ラジコンカーの部品が発火した
相談内容
組立式ラジコンカーを走行させていたところ、5か月前に購入した2種類の部品から連続して発火があった。他のものに燃え移る恐れがあったため原因を調べてほしい。
相談者から提供のあった相談品はラジコンカーの車体に組み込まれている部品で、バッテリーからの電源の入切を行う「スイッチ」と速度調整を行う「サーボ」という部品でした。詳細状況としては最初にスイッチから発火があり、焼損し使えなくなったスイッチを別のものに交換してから電源をいれたところサーボから発火があったということでした。
テスト結果
(1)外観確認
本体と電線部分に激しい焼損の痕がありました。(写真1,2)
写真1 スイッチの焼損状態
写真2 サーボの焼損状態
(2)分析機器による画像診断(軟X線検査装置、デジタルマイクロスコープ)
内部状況の確認ができる軟X線検査装置と拡大観察ができるデジタルマイクロスコープを用い詳細分析を行いました。
軟X 線検査装置では電線部の被覆内部の確認を行い、焼損の影響により短絡(ショート)があったことが予想できました。(写真3,4)
デジタルマイクロスコープではスイッチの電線部の拡大観察を行い、溶融痕※があることがわかりました。(写真5)
※短絡により局部的に大きな電流が流れ、瞬時に金属が高温で溶融して生じた丸みのある塊
写真3 スイッチの電線部の状態
写真4 サーボの電線部の状態
写真5 スイッチの電線部の拡大(20倍)
(3)分解確認
内部の電線や電子基板等の状態を確認するために分解確認を行いました。結果、内部の電子基板に激しい焼損の痕があることがわかりました。(写真6,7)
写真6 スイッチ内部の電子基板の様子
写真7 サーボ内部の電子基板の様子
(4)まとめ
発火の原因は電子基板上の電子部品の故障、異物の侵入等のなんらかの不具合によるもので、それにより電線部分に短絡が発生したことが推測できました。ただし、詳細の不具合の原因については焼損が激しく特定することができませんでした。
また、スイッチが故障した際に、何らかの電気的な異常がサーボへも影響を及ぼしたと予想されます。また、溶融痕があることから、相談の通り煙や出火を伴う高温状態であったことを確認しました。
消費者へのアドバイス
- バッテリーを搭載するラジコンなどの玩具は劣化や使用環境により発火を伴う事故を起こす場合があります。取扱説明書をよく読み、屋外など燃え移るものの少ない場所で遊びましょう。
- 一度故障した部品や、同時に組み込まれていた部品は不具合があるかもしれません。使用を中止しましょう。
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