インタビュー・コラム

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掲載日:2024年12月26日

株式会社ディーアイケイ

企業の取組file8_株式会社ディーアイケイ

プロフィール

1999年に教育ソフト出版を主な事業内容として創業し、大学と連携した発達障害児の心理アセスメント用アニメーション教材や評価プログラムの開発、オンライン授業配信システム開発のコンサルティングなど、教育分野のソフトやシステムの企画制作・販売で実績を上げる。2005年頃より、ホームページ制作の業務に徐々にシフトしていき、現在では「最も身近なITサポーター」を経営理念に掲げ、企業や自治体、大学・研究機関等のホームページ制作やマーケティング分析、DX研修事業などを手掛けている。
埼玉県多様な働き方実践企業(プラチナ)認定
従業員:13名(うち女性7人)※管理職は5人(うち女性は3人)

〇取材対象者〇
代表取締役社長:中川怜子(なかがわれいこ)さん

URL: https://www.dik.co.jp/

「子育てや家族を大切にできる社風」はこうして出来上がった

当社でホームページ制作にシフトしつつあった2005年に私(代表取締役社長 中川氏)は入社し、当時の社長(現 取締役会長 金子弘行氏)と日々汗をかきながら顧客開拓をしていました。その後、第一子を出産しましたが、子供が入退院を繰り返していたこともあってやむを得ず一旦退職をしました。退職後、自宅で仕事をしながら生活していけるようにと考えて、上級ウェブ解析士やGAIQ(Googleアナリティスクス個人認定資格)などの資格を取得しました。そういう状況を当時の社長に話したところ、「これからのビジネスに必要だから、ぜひ、うちの会社に戻ってきて生かしてほしい」と言われ、また当社で働くことにしました。復帰したのは今から10年くらい前でしたが、当時の社長が「在宅で仕事をしてもいいし、子連れで出社してもいい」と言ってくれたので、お客様の了承を得てですが、子連れで打合せをしたり、子供をおんぶしながら同僚と打合せをしたり、当時の社長が車の中で自分の子をあやしてくれている間にクライアントと打合せをしたり、会社と子育てがかなり近い距離感で、周囲に支えていただきながら両立してきたという経験があります。

当時の社長の寛大さもあり、子育てのその時々の状況に合わせて働くことができ、私はキャリアを積むことができたと思っています。その精神は、現在のディーアイケイの職場環境や社員への向き合い方の根幹にもつながっています。
(2019年に事業継承により、代表取締役会長に金子氏、代表取締役社長に中川氏が就任)

若手の成長を促すよう、フォローし合う体制で業務を回す

現在の当社の業務内容は、全体の約6割が顧客(企業や自治体等)のホームページの新規制作、約3割が顧客のホームページの保守管理、残り約1割がホームページを活用した社員教育やコンサルティングです。

業務の回し方については、例えばホームページの新規制作であれば、3、4名で担当するようにしています。1人のディレクターが1人の制作担当者に作業を依頼し、さらにその社員が作業した続きを別の社員が作業していくという流れです。そして、次の工程をこなす社員が忙しかった場合には別の社員が代われるように、情報共有ができるシステムを作っています。やろうと思えば、1人のディレクターからの指示で、1人の制作担当者でその案件をすべて受け持つこともできるのに、あえて複数担当制としているのには理由があります。

1つは、社員の多様な働き方を実現するためです。社員の中には、子育てや介護をしながら仕事をしている者もいるので、何かあった時のために「誰かが代われる」という状態にしておかないと、一緒に仕事をしていくのが難しくなってしまうと考えています。

もう1つは、社員間で、互いに学びあえる環境を常に設定しておくためです。自分一人で仕事が完結してしまうと、誰とも話さずに仕事ができてしまうこともありますが、そうではなく、スキルが高い社員が、若手社員に対して業務の中で助言したり、フィードバックしたり、というのを自然にできるようにしておくことで、どんどん若手社員はホームページづくりのスキルを上げていくことができます。そうした社員間のコミュニケーションは、在宅で介護をしながら仕事をしているベテラン社員がオンラインでつながり、若手社員を育てることもあります。現在の当社は、若手社員と中堅、ベテラン社員のバランスがよく、また、今後も20代の若手社員を採用していきたいと考えているので、今、教えてもらうことが多い若手社員も、5年、10年経った時に、教える側として活躍してほしい、と期待しています。

