インタビュー・コラム
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掲載日:2024年12月26日
S・K さん
プロフィール
三児の母。仕事と家庭の両立を図りながらキャリアアップにも積極的に取り組む。
大学を卒業後、京都のグループ企業に就職。結婚後、退職し、1年間イギリス生活を送る。帰国後、2012年に株式会社モリタ東京製作所へ入社し、国内外の薬事申請業務等を担当。2022年には、品質技術部技術管理課の課長に昇進。
株式会社モリタ東京製作所:https://www.morita.com/jmtmc/ja/
仕事も育児もフル回転
社内では、医療機器を販売するための国内外の薬事申請業務等を担当しています。その申請業務には、ある程度の英語力は必要不可欠で、法律や給水の技術的なことも理解しなければなりません。取引先はアジア、その他ヨーロッパ、オセアニアと多くの国との取引があり、申請書類作成だけでも結構大変です。日本国内の業務についても、歯科医師が取扱う医療機器についての知識など、理解しなければならないことが多く、苦労することもたくさんあります。
仕事と生活の両立で大変だったことは、3人目を出産して職場復帰した時の保育園の送り迎えですね。3人を保育園に連れて行き、出社するまでに1日の体力の半分くらいがなくなっていたように思います。よっぽど会社で仕事をしている方が楽でした。
今も、時間短縮勤務を利用していますが、夫の協力を得ながら保育園と学童保育への送り迎えでフル回転です。
まさか埼玉で働くとは思ってもみなかった
私はもともと関西出身で、新卒で京都にある当社のグループ会社に入社しました。結婚した後、関東で暮らす予定でしたので、埼玉の当社を紹介してもらいました。その後、1年間イギリスで過ごすことになったのですが、関西で生まれ、ずっと関西で育ってきた私が、帰国し、埼玉で働き、もう10年位経過しました。これも不思議な縁ですね。
キャリアが途切れる不安はありましたか?
結婚して仕事を辞めて1年間海外で生活をしましたが、私の場合、1年間という比較的短い期間であり、帰国後の仕事の話をいただいていましたので、キャリアが途切れる不安はそれほど感じませんでした。むしろ、早く仕事に復帰したいと考えていました。結果的に1年間のブランクは、仕事に関して言えばまったく不安ではなかったのですが、その後に子育ての不安が待っていました。
1人目を出産し職場復帰する際には漠然とした不安がありましたが、いろいろと試行錯誤しながらなんとか仕事との両立もできました。周りに両親もいないので、子どもが体調不良になったりすると夫婦で対応する必要になり、始めの頃は3日、4日仕事を休んだこともあり、やはり苦労もありました。それからは、夫婦でうまく調整してなるべく仕事に支障がないようにしてきたつもりです。2人目を出産した時も両立はしんどいかなと思いましたが、なんとか両立できました。そして3人目の出産後の職場復帰は、もう本当に無理と思っていましたが、なんとかここまでくることができました。
私の性格からして、家庭内で子どもとずっと2人きりでいるよりも、保育園に預けて仕事と育児を両立している方が向いているようでした。子どもと過ごす時間は、子どもの成長を身近に感じることができるとてもかけがえのない時間でしたが、育児休業中に「働きたい」と思う気持ちも徐々に強くなっていきました。
苦労の連続だけど工夫していること
仕事も生活も苦労が多いのですが、次の4点を心掛けています。
(1)挑戦してみること、(2)時間のかかるものから先にやること、(3)早く行動すること、(4)本を読むこと
何事も挑戦する前に諦めたらそこで終わってしまいます。やってみたら上手くいくことが多いのではないでしょうか。仕事・育児・家事に追われると時間はいくらあっても足りないと感じますので、とにかく自分自身が早く行動して時間を作ることを心掛けています。これは、職場にいても家庭にいても同じです。自分が読書をするだけでなく、忙しくても家庭では子どもに本の読み聞かせだけはしてあげたいと思っています。そのためには、子ども達にも早く行動するように協力してもらい、少しの時間でも確保するようにしています。仕事でも家庭においても、時には完璧ではなくスピードを優先という場合もあります。
課長になって気持ちの変化は?
