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掲載日:2023年7月31日

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第5章 裁決後の手続と効果

収用裁決申請等の手引き・第1編第5章  裁決後の手続と効果

土地収用法に基づく権利取得に係る裁決又は明渡裁決がなされた後の諸手続やその効果に関する説明です。

第5章  裁決後の手続と効果

起業者は、権利取得裁決において定められた権利取得の時期までに、権利取得裁決で決定された補償金、加算金及び過怠金の払渡、替地の譲渡及び引渡又は法第86条第2項の規定に基づく宅地の造成をしなければなりません。

なお、補償金の受領を相手方が拒んだときには、供託をする方法があります。

裁決に示された権利取得の時期や物件の引渡し等の期限までに下記1及び2の補償等の義務が履行されると、土地の所有権の取得や物件の移転が行われるなど、裁決の内容が実現することになります。

第1  権利取得裁決による補償の払渡等又は供託

1  払渡し等

(1)補償金等の払渡し

起業者は、原則として、裁決書に記載された土地所有者又は関係人に対し、権利取得の時期までに、補償金等を払い渡さなければなりません。(法第95条第1項)

なお、払渡しの費用は起業者の負担です。(法第127条)

(2)替地の譲渡及び引渡し

起業者は、替地補償の裁決があったときは、替地の所有権を移転し、引渡しをしなければなりません。(法第95条第1項)

(3)宅地の造成

宅地の造成による損失補償の裁決があったときは、起業者は権利取得の時期までに、宅地の造成を行わなければなりません。(法第95条第1項)

2  供託

(1)補償金等の供託(法第95条第2項)

起業者は、次の場合には権利取得の時期までに補償金等を供託することができます。

  • ア  補償金等を受けるべき者がその受領を拒んだとき、又は補償金等を受領することができないとき。(法第95条第2項1号)
  • イ  起業者が過失がなくて補償金等を受けるべき者を確知することができないとき。
  • ウ  起業者が収用委員会の裁決した補償金等の額に対して不服があるとき。
  • エ  起業者が差押又は仮差押により補償金の払渡を禁じられたとき。

(2)差押え等の供託(法第95条第2項)

(3)起業者が裁決額に不服である場合の供託

起業者が収用委員会の裁決した補償金等の額に対して不服がある場合であって、補償金等を受けるべき者から請求があるときは、起業者は、自己の見積金額を払い渡し、その額と裁決による補償金等の額との差額を供託しなければならないとされています(法第95条第3項)

(4)権利の存否不明の場合の供託(法第95条第4項)

(5)替地の供託(法第95条第5項)

3  裁決の失効

起業者が払渡し又は供託等を履行しないときは、権利取得裁決は、その効力を失い、裁決手続開始の決定は取消されたものとみなされます。(法第100条)

第2  明渡裁決による補償の払渡又は供託

1  払渡し等

(1)補償金の払渡し

起業者は、明渡裁決で定められた明渡し等の期限までに、補償金を払い渡さなければなりません。(法第97条第1項)

(2)物件の移転の代行

物件の移転の代行は、明渡しの期限までにしなければなりません。(法第97条第1項)

(3)宅地の造成

明渡しの期限までに宅地の造成をしなければなりません。(法第97条第1項)

2  補償金等の供託

明渡裁決に係る補償金等の供託については、概ね権利取得裁決の場合と同様です。

3  裁決の失効

以上のことを履行しないときは、明渡裁決は、その効力を失います。

ただし、事業認定の告示があった日から4年を経過していないときは、その期間経過前に限り、改めて明渡裁決の申立てをすることができます。

なお、その期間を経過しているときは、裁決手続開始決定及び権利取得裁決も、取り消されたものとみなされます。(法第100条第2項)

