【事例】
ある外国人アーティストのライブチケットが欲しくてインターネットで検索し、一番上に表示されたサイトにアクセスした。「注文ができる残り時間」がカウントダウンされ、慌てて注文手続をした。購入後に、本来1万2千円のチケットが3万5千円と表示され不審に思い調べると、そのサイトは公式サイトではなく海外の転売サイトだと分かった。興行主に問合せると、そのチケットでは会場に入れないと言われたのでキャンセルしようと思ったが、サイトにはキャンセル不可と書いてある。納得できない。
チケット不正転売禁止法
チケット(特定興行入場券※後述)を不正に転売する行為に罰則を設けることで転売行為の抑止効果とし、チケットの適正な流通を目的とする「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」(通称:チケット不正転売禁止法)が定められています。
対象
日本国内で行われる映画、音楽、演劇、舞踊などの芸術・芸能やスポーツイベントなどのチケットのうち「特定興行入場券」に該当するものが対象となります。
特定興行入場券とは、不特定又は多数の者に販売され、かつ、次のいずれにも該当するチケットを言います。
- 販売に際し、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨を明示し、その旨が券面(電子チケットは映像面)に記載されているもの
- 興行の日時・場所、入場資格者又は座席が指定されたもの
- 販売に際し、入場資格者又は購入者の氏名及び連絡先(電話番号やメールアドレス等)を確認する措置が講じられており、その旨が券面等に記載されているもの
禁止されていること
- 特定興行入場券(チケット)を不正転売すること
- 特定興行入場券(チケット)の不正転売を目的として特定興行入場券を譲り受けること(=仕入れ行為)
不正転売とは、興行主に事前の同意を得ずに、元の販売価格を超える価格で、業として転売を行うことを意味します。
「業として」は、反復継続する意思を持って行うことを指し、事業者(職業としての転売)だけでなく個人であっても繰り返し継続して(元値より高い価格で)転売を行えば罰則の対象になります。
違反した場合は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその両方が科されます。
消費者へのアドバイス
- チケットを転売する、転売されたチケットを買う場合は正規(公式)のリセールサイトを利用しましょう。また、検索結果上位にあるから公式サイトという訳ではありません。サイト運営事業者の所在地や連絡先を確認し、問題のある転売サイトを利用しないよう注意しましょう。
- チケットの転売条件を確認しましょう。興行によってはチケットの転売を規約で禁止していて、転売で入手したチケットでは会場に入れないこともあります。
- チケット不正転売禁止法は、転売の場を提供しているだけのサイト事業者(プラットフォーム)に対しては特に規定を設けておらず、キャンセルや返金処理は原則対応されません。サイトの設けた規約に従うことになります。
- 転売サイトではなく個人間※注売買の場合も、売り買いした当事者間での話し合いになります。
※注:「業として」行っていない。上記「不正転売」参照
参考
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