インタビュー・コラム
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掲載日:2024年12月26日
株式会社ヤマグチ工務店
プロフィール
【株式会社ヤマグチ工務店】
総合建設業者として、大正元年に小川町で創業し、2024年で創業112年になる歴史のある会社。河川・橋梁・下水道(建設・補修・改修・維持・機能強化)を中心に、インフラ整備を行い、技術力と機動力で地域社会へ貢献。
また3年連続で「埼玉県県土づくり優秀建設工事施工者」を受賞されており、令和5年にはヤマグチ工務店の女性従業員が「埼玉県県土づくり優秀現場代理人等」として表彰されるなど、建設業界における女性の活躍を先導。先祖から受け継がれてきた技術・経験・知識・想いを後世に伝えていく会社です。
〇取材対象者〇
代表取締役:山口 徹朗(やまぐち てつあき)さん
URL: https://yamaguchikoumuten.co.jp/
大正元年に小川町で創業 地域のインフラはヤマグチ工務店が担う!
当社は創業当時から地域社会のインフラ整備の中心にいました。戦前は、小川町に軍需工場が建てられるとのことで当社が造成を請け負いました。高圧線や送電線の鉄塔を建てるにあたり送電線の足場を組んだり送電線をつないだりしました。
雪が降った際は、小川町の国道・県道の8割を除雪したり、塩化カルシウム撒きをしたりしており、これは20年以上当社が対応しています。平成26年2月の100年に1度の大雪の際は、寝る間を惜しんで夜から朝にかけて除雪の対応をしました。道路が使えないと地域の皆さんが生活できないので、いつでも出動できるように今後も続けていきます。
さらに、埼玉県の災害協定業者であることから、首都直下地震等の大規模な災害に備え、毎月、東松山県土整備事務所とIP無線の訓練を行い、初動対応の強化の一端を担っています。発災直後に、災害協定業者は一斉にパトロールを開始し、IP無線機で被災状況を県に報告することになっています。東日本大震災後から始まったIP無線ですが、訓練だけで実際活躍したことはありません。しかし、これからも準備を怠らず、地域を守っていきたいと考えています。
また、当社は3年連続「埼玉県県土づくり優秀建設工事施工者表彰」を受賞しています。先代から受け継がれてきた、丁寧で適正な施工技術を認めていただけるのは私にとっても従業員にとってもモチベーションの向上につながります。地域のインフラを担う会社として、今後も責任感をもって努めていきます。
時代の変化 ~建設業界を変えていく~
時代の変化とともに、働く「人」が変わってきました。建設業は、肉体労働、暑い、寒い、汗をかく、3K・5K(汚い、きつい、危険、臭い、暗いなど)…というイメージが強く、近年は建設業界で活躍したいという男性が少なくなってきました。今後、男性を前提とした人材確保や活用だけでは限界があり、女性やシニアの活躍も必要になってきます。ひと昔前は肉体労働でしたが、現在は機械も進化していますし、途中段階ではありますがIoTやDXなどの発展もあり、ほとんど力を必要としません。当社はこの業界に女性が必要だと考えており、積極採用をしています。建設業界の3K5Kを打破し、イメージを変えていき、もっと活性化させていきたいと考えています。
私が昔から思っているのは、「女性だけのチームに一つの現場を任せてみたい」です。例えば現場代理人、重機のオペレーター、ダンプカーの運転手などすべてが女性。玉掛け(※クレーンなどで、吊り荷を運搬する時に、フックに吊り荷を掛けたり、外したりする作業のこと)の資格保有者がいれば一つの現場ができるので、これをぜひ当社でやりたいと思っていますし、夢でもあります。当社の女性従業員は、必要な資格はまだまだ足りない方ですが、いずれは取得し、その夢を一緒に追えたらいいなと考えています!
