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掲載日:2019年7月12日

令和元年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(永瀬秀樹議員)

今後の街路樹のあり方について

Q   永瀬秀樹   議員(自民

日差しが強く、緑の木陰が恋しい季節になってまいりました。東京から埼玉県に戻ると緑が少ないなと感じる人は多いと思います。まちの中にある最も身近な緑、街路樹が少なく、小さいからです。街路樹は現在、都市の景観の向上、緑陰の形成、防災、二酸化炭素の吸収など多くの機能を有し、東京都には高木が52万本、中低木が1,468万本植えられているのに対し、本県の高木は21万本、中低木は681万本です。このように比較すれば本県は本数も少ないですが、緑が少ないと感じる理由は本数だけではなく、街路樹の姿、樹形にも関係があると考えられます。
街路樹の管理は道路管理者が行うこととされており、県は県道及び一部県管理国道の約5万5,000本の街路樹の維持管理を行ってきました。しかし、残念ながら県内の多くの街路樹は厳しい成育環境と様々な管理上の理由から樹形の悪化が見られ、本来求められる豊かな緑陰を形成しているとは言いがたい状況にあると思います。樹形悪化の主な要因は、不適切な樹種選定や設計、沿道住民からのクレーム、道路管理者の理解不足、せん定技術の低下、維持管理予算の削減などが挙げられます。
私は、そうした要因を解決しながら街路樹の持つ本来の機能をより効果的に発揮させ、緑化効果を高めることで今後のより豊かな県土づくりに資するべく、街路樹の適正管理を行うために本来の街路樹の在り方について新たな検討が必要と考え、以下質問いたします。
1点目として、街路樹マネジメント方針の策定について提案いたします。
街路樹の管理及び利活用に関する様々な問題が発生する中、そもそも本県では今後の街路樹の在り方に関する方針が明確化されていません。街路樹を適正に管理し、都市の魅力を向上させる資源として活用するための方針の策定が必要ではないでしょうか。
例えば、管理面からは道路空間や地域特性に応じた育成管理を行うこと、効率的かつ質の高いせん定管理を行うこと、せん定技術、管理監督技術の向上、技術者の後継者育成、市民や企業との協働による管理を推進、また市町村との連携。また、適正な緑の利活用の面から街路樹が持つ緑の機能を有効に活用するイベントの開催、都市資源としての価値を高め、内外にPR発信、せん定枝、せん定木の新たなリサイクルの取組を推進する、市町村との連携。以上の点などを考慮した新たな本県の街路樹マネジメントの方針策定をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
2点目として、街路樹樹形再生マニュアルの見直しについてお聞きします。
本県の現在の街路樹管理の指針である街路樹・樹形再生マニュアルは、沿道住民と道路利用者に理解を得ながら、基本的に高木の強せん定を行う方法を策定したものです。127ページからなるその内容は、個々のせん定技術は適切でも、思想的に街路樹の健全な育成と今後の成熟した都市にふさわしい潤いのある道路環境の整備管理には若干そぐわないものと存じます。
一方、近年、全国的に街路樹管理については小さく抑制する管理手法から、暑さ対策や防災性の向上など道路緑化の効果の拡大に向け、樹間の拡大やより高く大きく、より木本来の自然な樹形に育てる方向、街路樹の充実、質の向上をより高める方向に変わりつつあります。東京都は、来年の東京オリンピックでの選手や沿道の観戦者の暑さ対策を契機に、管理手法の刷新となる街路樹管理の刷新、「抑制から樹間拡大へ」の取組を2017年から進めています。
この際、本県においても、そもそも強せん定を基本としたマニュアルではなく、大木となる並木を作り、町を代表するシンボルロードを形成、歩車道に緑陰を提供し、快適な交通空間を形成し、美しい並木による沿道の建築物の景観の質の向上など、街路樹が持つ本来の機能を発揮させることを目指した新たな街路樹管理マニュアルの策定を検討されてはいかがでしょうか。
以上、2点について県土整備部長の御所見をお聞かせください。

A   中村一之   県土整備部長

まず、「街路樹マネジメント方針の策定について」でございます。
県の街路樹の維持管理については、道路利用者の安全確保を第一とした剪定や沿道住民から寄せられる落葉、害虫などの多くの要望にも対応しております。
さらに、5年に1回、樹木医による街路樹診断を実施し、倒木の危険性の高い樹木の伐採や弱った樹木に対する土壌改善なども実施しております。
議員御提案の項目のうち「リサイクルの取り組み」や「市民や企業との協働による管理」については、県として取り組んでいるものもございます。
限られた予算の中で、このような維持管理を実施し、道路整備の際に新たに街路樹を設ける場合には、道路構造令等に基づき植樹をしてまいりました。
道路利用者に「うるおい」と「やすらぎ」を与える街路樹を都市の魅力向上の資源として活用することは重要であると考えます。
このためには地域の特性を生かすなど、地元市町村との連携が必要となることから、市町村の意見を聞きながら検討するべき項目もあると認識しております。
このような検討項目や課題を整理しながら、今後の街路樹のあり方について検討してまいります。
次に、「街路樹・樹形再生マニュアルの見直しについて」でございます。
これまでも街路樹を剪定する場合、「街路樹・樹形再生マニュアル」に基づき、樹木の特性を生かした樹形となるよう適切な対応に心がけております。
こうした中には、枝の落下防止や視認性の確保が必要な場合など、強めの剪定を実施することもございます。
このマニュアルは、策定から12年が経過し樹冠拡大による暑さ対策の必要性が高まるなど、一定程度の見直しが必要であると考えております。
見直しに際しては、御提案の一つである「シンボルロードの形成」などが効果的に実施できることも重要であると認識しております。
このような視点を取り入れ、安全で快適な道路空間が形成できるよう「街路樹・樹形再生マニュアル」の見直しを進めてまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。  

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