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掲載日:2024年5月17日
Q 橋詰昌児 議員(公明)
環境に優しい自転車は、健康志向の高まりやコロナ禍で密を避ける傾向が強まり、利用が広がってきております。複数の拠点での自転車の貸出し、返却ができるシェアサイクルや、観光地をめぐるサイクルツーリズムの人気も高まっております。
一方、利用増に伴って違反も増えており、令和4年の検挙件数は全国で2万4,549件に上り、10年間で約3.4倍に増加。自転車が関わる死亡・重傷事故のうち約7割で自転車側に違反があり、事故や違反が後を絶たない現状は見過ごせません。特に、高校生などの若者のマナー違反を指摘されています。
高齢者の方からは、ぶつかりそうになった、信号無視をする者がいるなど、若者の交通マナー改善を望む声を多く頂いております。事実、2022年の民間調査の発表では、高校生の通学時の1万人当たりの自転車事故件数が埼玉県はワースト5位とのことです。
昨年6月定例会での我が会派の権守議員の高校生のヘルメット着用率向上についての質問に対し、教育長は、県でのこれまでの取組の成果を検証する上で、アンケート調査は重要と考えますので速やかに実施をし、生徒への効果的な指導に役立ててまいりますとの答弁でした。その後の経緯も含め、高校生の自転車の安全対策の取組について、教育長に伺います。
このような中、検察庁は自転車による交通違反について反則切符、青切符の適用ができるよう制度変更する方向で検討を進めており、今国会での成立を目指しております。その検討会では、交通ルール遵守に向けた交通安全教育の充実については、自転車利用には運転免許が必要なく、教育を受ける場が限られるため、警察を中心として官民連携を強化し、幼児から高齢者まで各ライフステージに応じた教育を受けられるようにする方向性も示されています。
現状の交通ルール遵守に向けた交通安全対策について、警察本部長、また、県民生活部長の見解を伺います。
A 日吉亨 教育長
県では、令和5年7月に県立学校に対し、生徒を対象とした、自転車乗車時のヘルメット着用に関するアンケート調査を実施しました。
調査の結果、生徒の通学時における着用率は全日制高校では6.9%、定時制高校では7.8%でございました。
このアンケート調査では、「なぜ着用しないのか」という問いに対して、過半数の生徒が「荷物になる」「髪型が崩れる」と回答をしております。
一方、必要性を感じていないと回答した生徒は約2割であり、多くの生徒は必要性を感じていると思われるものの、着用にはつながっていないことから、ヘルメットの着用効果等について、一層の指導が必要と認識しています。
このことから、令和5年12月、高等学校PTA連合会の協力も得て、県立高校4校を「自転車ヘルメット着用推進校」に指定しました。
推進校では、生徒自身によるヘルメットの必要性を訴える動画の作成や、報道でも取り上げられましたが、警察と一緒にヘルメットの着用を街頭で呼び掛ける取組などを行っております。
県では、推進校の取組を各学校に周知し、各学校における自転車交通安全教室で、命を守るヘルメット着用に向けた意識の向上に取り組むとともに、PTAや警察等と連携し、高校生の自転車事故の減少やマナーの向上に努めてまいります。
A 鈴木基之 警察本部長
県内の令和5年中の自転車が関係する人身交通事故については、4,848件発生しており、そのうち、自転車側の約8割に一時不停止や安全不確認など何らかの違反が認められます。
特に、自転車乗用中の死傷者の割合を年齢層別や通行目的別にみると、高校生の登下校時の負傷者が433人と、他の年齢層、通行目的と比較して多い状況です。
自転車が関係する交通事故の防止には、こうした年齢層や自転車の利用実態に応じた適切な交通安全教育の推進を通して、あらゆる自転車利用者の交通安全意識の高揚を図ることが重要であると考えております。
県警察では、自転車に乗り始める小学生を対象としたこども自転車運転免許制度や高齢者自転車安全講習制度による自転車の交通安全教育を実施しております。
このほか、中学生や高校生には関係機関や各学校と連携した交通事故の再現の見学による疑似体験や自転車講習会など、年齢層に応じた交通安全教育を実施しております。
議員お話しのとおり、幼児から高齢者までの各ライフステージに応じた教育が受けられるようにする方向性が示されたことから、今後、国の動向も見定めながら、官民連携による自転車のマナー向上に向けた取組を強力に推進してまいります。
A 島田繁 県民生活部長
次に、御質問6「自転車事故の減少に向けて」のお尋ねのうち、現状の交通ルールの遵守に向けた交通安全対策についてでございます。
県では、様々な機会を捉え、県民の方々に、自転車の安全利用に関する啓発活動を行ってまいりました。
交通安全運動や九都県市一斉自転車マナーアップ強化月間等においては、県広報誌、SNS等による発信や、キャンペーン等による啓発を行っております。
また、自転車事故が多い中高生への対策として、中学、高校の1年生 全員にリーフレットを配布するとともに、知事が委嘱している自転車安全利用指導員と連携した交通安全教育を実施しております。
さらに、自転車事故死者数が多い高齢者に対しては、県政出前講座や民生委員等による高齢者世帯訪問において周知を図っております。
こうした取組により、昨年の県内における自転車事故死傷者数は、5年前と比べ約7割に減少しており、一定の成果が出ているものと考えております。
一方、全交通事故死傷者数に占める割合は約24パーセントと依然として高く、引き続き自転車利用者の法令遵守やマナー向上に向けた交通安全対策を進めていくことが大変重要であると認識しております。
来年度は新たに、5月に開所を予定している県警察の岩槻高齢者講習センター内において、自転車シミュレーター等を活用した体験型の交通安全教育を実施するための経費を予算案に盛り込んだところでございます。
今後も、関係機関・団体等と連携し、自転車の交通安全対策を効果的に推進してまいります。
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