コラム
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掲載日:2024年12月26日
人生100年時代を前向きに生きる
最近は、新卒であっても、専門性やスキルが生きる会社や自身の強みを生かせる職種で勤務できる会社に就職を希望する方が増えているらしい。ジョブ型へ移行する会社が増えていることからも、これが時代の流れかもしれない。
私の場合、大学を卒業する時、やりたいことは明確ではなかった。今の会社に入社するときも、中小企業を支援する業務内容に惹かれて、エントリーシートを出して、リクルーターとの相性も良くて、運良く入社できたというのが実際のところ。
入社後は長く融資業務を経験。その後、意図せず支店の総務関係の業務を行うこととなったが、融資業務を看板に掲げている会社なので、気が向かなかった。予算執行(資産の取得、経費の支払等)、採用、文書管理、庶務全般等、今まで経験したことのない業務ばかりで、分からないことが多くて四苦八苦。仕事を投げ出すわけにもいかず、周りに相談したり、自分なりに調べたりして、しばらくやってみたら、調達手続き(必要なサービスや物品を購入する際の具体的な手続き等)を知ることができたり、採用する側の立場を経験できたりと、分かることやできることが増えていった。組織を支える色々な立場の人がいて組織が回っているという今まで見えていなかった景色も見えてきた。
その後、本店に異動し、事業所内保育施設の設置に係るプロジェクトを主導したが、予算執行の実務経験が大いに役立ったし、部署間調整や業者との折衝においても、カウンターパートとなる相手のさらにその背後にいる人を意識して交渉ができるようになる等、表層的なものの見方が奥行きのあるものに変わってきたように感じる。
振り返ってみると、支店での総務関係の経験が、私のキャリアにおけるターニングポイントになった。物事の見方に広がりが出て、新しいことに取り組むことへの抵抗感が薄まった。これから新しい環境に置かれても、努力すれば何とかなるだろうし、自分が成長する機会を与えてもらっていると前向きに受け止められるようになった。管理職になって職責が重くなり不安を感じることもあるが、職責に比例してやりがいが増して、人生が充実してくると思えるようになった。
こうした経験から、「自分が希望していない、気が向かない業務もあるけれど、その経験は、もしかしたら自分自身を変える貴重な機会となるかもしれない。思い込みや先入観で判断せずに、まずはやってみるのもいい。目の前の仕事に誠実に取り組むということが大事である」という考え方が私のポリシーになった。
専門性を身に付けて働くことにも興味はある。しかし、こういう働き方だって立派な働き方だと感じている。いろいろな働き方があっていいのだと思う。
私は、どちらかというと新しいことにしり込みするし、石橋をたたいて渡らないタイプ。一方で、気楽に構えて運命に身をゆだねる、いい加減なところもある。
人生100年時代。変化を恐れないというと、やや格好つけすぎている言い方だけれど、あまり身構えすぎず、変化を楽しもうと前向きに生きる努力はしていたい。