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掲載日:2024年7月11日
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統計という道具には、良い所がたくさんあることがわかったかな?
ええ。統計を使うと、見えなかったものごとのようすが見えてきたり、正しくくらべたりできるようになるのね。
今度は、じっさいに統計がどんなふうに使われているのか知りたいわ。
そうだね。便利な道具も、使われなければ意味がないからね。
それじゃあ、統計が使われている場面を見てみようか。
まずは人口統計だね。統計にはいろいろな種類があるけど、人口を調べる人口統計はとても重要なんだ。
人間の活動の多くは人間を相手にするものだから、どんな人がどこに何人いるかを知らないとダメなことが多いんだ。たとえば、「子どもが少ないと聞いて小さめの学校を建てたら、教室に入りきらなかった」とか、「子どもが多いと聞いて子ども服の店をオープンしたら、お客がほとんど来なかった」とかになったら大失敗だよね。だから、人口を正しく知る人口統計が必要なんだ。
多い、少ないは人によってちがうんだから、「多いと聞いて」なんかで計画したらダメよね。
そうかあ、人口を正しく知ることって、そんなに大切だったんだ。
学校やお店のほかにも、道路や駅、マンションや住宅地(じゅうたくち)など、どこに、どれくらいの大きさのものが必要なのか計画する時に、人口統計はなくてはならないものなんだよ。
「国勢調査(こくせいちょうさ)」って聞いたことあるかな。5年に一度、日本に住んでいる人全員を調べる、日本で一番重要な人口統計なんだよ。
2015年の国勢調査では、全国で約70万人の国勢調査員(こくせいちょうさいん)が調査に当たったんだ。この調査で、どこに何人住んでいるかや、どんな仕事の人が何人いるかなどがわかるんだ。
日本に住んでいる人全員ってすごいね。さっきぼくは「だれかが数えて調べた」なんて言ったけど、70万人もの人が調べたんだね。
その国勢調査はどこに使われるの?
国が調べる一番重要な調査だから、いろいろなことに使われているよ。一つあげると、国会の衆議院(しゅうぎいん)の選挙区を決めるときに使うことが法律で決められているんだ。いいかげんな人口をもとに国民の代表を選ぶわけにはいかないからね。
法律で決められているなんて、本当に大切なのね。
人口統計のほかにはどんな統計があるの?
人口統計のほかに「どんな農産物がどれだけ作られているか」「工場でどんな製品(せいひん)がどれだけつくられているか」「お店でどんな商品がどれだけ売れているか」のような、産業のようすを調べる統計も重要な統計だね。
埼玉県は「さといも」や「こまつな」の生産が日本一だって聞いたことがあるよ。「りんご」は青森県、「じゃがいも」は北海道とか…。
「自動車」は愛知県がたしか一番よね。埼玉県は食べ物がいくつか日本一になっていたと思うわ。
一番がわかるのも統計のおかげだね。一番があるとうれしいけど、良いことだけでなく、悪いこともふくめて産業のようすを知ることが大事なんだよ。
たとえば、国は不調な産業を助ける仕事もしているんだけど、産業のようすがわからなければうまく助けることはできないよね。「われわれの産業は大ピンチです!」と言われて助けたら、それほどピンチじゃなかった、なんてことになってもいけないしね。
そんな大げさに言っちゃダメだよね。
でも、助けてほしいときに少し大げさに言うのは、しかたないんじゃない。本当かどうか、よくたしかめないと。
だから国は、いろいろな統計で産業のようすを調べているんだ。統計を使えば、どの産業が不調なのか数字で見ることができるから、うまく助けることができるし、むだも少なくできる。
そう、産業のようすを調べることは病気の検査(けんさ)に似ているね。お医者さんは悪い所がないか調べて、病気が見つかればちりょうするよね。もし、その検査が正しくなかったらどうだろう?病気が見つからなかったり、まちがったちりょうをしたりしたら、大変なことになってしまうよね。
そうか、だから産業のようすを調べる時は、統計が使われるんだね。
統計なら、数字で正しく表されるものね。
お医者さんのたとえ話をしたけど、実はみんなの健康を守ることにも統計は使われているんだ。たとえば、冬になると心配なのがインフルエンザ。かかってしまう人が出るのはしかたないけど、大流行にはならないようにしたい。だから、ワクチンや薬をあらかじめ用意するんだけど、どのくらい必要になるのかきちんと予想しておかないと、むだになったり、足りなくなったりしてしまう。そこでかつやくするのが統計なんだ。かんじゃ数などを毎年調べて統計を作り、予想に役立てているよ。
必要な数を決めるのに、数字で表される統計はぴったりだね。
統計のおかげで健康が守られているなんて知らなかったわ。統計ってすごいのね。
むずかしい話が続いたから、今度はスポーツの話をしよう。二人はスポーツの試合をよく見るかな?
ぼくはサッカー!野球やテニスも話題の試合は必ずテレビで見ているよ。
わたしも見るのはきらいじゃないから、家族といっしょによく見るわ。プロ野球が多いかな。
それじゃあ、プロスポーツの世界で統計が大かつやくしているという話もしやすいね。
えっ?サッカーの試合中に統計なんか使ってたかな。ボールの動きが速くてそんなヒマないと思うけど。
わたしはなんとなくわかっちゃった。数字の話でしょ。
プロ野球をよく見るあやのくんは気付いたみたいだね。プロ野球の放送を見ていると、統計データがたくさん出てくるんだよ。バッターの打率(だりつ)、ピッチャーの防御率(ぼうぎょりつ)、どの変化球を多く投げるかなどなど、あらゆる成績(せいせき)が数字で出てくる。もちろん、その数字を作るのに統計が使われているんだ。
データを使って相手の弱点を調べて、作戦を立てるのよね。左ピッチャーがにがてな相手なら、左ピッチャーを使うとか。
そう言われればサッカーも、ボール支配率(しはいりつ)とか、失点の多い時間帯とか、セットプレーからの得点とか、いろいろなデータを使ってアナウンサーが説明していたっけ。
当たり前のように使われているから気が付かないよね。一流スポーツの世界で、勝つために統計データを使うのは、もはや常識なんだ。プロチームでは統計データ分析(ぶんせき)のためのスタッフがいるくらいなんだよ。統計データを練習や作戦に役立てているんだね。
最後にもう一つ、コンビニの例をしょうかいするね。コンビニのお店はあまり広くないよね。売り場がせまいから、スーパーのようにたくさんの種類の商品を置くことはできない。だからよく売れる商品を中心にならべるんだけど、そのならべる商品を決めるのに統計が使われるんだ。
実はコンビニのレジは本部のコンピューターとつながっていて、いつどこで何が売れたのかというデータが全国から集まるんだ。おにぎりといっしょに売れる飲み物は何か、おでんはどんな時に売れるのか、などが数字でわかる。その統計データをもとに、何をいくつ仕入れるか決めているんだよ。統計のおかげで、売れない商品が大量にあまったり、売り切ればかりになったりしないんだ。
じっさいに統計が使われている場面を見てきたけど、どの場合も、ものごとのようすを正しく知りたいから統計を使っているんだね。
ほかにも、こんなことに使われているよ。
最先端(さいせんたん)の科学から、身近な話題まで、いろいろな所で統計は使われているんだ。現代の便利な社会に、統計はなくてはならないものなんだよ。
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