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掲載日:2019年10月17日
Q 安藤友貴議員(公明)
2025年には、日本の人口のボリュームゾーンを形成している団塊の世代の方々が全て75歳以上の後期高齢者となります。比較的若いとされてきた本県でも全国一のスピードで高齢化が進み、今後医療や介護の需要が爆発的に増加していきます。こうした医療ニーズの増加を病院だけで受け止めることは不可能であり、今後は病院以外での医療、すなわち自宅や施設などにおける在宅医療を充実させていかなければなりません。
その在宅医療に関して先日、公明党県議団と埼玉県医師会との意見交換会を行った際に、在宅医療連携拠点について以下のような指摘をいただきました。現在、本県は埼玉県医師会と協力をし、県内に30ある郡市医師会単位に在宅医療連携拠点の整備を進めています。平成27年度は15か所設置され、本年度中に30か所全ての郡市医師会で整備を完了していく予定であります。在宅医療連携拠点は、医療、福祉に精通したスタッフが在宅医療に関する相談を行っていますが、今後は地域住民への普及啓発や医療・介護関係者などの研修を含めて幅広い役割が期待されるところであります。
そして、平成30年度には、この在宅医療連携拠点が県の補助事業から市町村事業へ移行となります。しかし、市町村によってはその準備について温度差があるのが実態であり、30年度の移行は果たして大丈夫だろうか、県として財政的支援も含めしっかり取り組むべきとの指摘でありました。重要な課題と考えます。この点について、保健医療部長の考えを伺います。
もう一つ、埼玉県医師会から指摘された課題、在宅医療に関わる看護師確保についてもお尋ねをいたします。
地域包括ケアシステムの推進のためには、医療と介護の幅広い分野で看護師の確保が必要となりますが、現在の県の支援は病院の看護師確保に偏っているとの指摘です。現在、本県では潜在看護師が復職した場合、医療機関に対して研修経費などを支援しておりますが、その対象が3年以上のブランクがある潜在看護師が小規模病院に復職する場合に限られています。
平成26年度では630人の看護師が復職しましたが、主な就職先として病院が182人、これは全体の28.9パーセントとなります。また、会社・事業所が51人、診療所が46人であり、訪問介護ステーションへの就職は15人とわずか2.4パーセントであり、ほかの就職先と比べて極めて少数であります。今後、在宅医療を進めるためには、訪問介護ステーションや特養、老健など在宅医療に関わる分野への看護師確保が必要であります。求められるスキルも病院勤務の場合とは当然異なります。
在宅医療に関わる看護師を確保するためには、その業務に合った復職の支援を考えていくべきではないでしょうか。この点についても保健医療部長にお聞きいたします。
A 三田一夫 保健医療部長
まず、在宅医療連携拠点の市町村移行に向けた県の取組についてです。
平成30年4月までに、市町村は介護保険の地域支援事業の主体として、医療と介護の連携に関する相談支援など、国が定めたメニューを実施しなければなりません。
医療と介護の連携には、医師のネットワークを持つ医師会の協力が不可欠ですが、多くの市町村には医療の担当課がないため、医師会との調整が難しいと言われておりました。
そこで県では、郡市医師会ごとに在宅医療連携拠点を設置した上で、平成30年4月に全市町村に一斉に移行していく方針で取り組んでおります。
県が拠点の開設に向けて行った調整の場には、拠点を引き継ぐ当事者として市町村にも既に参加していただいております。
また議員お話のとおり、今後の拠点は地域における医療と介護の連携の要として、医療・介護関係者の研修を実施するなど、国が定めた全てのメニューに関わることが期待されております。
拠点が市町村に確実に移行するとともに、こうした期待に応えていくためには、拠点を運営する郡市医師会と医療と介護の連携の主体である市町村が丁寧に協議を重ねていくことが必要です。
県といたしましては、双方が協議する場を設定するとともに、現場の声をよく踏まえた上で、協議に必要な経費について財政支援も検討してまいります。
次に、在宅医療に関わる看護師確保についてです。
大規模な病院では、人材が豊富で研修のノウハウも蓄積されておりますが、小規模な訪問看護ステーションや介護施設で十分な研修体制を整えるのは困難です。
このため、訪問看護ステーションや介護施設の研修体制を充実させることが必要です。
単独の訪問看護ステーションでも、ベテランの訪問看護師が新人に同行訪問をして指導することはできますが、日々進歩する医療機器の使い方などは教えることができません。
現場からは、最新の在宅医療技術を教える集合研修の実施を求める声が寄せられています。
一方、介護施設では、摂食・嚥下障害の看護、皮膚や排泄ケアはもとより、認知症看護や緩和ケアなどの高度な看護知識が求められます。
県では、高度な専門知識を持つ認定看護師を介護施設に派遣し、必要な看護技術を指導しておりますが、現場からは「もっとこの事業を拡充してほしい」という要望をいただいております。また議員お話しのとおり、ブランクの長い看護師が復職する小規模病院に対して研修経費などを支援しておりますが、在宅医療の分野への転職を念頭に対象を広げてほしいという声も寄せられております。
こうした様々な現場の声などを踏まえて、今後の研修に対する支援の充実について検討してまいります。
県といたしましては、訪問看護や介護施設の研修体制の充実に向けた施策を展開していくことで、在宅医療を担う看護師をしっかり確保できるよう、支援してまいります。
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