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掲載日:2023年9月25日
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収用裁決申請等の手引き・第1編第1章 土地収用制度のあらまし
”土地収用制度”の概略についての説明です
道路、河川等公共の利益となる事業を実施するとき、多くの場合、新たに土地が必要となります。
これらの事業を行おうとする者は、その土地の所有者と交渉し、契約によって、必要とする土地を取得しなければなりません。
しかし、補償金の額や代替地について土地所有者の承諾が得られず、ときには、境界や所有権に争いがあったり、また土地所有者が分からないため、交渉もできず、任意に契約ができない場合もあり得ます。このような場合でも、事業を進めるためには土地を取得しなければなりません。
憲法第29条第1項は「財産権はこれを侵してはならない。」とし、財産権の保障を定めています。
一方、同条第3項は、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」ことを定めています。このことを具体的、手続的に定めたものが土地収用法です。
1 事務の流れ
土地収用法に基づく収用委員会の収用手続の前には、事業認定の手続が行われることが原則です。ここでは、この事業認定の手続及び収用委員会での手続についての説明をしますが、これらの手続の流れは、次のとおりです。
2 主な用語についての説明
ここでは、前掲の手続の流れに係る図の中の主な用語について説明します。
起業者
土地を収用し、又は使用できる、公共の利益となる事業を行う者をいいます。
事業認定
国土交通大臣又は都道府県知事が、起業者の申請する事業について、土地を収用し、又は使用するに値するかを判断し、起業者に対して、法に基づいて収用裁決申請等をする権限を与える処分です。
したがって、起業者は原則としてこの「事業認定」の申請をして、その処分を受けてはじめて収用裁決申請を行うことができることとなります。
なお、例外として、都市計画法上の特例があります。(第1編第2章第1の2参照)
収用
土地物件又は土石砂れきの所有権を取得すること、及び地上権などの所有権以外の権利を消滅させることを言います。
使用
土地、建物の使用権を取得し、又は所有権以外の権利を制限することを言います。
土地所有者
収用又は使用の対象となっている土地を所有している者を言います。
関係人
収用裁決申請の場合においては、土地に関して所有権以外の権利(例えば、賃借権、地上権、抵当権など)を有する者、収用しようとする土地の上にある建物等の物件の所有者や物件に関して権利を有する者を言います。
裁決申請
起業者が、土地を収用し、又は使用しようとする場合は、収用委員会の裁決を必要としますので、起業者は裁決申請書を作成して収用委員会に申請しなければなりません。
明渡裁決申立て
土地の収用又は使用の裁決がされても、土地の明渡し等がなければ、その土地を使うことはできません。そこで、起業者は、土地の明渡しを受けるため、明渡裁決申立書を作成して収用委員会に申立てしなければなりません。
この申立ては裁決申請と同時かその後にします。
なお、上記の裁決申請及び明渡申立てには、期限があります。
受理
収用委員会は、裁決申請書又は明渡裁決申立書が提出されると法令に適合しているのかどうかを審査し、受理又は却下の処分をします。
受理によって、事件が収用委員会の審理の対象となり、法定の手続が開始されます。
この申請書又は申立書が受理されると、その写しが関係市町村長により2週間縦覧に供されます。
土地所有者及び関係人は、その縦覧期間内に意見書を収用委員会に提出することができます。
この期間が経過すると、収用委員会は裁決手続の開始を決定し、その旨を公告し、さらに収用し、又は使用しようとする土地を管轄する登記所(法務局)に裁決手続開始決定の旨の登記を嘱託します。
審理
収用委員会は、縦覧期間が経過しますと、裁決申請等に対する審理を開始します。
この審理で起業者、土地所有者、関係人等は、土地収用法で定めるところにより意見(主張)を述べ、証拠の申立てをすることができます。
審理は、裁判類似の行政手続としての準司法的手続により、原則として公開で行われます。
裁決
収用委員会は、裁決申請及び明渡裁決申立てに対して裁決をします。
裁決申請を認める場合には権利取得裁決となり、明渡裁決申立てを認める場合には明渡裁決となります。
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