人と人とで磨き合って仕事を進めていく、みんなで情報共有しながら仕事を進めていくという文化は、今後も続けていきたいと考えています。

                 PC

”時間外勤務はしない”という経営者の考えを社員と共有する

当社では、多様な働き方を推進しながらも、継続的に事業を継続していくために、社員が時間外勤務をする場合は許可制を取っています。顧客から終業時間間際に「今日中にやってください」というご依頼があったとしても、ご依頼の単価と時間外勤務手当を比較した場合に、時間外勤務手当の方が金額出てしまう場合には、結局会社としては利益が出なせなくなり、賞与が減ることにもつながります。時間内に終わらせて利益を出せば、その分が賞与にも反映され、自分のプライベートの時間にも金銭的にも余裕も生まれるため、そうしたいい循環を生み出していきたい、ということを社員にも理解してもらっています。

時間もお金も有限です。お客様のためにと、利益を出す体質が合致していれば、結果的には中長期的に質の良いサービスを提供し続けられると考えています。

効率的に仕事を進めるためにいくつか工夫をしてきましたが、例えば、情報共有の在り方で、コロナ前の2018年頃からビジネスチャットツールを導入したことで、メールに比べて格段に時間がかからないようになりました。

社員のキャリアを中断させないよう、就業規則を工夫

当社はすべて正社員ですが、体調に不安がある社員や介護をしながら働く社員など、丸一日働くのは難しいけれど6時間だったら大丈夫、という社員もいるので、短時間正社員を選択できるようにしています。短時間でも、社会保険は適用され、また、本人が8時間勤務に戻りたい希望があれば戻れるようにしているので、そうした選択ができることは、社員の安心にもつながっていると思います。

また、勤務時間は、以前は9時から18時のみでしたが、現在は8時から17時までの勤務もできるようにしており、子育て中の社員を中心に活用されています。利用者は徐々に増えて、半々くらいになりつつあります。社員にとっても就業規則は身近で、チャットなどで個別に就業規則の疑問点を報告してもらい、それを社労士さんに確認して、見直すべきところは見直す、ということを繰り返してきました。

私の経験上、女性であれ男性であれ、子育てや介護といったライフイベントと仕事をいかによいバランスでこなしていくか、ということは非常に重要だと考えています。課長職の男性社員に子供ができた時も育児休業をとってもらいたいと思いましたし、半年間育児休業を取得した課長職の男性社員の仕事を引き継いだ社員の成長が見られるなど、組織としてプラスの効果もありました。現在、管理職として働く女性社員も育児休業を取得していますが、子育てで能力が養われて、仕事上でのマネジメント能力も上がったと思います。子育てで得る経験や、養われる能力もあるので、辞めてしまうのは会社にとっても大きな損失になると思っていますので、社員が戻れる、働き続けることができる職場環境は今後も追及していきたいです。

                 外

社員の人生を大切にする会社

人と人とで磨き合って仕事を進めていく話しをしましたが、社員の育成は一番力を入れていると言っても過言ではありません。私(代表取締役社長 中川氏)も、現在の営業の要の社員が入社してきた時にデータ分析やマーケティング分析等のノウハウを一から教えましたが、彼がすごくやる気があり、どんどん知識を身に付けて、データ分析の面白さを理解して成長していってくれるのが、本当に楽しかったです。当社では、教えることが好きな社員が多いですし、少数精鋭の会社で、スペシャリストの側面も大事ですが、ホームページ制作に関してどの社員もお互いの仕事をサポートしながら一流の仕事ができることを目指しています。

これはめずらしいかもしれませんが、新入社員で入社する際にはその社員のご実家に行き、ご両親に会わせてもらって、就業規則をわかりやすくした資料を見せながらどのような環境で仕事をするのかを親御さんに説明したり、「責任もって育てていきますよ」ということをお話しています。

また、昨年結婚した女性社員が旦那さんの仕事の関係で少し遠方に引っ越すことになり、当社まで通えるかを悩んでいたのですが、「在宅ワーク中心でいいから、当社で仕事を続けてほしい」と伝え、現在も第一線で働いています。新卒で入った男性社員で「将来、自分が子供を育てながら働くことや家族を大事にしながら働くことが、この会社ではイメージができたから入社した」と言っていた者もいます。

社員が自分の家族を大切にしながら働き続けることができるというビジネスモデルは、今後も続けていきたいと考えています。

                 パーティー

 

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