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掲載日:2023年3月13日
Q 小島信昭 議員(自民)
平成29年には九州北部豪雨が、30年には西日本豪雨が、そして令和元年、東日本台風による記録的な豪雨が甚大な被害をもたらしました。大雨による災害は、毎年日本のどこかで発生し、多くの生命と財産が脅かされています。この理由として、雨の降り方が強まり、雨量が想定以上になっているだけではなく、繰り返される大雨でダムや遊水地、川の底に上流から流されてきた土砂がたまり、以前よりも水位が上がりやすくなったとの指摘もあります。災害時の被害を最小にするため、ハード面での備えがより一層重要になってきました。
我々は昨年10月の臨時会で、本県は災害対策として防災・減災・国土強靭化緊急対策事業を実施しているものの、当該事業に係る今年度当初の起債予定額は約21億円と、全国の自治体の起債予定額の1%程度であり、十分に活用しているとは言いがたい状況を指摘し、様々な国の有利な制度を利用して、災害から県民の生命と財産を守る県土強靭化を図る予算を確保し、災害が起こりにくい県土づくりに一層取り組むことを強く求めると決議いたしました。
また、令和2年度までの三か年の緊急対策終了後も取組を続けるよう、国に意見書も提出いたしました。
来年度の国の予算では、治水対策の強化に向け、自治体が単独事業として実施する川底の掘削を支援する緊急浚渫推進事業費に呼応した特例債を活用した地方財政措置の創設なども検討されています。
激甚化、広域化をする気象災害に対応するため、県にとって有利な国の制度をフルに活用し、災害に強い強靭な県土づくりを推進すべきだと考えます。知事の覚悟をお伺いいたします。
洪水時の被害を最小限にするためには、県民の方々に氾濫時や危険箇所や避難場所などについて正確な情報を提供し、水害リスクを認識していただくことが大切です。
洪水浸水想定区域図は、流域市町村などに洪水の危険性を知らせる洪水予報河川や、水位情報を伝える水位周知河川について、平成27年の水防法の改正で、大雨の基準を100年に1度から1000年に1度に引き上げて作成、公表することが義務付けられております。その洪水浸水想定区域図に基づき、市町村は洪水ハザードマップを作成するわけですが、国管理河川は全て公表済みなのに対し、18ある埼玉県管理河川は一つも公表されていません。
それが理由だと思いますが、県内の作成対象市町村49のうち、1000年に1度のハザードマップを作成、公表しているのは、24にとどまっています。県管理の河川がある市町村は、県の洪水浸水想定区域図の公表を待たざるを得ないので、県の責任は重大です。
危険を想定して準備していくことが危機管理の大事なテーマだと思いますが、都道府県で埼玉県だけが公表されていない、公表していないという現状をどのように認識しているのか。また、洪水浸水想定区域図を作成、公表して、市町村のハザードマップ作成の支援をすべきだと思いますが、どのように対応するのか、知事にお伺いいたします。
災害が発生してしまった場合、関係団体との連携は被害の最小化につなげるため極めて重要であり、連携に向けた関係を平時から構築する必要があると思います。昨年の令和元年東日本台風の際に、国直轄河川越辺川の決壊情報は、判明から3時間半も遅れて県に連絡がありました。市町村との情報共有体制、近隣都県と関係者との連携でも、今回見直すべきところは多いと思いますが、どのように改善していくおつもりなのか、知事にお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
災害に強い「強靭な県土づくり」の推進についてでございます。
近年、自然災害は激甚化・頻発化しております。
令和元年東日本台風により、県管理河川では、堤防決壊に至った2カ所を含め、合計57カ所で越水・溢水が発生したほか、内水氾濫と合わせ、7,000戸を超える浸水となりました。
被害に遭われた県民の皆様に、改めてお見舞いを申し上げます。
このため、私が初めて取り組んだ令和2年度当初予算編成では、三つの柱の1番目として「安心・安全しっかり確保」を掲げ、「防災・減災対策の充実」を進めていくことといたしました。
この一環として、豪雨災害に備えるため、「県土強靭化緊急治水対策プロジェクト」を実施することとし、当初予算額として85億881万円を計上しております。
このプロジェクトの財源については、国の交付金のほか、「防災・減災・国土強靭化緊急対策事業債」や「緊急自然災害防止対策事業債」、「緊急浚渫推進事業債」を充て、地方財政措置のある制度を活用したところでございます。
本プロジェクトにより、洪水時の水位の低下を図るとともに、越水しても決壊までの時間を稼ぐ、強固な堤防を構築し、県民の皆様の安心・安全を確保してまいります。
また、当初予算のみならず令和元年度補正予算と合わせ、早急に県土を強靭化していくことに加え、令和2年度より5年間予定されている地方財政措置を積極的に活用し、河川の浚渫を緊急的に実施するなど、中長期的にも治水対策にしっかりと取り組んでまいります。
次に、都道府県で埼玉県だけが大雨の基準を引き上げた洪水浸水想定区域図を公表していないことについてでございます。
県では、水防法で公表が義務付けられている18河川を対象に、最大規模の降雨を想定した洪水浸水想定区域図の作成を進めています。
あわせて、本県独自の取組として、水防法では義務付けられていない148河川についても、洪水浸水想定区域図と同様な内容の「水害リスク情報図」の作成についても取り組んでいるところでございます。
現在、浸水の深さなどを算定する氾濫解析で最終案が得られた河川から順次、関係する市町村に内容を説明するとともに、隣接する都、県との調整を進めています。
県内で激甚な水害が発生していることを考慮し、検討を加速させ、スピード感を持って取り組むことが必要と認識しており、本年5月末までを目途に全て公表する予定であります。
次に、市町村のハザードマップ作成の支援についてでございます。
県で作成した洪水浸水想定区域図と水害リスク情報図のデータを市町村に提供するとともに、技術相談窓口を設け、市町村からの問い合わせに対応してまいります。
また、全市町村などで構成される減災対策協議会の場を活用し、早期避難が必要な区域などを表示した好事例や、国の交付金制度の紹介を行ってまいります。
次に、災害時における国や市町村などとの情報共有体制の改善についてでございます。
令和元年東日本台風のように、複数の河川で同時多発的に水位が上昇した場合、国、県、市町村との間で、水位の状況や越水の発生といった河川情報を迅速に共有することが極めて重要となります。
そこで、県内全域を対象として、危機管理型水位計や簡易型河川監視カメラを増設し、沿川の市町村が自ら河川の状況を把握できるようにすることにより、河川情報の共有化を進めてまいります。
特に甚大な被害を受けた入間川流域では、国や市町とともに本年1月に策定した「入間川流域緊急治水対策プロジェクト」を進めております。
この中で、既存の光ファイバーケーブル網を活用し、河川情報や河川監視カメラ映像などをリアルタイムで情報共有ができるネットワークを国や市町とともに早急に構築をしてまいります。
県民の人命や財産を守るため、あらゆる災害に対して安心・安全な県土づくりに取り組んでまいります。
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