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掲載日:2019年7月12日

令和元年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(永瀬秀樹議員)

行政のスマート化について

Q   永瀬秀樹   議員(自民

我が国の人口は2008年をピークに減少しており、2042年には高齢者人口がピークとなり、総人口1億1,100万人のうち、65歳以上の人口は3,925万人と推計され、自治体の税収や行政需要に極めて大きな影響を与えると考えられています。医療や福祉、インフラ、空間管理など住民サービスの多くは地方自治体が支えており、2040年頃をターゲットに持続可能な形で住民サービスを提供し続けることができるよう、スマート自治体への転換が求められています。その大きな動きの一環として、行政の標準化や共通化とともに、破壊的技術とも言われる人工知能AIやRPAの導入が全国で活発化しています。
1点目として、行政事務のスマート化、RPAの導入についてお聞きします。
RPAとは、「Robotic Process Automation」の略語で、ホワイトカラーのデスクワーク、主に定型作業をパソコンの中にあるソフトウェア型のロボットが代行、自動化する概念です。我が国では2016年から言葉が使われ始め、2017年には大ブームとなりました。処理時間とコストの縮減、正確性の向上、自立的な業務改善はもちろん、働き方改革の即効薬としても仮想知的労働者、デジタルレイバーとも呼ばれ、スマート自治体を実現するための基礎的なインフラ技術として期待され、39の都道府県で取組が始まっています。
本県においても新たな技術を県庁に導入し、定型的な業務に係る負担を軽減することで業務の効率化や職員が政策立案に集中する時間の確保を図るため、昨年度、3課1センターの15業務で導入を試行し、業務削減率67.2%、削減時間2,257時間の業務削減効果がありました。今年度からは定型業務の更なる自動化に向け、新たに導入するOCRの導入と併せ対象業務を拡大し、本運用を開始するとお聞きしております。しかし、今年度の新たな対象業務は10業務程度であり、全国的な普及のスピードと比較するとやや不足感を感じます。
一般的に、業務時間削減や生産性向上といったRPAの効果を最大限発揮させるには、対象業務の選定が重要であり、大きく業務改善を進めるためにも現在の事業部門ごとに対象業務を上げさせる方式ではなく、県庁全体の業務を俯瞰し、RPAに適した業務を選定する方法が望まれます。そのことで広範な意味で業務そのものを見直すBPR効果も期待できます。対象業務選定について悉皆調査等、方法の見直しを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、RPAは適切に活用すれば大幅な業務効率化が可能です。ただし、本格的な活用に向けては、庁内機運の醸成や技術の習得、管理スキームの整理など幾つかの課題もあると考えられます。業務代行ロボットであるRPAは育成する必要があり、リリース時がゴールではなくスタートです。各部局における活用に向け、担当する人材の育成や包括的な支援も必要になります。全庁的な業務改善をスムーズかつ効果的に進めるために新たに専任の支援体制を作り、取り組むよう提案いたしますが、いかがでしょうか。
2点目として、RPAの市町村への導入支援についてお聞きします。
市町村においては窓口業務、内部管理業務ともに定型業務が多く、潜在的にRPAができる余地が大きく、導入が求められると存じます。しかしながら、導入に向けた課題として、何から取り組めばいいのか分からない、対象業務や導入効果が不明、参考事例が少ないといった点が挙げられるなど、まず情報不足、メンテナンスや人材教育、育成に当たる人材不足、また、財政基盤が弱い自治体にとっては導入用コストが少なからぬ負担となるなど、RPAの普及には様々な阻害要因があります。
国も地方公共団体が将来的により少ない職員での行政運営が必要となることを踏まえ、RPA導入の促進を図ることなどを目的として総務省が革新的ビッグデータ処理技術の導入促進事業を実施し、地方公共団体の導入経費の一部を補助するなど導入を推進しようとしています。
本県としても、県庁業務自体におけるRPAの導入による県内市町村へのショーケース効果にとどまらず、相談窓口の設置や導入に向けてのバレッジのためのセミナーや研修会の開催、財政支援など市町村支援に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
3点目として、AIのより広範囲な業務への活用についてお聞きします。
県では、人工知能を活用した行政のスマート化として、昨年度、庁内問合せにAI自動応答システム、ヘルプデスクを導入し、本年より県民向けAI救急相談、県民向け問合せAI構築事業も開始することとなっています。AIなどの新技術を活用した取組は、全国35の都道府県において74の様々な取組が行われており、AIは今後、庁内や県民向けの問合せに対応するコンシェルジュ的な活用以外にも、行政事務や住民サービスのより広範囲な様々な業務に活用が広がると考えられます。県は今後、AIをどのような業務や分野に活用できると考えているかお教えください。
以上について、企画財政部長の見解をお聞かせください。
4点目として、RPAの大衆化、県内企業への導入支援についてお聞きします。
本県においては今後、生産年齢人口の減少が急ピッチで進み、労働力の確保が大きな課題となっています。特に稼ぐ力の確保のため、県内中小企業の人材不足への対応として働くシニアの応援や女性の就業支援、障害者に対する就労支援、外国人労働者の受入れなどに取り組んでいますが、365日休みなく働くRPA、デジタルレイバーの導入は、人材確保に悩む中小企業の労働力確保の新たな福音になるのではないでしょうか。しかしながら、県内企業数の99.8%に当たる中小企業においては、導入に際して情報や人材の不足、コスト負担等市町村同様の様々な課題があります。
県の経済を支える中小企業の労働力不足への対応と労働生産性の向上、言うなれば経済的発展と社会的課題解決の両立に資するべく、県としても相談窓口の設置やセミナーや研修会の開催、補助制度の創設など県内の中小企業への導入支援に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。産業労働部長の見解をお聞かせください。

