。

  • 通信販売で契約の申込み段階における販売事業者等への一定事項の表示の義務付け(第12条の6)
  • 消費者を誤認させるような表示の禁止(第12条の6)
  • 不実告知の禁止(第13条の2)
  • 消費者が誤認して意思表示をした場合の取消権(第15条の4)

改正法令
【消費者庁】令和3年特定商取引法・預託法の改正について(別ウィンドウで開きます)

表示義務事項と表示禁止事項の「解釈」と「具体例」を示したガイドラインが策定されています。
【消費者庁】「通信販売の申込段階における表示についてのガイドライン」(別ウィンドウで開きます)

一定事項の表示の義務付け

通信販売で消費者が申込みをする際に、販売事業者には「消費者が最終確認画面を一目見て契約の全内容がわかるような表示をすること」が義務付けられました。
適用対象は「販売業者等が定める様式等に基づいて申込みが行われるもの(特定申込み)」です。カタログやチラシでの通信販売の申込用紙や申込ハガキ、インターネットでの通信販売の最終確認画面に相当する画面で、テレビCMを見て電話で申込む通信販売は該当しません。また、定期購入契約だけではなく、単発の契約も規制対象になります。

契約の全内容として表示すべき事項は、以下の6つです。

  1. 分量(数量、回数、期間等)
  2. 価格(各回の代金と、今後支払うこととなる代金の総額)
  3. 支払時期と支払方法
  4. 商品の引渡し時期
  5. 申込期限
  6. 申込みの撤回・解除(解約の申込期限、解約料等)

この義務は最終確認画面での契約の全内容の一覧性を求めているため、表示事項を広告や最終確認画面前までのどこかで表示していたとしても規定を満たしたことにはなりません。
ただし、表示事項を最終確認画面に全部記載するとかえって消費者に分かりにくくなる場合は、上記3~6の事項に関しては「キャンセルについてはこちら」など消費者が分かるようにした上でりンクを張って別ページで表示したり、広告等の該当箇所を参照とすることができます。

補足:6.申込みの撤回・解除について、販売事業者等が定める解約方法が、消費者にとって分かりにくい・手続しにくいと考えられるような場合は、リンク張りでの表示は不可で、最終確認画面に表示する義務があります(例:SNSでしか解約できない、個人情報を提出しなくてはならない等)。加えて、解約方法が「電話で受付け」で、確実につながる電話番号を掲載していない場合は、表示義務違反になる可能性が高くなります。

補足:表示さえすればどのような解約方法でも有効という訳ではありません。消費者にとって不当な条項は消費者契約法で無効とされるなど、別の法で判断されることがあります。

人を誤認させるような表示の禁止

人を誤認させるような表示に該当するか否かは、表示そのものや表示の位置、形式、大きさ、色調等を総合的に考慮して判断されます。また、特定の文言だけで判断するのではなく、表示事項の表示内容全体から受ける印象や認識により総合的に判断されます。

  • 消費者が「これをすれば有償の契約の申込みになる」と分かるようにしていない表示
    例:「無料プレゼント」と大きく書かれていたので申し込んだら有償契約だった。
    例:サイト画面にでてきた「送信ボタン」を押したら申込み完了になった。
  • 表示は嘘ではないが、実際は表示から受けた印象と矛盾したり、間違って認識してしまう表示
    例:「お試し」が大きく、定期購入の旨は小さな文字や離れたところにあって、定期購入契約と思わなかった。
    例:「お試し」「トライアル」とあって、1回だけの契約と思ったら定期購入の契約だった。
    例:「いつでも解約可能」とあって、文字通りいつでも(無条件で)解約できると思ったら、時期等細かい条件があった。

補足:「お試し」「いつでも解約可能」などの文言自体が違反という訳ではありません。本当に1回限りのお試しの申込みである、定期購入である旨が一目でわかる表示になっている、本当にいつでも解約可能であれば、誤認する表示に該当しません。

不実の告知の禁止

消費者の申し込みの撤回・解除を妨げたり、契約(契約を継続)させる目的で嘘をいう事は禁止されています。

  • 実際はできるのに「定期購入だからあと〇回購入しないと解約できない」と告げる。
  • 実際はそうでもないのに「今使うのを止めたら逆効果」と告げる。

誤認して意思表示をした場合の取消権

義務事項・禁止事項に違反した表示等によって消費者が誤認して申込みの意思表示をした場合は、消費者は申込みを取り消すことができます。

違反業者の罰則規定

販売事業者等が違反した場合は、行政処分や罰則の対象となリます。

アドバイス

違反をしている販売業者・販売サイトは利用しない

注文申込みを確定する前に「最終確認画面」を必ず確認する

広告・最終確認画面のスクリーンショット、その他やり取りなどを保管する

  • インターネット(ホームページなど)では、最終確認画面や広告の記載内容を簡単に変更することができます。
    トラブル時に、注文の際の記載内容を検証する(証拠にする)ために、スクリーンショットをしておきましょう。
  • 受注メール、納品書、電話の場合は応対した相手の所属や名前をメモに残すなど、事業者とのやり取りは残しておきましょう。

一方的に拒絶しても解約になりません

  • 通信販売では、法律によるクーリング・オフ制度はありません。
  • 解約・返品等は、事業者が定めた「返品特約」に従うことになり、「もう要らない」と一方的に受取拒否したり、送り返しても支払義務は残ります。解約には、事業者の合意が必要です。 

困ったときは、消費生活センターに相談してください。
全国共通の電話番号である「188番(いやや)」へお掛けください。

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