さらに、当社は建設業の中ではどちらというと元請けであり、建設工事全体を管理する仕事がメインです。具体的には、工事スケジュールや予算の組み立てから、必要な人員・資材の調達、実際の工事の進捗管理を担っており、もちろん現場にも行きますが、資料作成や役所への書類手続き、関係者との打ち合わせなど、いわゆる事務的な業務も多く、イメージで建設業を敬遠してしまうのはもったいないです。この業界のことを知ってもらうことで、建設業で様々な人がさらに活躍できると考えています。また、当社の女性従業員はネイルも楽しんでいます。建設業でも普通におしゃれが楽しめます、というのも些細なことかもしれませんが、イメージアップのために広げていきたいと思っています。
現代は人口が減ってきており、建設業界だけではなく、労働力不足と言われています。このような状況なので、当社では2022年
12月から技能実習生を採用しています。言葉の壁は全くないと言えませんが、本人たちも努力していますし、我々もフォローしています。時代の変化によって、今までは男性が多い業界でしたが、現在は女性も外国人材も増えてきています。3K5Kのイメージを打破し、建設業界の未来の礎を作るべく、想いを強くやっていきたいです。
女性の潜在能力は偉大!!
先ほどもお話しましたが、当社は技能実習生を取り入れています。指導は当社で20年以上働くベテラン社員ですが、女性従業員もフォローをしてくれます。男性従業員が言って聞かない時でも、女性従業員が言うと聞く、ということは度々目撃します(笑)。厳しい言葉になれていない若い世代にとっては、女性従業員は頼れる先輩になっていますし、中には面倒見の良さから「ママ」と慕われる女性従業員もいます。外国人材だけではありません。建設業の男性は職人気質というか、頑固で堅物な人が多いです。なので男性同士だと、どこかぶつかってしまうのですが、女性から言われると、素直に聞く耳を持てるのです。
また、長年現場で働いている者には気づきにくいところを指摘してくれるのも女性です。私も現場に出ているので、つい「このくらいは大丈夫だろう」と見逃していることであっても、「このままにしているとこんな危険がある」と先を考え、災害や事故の未然防止につながる改善をしてくれるので、見習いたいところだなと感じます。
令和5年度「埼玉県県土づくり優秀現場代理人等表彰」に当社の女性従業員が表彰されました。この女性従業員は、7年前に当社に入社しましたが、前職は全く違う業界でした。入社後、建設業の事務を経験し、仕事と育児の傍ら勉強をして国家資格を取得。現場で経験を積み、厳しい検査に合格し、表彰されるまでとなりました。今回の表彰は、「今後、建設業界において働き方改革が進むことで、この業界で活躍する女性も増えていく、その好事例となるだろう」と、県の工事検査員がおっしゃるほどの先進事例であったと確信しています。
※関連記事:安藤 芽衣(あんどう めい)さん
後世まで想いをつなぐ
当社は、110年以上続く歴史ある会社です。先々代、私の祖父から受け継がれているヤマグチ工務店を息子、孫、そのもっと未来へ継承していくことが一番の願いです。継承していくのには、一人ではできません。周りで支えてくれる、サポートしてくれる方々が必要です。
その「つなぐ」という流れが今あります。当社には女性で現場代理人の国家資格を取得した者がいますが、その従業員の姿を見て、「私も国家資格を取得して、現場代理人になりたい!」という女性従業員がいます。ただいま勉強中で、日々頑張っています。また、ホームページを見て、「私も国家資格を取得して一緒に仕事をしたい!」という40代の女性からも求人応募がありました。その方は建設業界が初めてなので、一から教えることになりますが、そういう意欲を持っている方ならば、全面的にサポートしたいと思っているので我々としても一緒に頑張りたいですね。
建設業界は男性だけで支えていくのは難しくなってきた現代。当社は、まるっきり畑違いの職種から入社してくる方もいます。彼ら・彼女たちの能力を引き出せるように、当社はサポートをしつづけ、男性、女性、シニア、外国人など建設業に関わるあらゆる人が活躍できるように、先駆者を育てていき、どんどんつなげていきたいです。