A   石川英寛   企画財政部長

まず、「RPAの対象業務選定の方法の見直し」についてでございます。
RPAは、簡易なプログラムによって、パソコン上の定型的な業務を自動的に処理できるソフトウェアです。
これまでは、庁内の各部局から提案された業務のうち、よりRPAに適するものを選定し、試行的に導入してまいりました。
これにより、業務削減効果が確認できたため、来年度から本格的に全庁展開を図っていくこととしました。
現在、導入できる業務と見込まれる効果を調査しているところです。
この調査を踏まえ、例えば財務などの全庁的な共通業務について、組織横断的に導入することを考えています。
次に、「新たに専任の支援体制を作り、取り組むこと」についてでございます。
議員お話のとおり、RPAなどの活用を全庁的に推進するため、体制を整備することは重要でございます。
そこで、本年度から企画財政部内に、5名からなるAI等推進の専担組織を設置いたしました。
また、6月初めには、副知事をトップとするスマート県庁推進会議を開催し、外部有識者から具体的なアドバイスをいただくとともに、全部局を対象に説明会も開催しているところです。
次に、「RPAの市町村への導入支援について」でございます。
行政のスマート化は、県だけではなく、市町村とも連携・共同して取り組むことが重要です。
そのため、7月には、新たに県と市町村で構成するスマート自治体推進会議を開催いたします。
この会議では、RPAの全国的な取組事例や導入ノウハウの提供、セミナー、意見交換などを実施してまいります。
また、今後、市町村の情報システムを集約するためのクラウド基盤の整備を行い、市町村の費用負担の軽減を図るなど、様々な面から支援してまいります。
次に、「AIのより広範囲な業務への活用について」でございます。
AIは、画像データを学習し分類することや、大量のデータを組み合わせて分析することなどに優れています。
こうした特徴を踏まえ、例えば農業分野では画像データにより梨の摘果の判断を行うアプリの開発を進めています。
また、教育の分野では県の学力・学習状況調査の結果も活用し、児童生徒の学習状況や生活習慣データを分析して指導に生かす研究にも取り組んでいます。
他にも、こうしたAIの特徴を最大限に活用できる業務や分野は幅広く考えられますが、より大きな効果が見込めるものから個別の調整を始めているところです。
今後とも、AIやRPAなど最新の技術の積極的な活用を進め、あらゆる分野でスマート化を進めてまいります。

A   加藤和男   産業労働部長

労働力が減少する中、中小企業が稼ぐ力を維持していくためには、生産性の向上が不可欠です。
特に、人手不足に直面する中小企業にとっては、喫緊の課題となっております。
こうした中、先進的な中小企業では、RPAを活用し、個別に管理していた受発注、在庫、売上等のデータを自動連携し、転記ミスや作業時間を削減し、生産性を向上させ、人手不足を解消している事例も出てきております。
県では、平成29年度から埼玉県産業振興公社に3名のアドバイザーを配置し、RPAの導入も含めたICTやAIの窓口相談や訪問相談を行っております。
平成30年に実施した民間の調査によりますと、RPAの導入は、大企業が37%に対しまして、中小企業は3%に留まっております。
また、AIやIоTに比べまして、中小企業のRPAに対する認知度は、まだまだ低いといった調査結果もございます。
そのため、現在配置しているアドバイザーによる相談の更なる周知に努めるとともに、関係団体と連携してセミナーや研修会を開催してまいります。
補助制度につきましては、RPAも対象となる国のIT導入補助金の活用を促してまいります。
RPAについては、生産性の向上や労働力の不足を補うことから、中小企業の具体的な声を聞きながら、その導入支援にしっかりと取り組んでまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。  

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

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