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ページ番号:174085
掲載日:2023年3月13日
Q 小島信昭 議員(自民)
少子高齢化や人口減少に伴う労働力不足に備え、AI、IoT、RPAなど先端技術の活用で、少ない職員でも効率的に行政サービスを運営するスマート自治体への転換が求められています。全ての自治体で、業務の自動化、省力化につながる先端技術を徹底的に使いこなす必要があります。
総務省のAI・ロボティクスの活用事例は、三つに区分しています。一つ目は、観光案内、多言語AIや、住民問合せの対応のようなAIを使って、住民、企業を応援するもの。二つ目は、保育所入所事務などでAIを活用して業務を効率化するもの。三つ目は、市民課、税務課などの業務にRPAを活用し、業務事務を効率化するものにまとめています。このほか様々な実証実験が行われています。
AI、RPAが処理できる事務作業は、全て自動処理することによって、職員は企画立案業務や住民への直接的なサービス提供など、職員でなければできない業務に注力することになるわけですから、スマート自治体への転換に伴い、職員に求められる能力も変容すると言われている中で、時代に合ったどんな職員を、どのように養成するのか、知事にお伺いいたします。
また、経済産業省の試算では、AIを搭載したソフトウェアやシステムの開発者、AIを活用した製品の企画者などのAI人材については、2018年の国内の需要は4万4,000あるのに対し、供給は1万1,000人で既に3万3,000人が不足しており、需給ギャップは更に拡大し、30年には12万人足りなくなる見通しとのことであります。
IT関連費用が高額になる傾向にある背景には、自治体におけるITデジタル人材の不足から、システムの調達、構築を関連業者への依存割合が高くなっていることや、仕様がハイスペック過ぎることが指摘されています。不足する専門職員などの人材をどう確保、育成するのか、知事にお伺いいたします。
また、市町村が住民の記録や税金、福祉などの業務に使っているコンピューターシステムは、これまで各自治体が導入したメーカーが独自にカスタマイズする傾向が続いた結果、自治体間での仕様が異なっているケースが多く、業務システムの維持管理にかかるコストや職員の事務負担が大きくなっています。財源や職員が少ない小規模自治体では負担が大きく、AIなどの導入がどうしても後手後手になってしまいがちです。
しかし、小規模自治体のほうがスマート化のニーズは高いはずです。県として、標準化、共通化に積極的に関わるべきだと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
職員に求められる能力が変容する中で、時代に合ったどのような職員をどのように養成するのかについてでございます。
AIやRPAなどの新技術を行政サービスに取り入れていくためには、まずは職員に対して、新技術を積極的に活用するための意識付けが必要です。
併せて、議員御指摘のとおり、スマート自治体への転換を進めていくと、職員に求められる能力自体が変容していくものと考えます。
例えば、県民の立場に立った共感力や問題を解決する調整力、変革する時代に対応した企画力や行動力など、新たな技術での代替が難しい能力が今まで以上に求められると思います。
こうした能力を持った職員を育成するためには、様々な経験を積ませることが非常に有用です。
そこで、県以外での業務や幅広い人脈形成の機会を通して職員としての視野が広がるよう、国や民間企業などへの派遣を行っています。
さらに、業務以外においても様々な経験が県民目線の行政につながるものと考え、県以外の組織や人と交流することも促しています。
また、特に役付職員の登用に当たっては、常に県民の立場に立ち、高い使命感を有し、新たな課題、困難な課題に積極的に挑戦しているかをこれまで以上に重視をしてまいります。
私は、県民の声に耳を傾け、常に県民に寄り添う「県民が主語の県政」の実現を目指しており、その実現には、新たな時代に対応する能力を自覚し、自ら努力する職員の育成が不可欠と考えています。
継続して職員に様々な経験を積ませることで、県の未来を切り開き、時代の潮流を見極めることができる職員を育成してまいります。
次に、IT・デジタル分野において不足する専門職員などの人材をどう確保・育成するのかについてでございます。
AIやRPAの活用により、一般の職員に求められる能力が変容する一方で、新技術を含めたICT化を進めるためには、専門的なスキルを持った人材の育成・確保も重要です。
このため、県では、全庁的なICT化に携わる情報部門の職員のスキル向上を図るとともに、外部専門家の知見も活用していくこととしております。
職員向けには、業務に必要なスキルを習得できるICT研修のほか、最新技術の知見を得るために民間企業のICT技術部門への長期派遣などを実施しています。
また、情報システムの導入に当たっては、調達額や仕様の妥当性について、外部専門家の知見を踏まえた精査を行っております。
さらに、令和2年度は、専門家の知見を得ながら、セキュリティ対策の向上や職員への専門的研修、OJTなどを実施する予定です。
こうした取組を通じ、急速な技術の進展やICTの高度化・複雑化に対応できる専門的な人材の育成・確保に努めてまいります。
次に、市町村の情報システムの標準化、共通化に積極的に関わることについてでございます。
市町村の情報システムの共同化は、コストの削減や業務フローの見直しによる業務効率化、高度なセキュリティの確保の観点から、大変重要なものと認識しております。
国では、基幹システムの共同化を主眼とした自治体クラウドを推進しており、地方交付税措置などの支援を実施しています。
こうした国の動きを受けて、県では全市町村が参加する電子自治体推進会議においてシステム共同化を進めるための事例研究を行うなど、市町村への支援を行ってまいりました。
しかしながら、市町村による理解度には隔たりがあり、取組にも温度差があるのが実情です。
さらに、今年度から埼玉県市町村共同クラウドの構築を進めるとともに、メリットを市町村に丁寧に説明し、被災者証明など、より適した分野から取組を進めてまいります。
令和2年度は、クラウドに搭載するシステムや参加団体を拡充するため、市町村への情報提供や技術的な支援などの取組を一層強化し、理解の促進を図ってまいります。
一方、システム共同化を更に促進し、より多くの団体に参加していただくためにも、情報システムの標準化が大変重要であると考えています。
国では、全国一律に事務処理を行うシステムの標準化を優先し、現在、住民記録システムの標準仕様書の作成に取り組んでいるところであります。
県といたしましては国の動向を十分把握し、市町村に対して丁寧な情報提供や個別の相談を行うなど、きめ細かく支援してまいります。
情報システムは、行政サービスを提供する基盤として重要性を増す一方、より適した分野からの標準化、共同化を通じて効率的な設計、維持管理に努めることも重要です。
県としては、市町村が効率的で利便性の高い情報システムを活用し、住民に対してより良い行政サービスを提供できるよう支援を強化してまいります。
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