社内で初めての女性課長ということでしたので、そのことについては素直に嬉しかったです。もちろん課長になり、色々な面でプレッシャーを感じることもありますが、実際に課長になれて良かったと感じており、これからも前向きな姿勢で仕事に取り組むつもりです。
業務上、関係部署に資料作成等の依頼をすることが多くありますが、直接課長同士で話す機会が増え、協力を仰ぎやすくなりました。
管理職として、業務の多能工化を進めています。
子どもがいると急に休まないといけなくなること、急にテレワークになることもあります。そのような場合、メンバー同士でデータが共有できていれば、業務に大きな支障は発生しません。やはり一つの業務を複数の人ができるようにすることが大切ですね。育児に限らず、誰もが急に休むことや急に早退することがあります。誰かが休んだとしてもお互いにフォローできるような体制づくりを進めています。
いろいろなものに興味を持ち、新しい課題へ取り組む
仕事内容が日本や海外の法規制に関連するので、今までにない新しい課題が多く出てきます。そのような課題に対しては、情報収集を徹底し、案を出し、外部とのコミュニケーションを経て解決するようにしています。薬事申請業務が円滑にできるように、業務に必要な法律や海外情勢についての勉強を継続しています。また、業務に直接関係ない分野についても、本を読み新しい知識を得るようにしていて、最近では、会計の本を読んでいます。自己啓発の本は、特別難しいものではなく初心者向けの本を読むこともあります。車では英語のニュースを聞いています。今は家に帰ると、家事をやって子どもを寝かせることで手一杯になっていますので、工夫して少しでも自分の時間を作ることが私の課題かもしれません。
本を読んで、人の考え方を学ぶことも大切だと思います。
例えば、「様々な分野でプロと呼ばれる人達は、どんなことを考えていらっしゃるのかな」と疑問に思ったら、「365人の仕事の教科書」などを読みました。気軽に読めて、いろいろな方の仕事に対する考え方や今までの対処法を知ることができて、結構参考になりましたよ。
今まで良い経験をした分、今後は後輩へ恩返し
職場の上司・同僚など仕事上の人間関係には恵まれて、運は良い方だと思います。若いうちは、当時の上司から業務終了後にプログラミングを教わったこともあり、とても感謝しています。その他にも、スキルアップにつながるアドバイスをいただくことも多く、今後は自分が同僚や部下に対して何か良いアドバイスをして恩返しみたいな感じができればいいなと思います。
女性の管理職がもっと増えるように
会社の人事については、私の立場から申し上げることはありませんが、若い世代の女性がもっと上位職を目指す意識を持ち、皆が自然と努力をする雰囲気があって、その努力が評価される環境であってほしいと思います。当社は若い女性社員が多いので、管理職を目指す女性社員や仕事と家庭の両立を目指す女性社員が一人でも増えればいいなと思っています。そのために人事面や女性活躍に関して、私にできることがあれば喜んでお手伝いしたいですね。
もっと視野を広げたい
自分の仕事と家庭のことだけで毎日が終わってしまうことが多いのですが、毎日がそれだけだと、すごく世界が狭いまま年を取るようでちょっと寂しいですよね。仕事に関係ないことですが、今世界で活躍されている女性が、今までどのような道のりをたどって今の立場にいるのかなど知りたいと思いますし、知ることによって私も頑張ろうとか、モチベーションのアップにもつながります。以前、国連の軍縮担当上級代表を務める中満事務次長の本を読んだことがありました。その本には世界中の危機の現場に行かれた時の話が書かれていたのですが、何かとっても刺激になり視野が広がった感じがしました。私は本に書かれている当事者にはなれませんが、自分の会社でもっと頑張ろうと前向きな気分になりました。本には、自分が悩んだ時などの解決のヒントが書かれていたりしますし、人生に役立つ情報が載っているので、今後も多くの本を読みたいと思っています。
迷った時は声に出してみる
悩みや不安を抱えながら働いている方へ
一人で悩まず、まずは友人でも周囲の人にでも相談してみましょう。人に相談することで新しい情報を得ることができ、相談中に自分の考えを声に出すことで、自分がどのような道に進みたいのかが、わかってくることもあります。
そして、読書がおすすめです。自分の選んだ本を自分のペースで読むことで、解決のヒントを見つけることができて、結果的に自己解決できることも結構多いものです。
品質技術部 技術管理課 S・K(写真右)
経営企画部 人事総務課 K・K(写真左)