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第3  裁決の効果

1  権利取得裁決の場合

土地を収用する裁決のときは、裁決で決定された権利取得の時期に、起業者は、当該土地の所有権を取得し、その土地に関する他の一切の権利は消滅します。また、土地を使用する裁決のときは、その使用に支障となる他の権利は使用の期間中は制限されることになります。

ただし、権利取得裁決があった場合でも裁決で決定された明渡の期限までは土地所有者等は、従前の用法に従い土地を占有することができます。(法第101条)

2  明渡裁決の場合

(1)原則

明渡裁決があった場合、当該土地又は当該土地にある物件を占有している者は、明渡裁決において定められた明渡しの期限までに、起業者に土地若しくは物件を引渡し、又は物件を移転しなければなりません。

なお、引渡し又は物件の移転の義務に違反した者に対しては、罰則の適用があります。(法143条4号)

(2)「移転の代行又は代執行」の請求

移転の代行又は代執行は、明渡裁決において定められた明渡しの期限までに建物等の占有者が物件の引渡し又は物件の移転の義務を履行しない場合等に、これら引渡しなどがあった場合と同等の効果を発生させて公共事業に係る工事等を行えるようにするための手続です。

  • ア  代行の請求
    起業者は、土地若しくは物件を引渡し、又は物件を移転すべき者(義務者)がその責めに帰することができない理由で義務を履行できないとき、又は起業者が過失がなくして義務者を確知することができないときは、市町村長あてに移転等の代行の請求をすることができます。この請求があると、市町村長は義務者に代わって義務者のなすべきことを行うことになります。
    なお、起業者は、代行の請求に際しては、義務者がその責めに帰することができない理由で義務を履行できないこと、又は起業者に過失がなくて義務者を確知することができないことを証明する資料を提出する必要があります。(法第102条の2第1項)
    また、市町村長は、法第102条の2第1項の規定に基づく代行に要した費用を土地若しくは物件を引渡し、又は物件を移転すべき者から徴収するものとされています。
    なお、市町村長は、代行に要した費用に充てるため、義務者が起業者から受けるべき明渡裁決に係る補償金を義務者に代わって受けることができます。
    (法第128条第1項、同条第2項)
  • イ  代執行の請求
    • (ア)起業者は、義務者が義務を履行しないとき、履行しても十分でないとき、又は履行しても明渡の期限までに完了する見込みがないときは、都道府県知事に対して代執行の請求をすることができます。
      この請求が適法なものである場合、都道府県知事は、土地収用法第102条の2の規定に基づき、行政代執行法の定めるところにより、義務者がなすべきことを行い、又は第三者にそのことを行わせることになります。
      この場合の代執行は、起業者が国や市町村であっても都道府県知事が行うものであり、裁決をした収用委員会が行うものではありません。
      都道府県知事に対する代執行の請求は、次の事項を記載した書面により請求します。
      • (1)  起業者の名称
      • (2)  事業の種類
      • (3)  明渡裁決の年月日
      • (4)  明渡の期限
      • (5)  引渡しを受けるべき土地(物件)の表示並びに土地所有者、関係人その他土地(物件)を引き渡すべき者の住所及び氏名
      • (6)  移転すべき物件の表示及び物件所有者その他当該物件を移転すべき者の住所及び氏名
      • (7)  引渡し又は移転の代執行を請求する理由
    • (イ)代執行は、行政代執行法が定めている次の手続により行われます。
      • (1)  文書による戒告
        相当の期限を定め、その期限までに履行されないときは、代執行をなすべき旨を戒告します。
      • (2)  代執行令書の送付
        代執行をなすべき時期、代執行の責任者の氏名、代執行による費用の見積額等を義務者に通知します。
      • (3)  代執行の実行
        移転すべき物件を解体し、これを収用地外へ搬出します。この場合、第三者にさせることもできます。
      • (4)  代執行に要した費用
        納付命令を発します。この場合、国税滞納処分の例により徴収できます。

お問い合わせ

収用委員会事務局    

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 職員会館4階

ファックス:048-830-4945

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