トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 令和6年6月定例会 > 令和6年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 > 6月21日(金曜日) > 萩原一寿(公明) > 令和6年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(萩原一寿議員)
ここから本文です。
ページ番号:255294
掲載日:2024年7月12日
Q 萩原一寿 議員(公明)
次に、孤独・孤立者支援について伺います。
孤独・孤立をめぐる問題は、独居世帯の増加や近隣・家族関係の希薄化、病気などが背景に挙げられ、近年はコロナ禍で深刻化、顕在化しています。
政府は2021年に孤独・孤立対策担当大臣を新設、本年4月には孤独・孤立対策推進法が施行されました。国が示した孤独とは、独りぼっちを感じる精神的な状態で主観的概念であり、孤立とは、社会とのつながりや助けのない、又は少ない状態で客観的概念です。望まない孤独と孤立を抱える方が政策の対象になります。
孤独・社会的孤立や人と人とのつながりの希薄化によって健康上の様々なリスクが高まり、自殺念慮や自傷行為へのリスクにつながるなどの研究結果が出ています。国が行った調査では、孤独をどの程度感じるのかとの6段階の問いに対して、「しばしばある・常にある」「時々ある」「たまにある」と回答した割合が全体の4割に達しているのです。
村木厚子全国社会福祉協議会会長は、困っている人が相談できない理由に2つあるとしています。1つは、そもそも相談できる場所があることを知らないこと。2つ目は、場所は知っていても自分は相談してはいけない、相談するのは負け、恥ずべきことといった思いが壁になっていること。こうした人にアプローチをしていく体制が課題になろうと言われています。
本県においては、昨年2月に孤独・孤立対策連携プラットフォームを設置。そこでは行政機関や民間企業、NPO、社会福祉協議会で構成され、運営協議会で取組の検証を行っています。
大切なのは孤独・孤立を感じている方にとって声を上げやすく、かけやすい環境をどのようにつくるかです。県は、更にそのような環境整備を着実に進めるべきです。
そこで、以下5点質問いたします。
1点目は、本県の孤独・孤立対策についてどのように認識され施策を進める考えか、知事に伺います。
2点目は、県が進めている連携プラットフォームについて、孤独や孤立を感じている方が行政とのつながりを持てるように、より身近な圏域でプラットフォームが展開できるようにすべきと考えます。あわせて、知事に御見解を伺います。
3点目として、昨年3月に県が公表した「埼玉県人々のつながりに関する基礎調査」では、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の年齢別割合で最も多かったのが20代の9.5パーセントでした。それを男女別の年齢別割合で見ると、男性では20代が最も多く11.1パーセント、女性では30代が最も多い12.8パーセントでした。つまり高齢者よりも若い世代の方が孤独を感じている割合が多いのです。この結果から、若い世代に対する孤独・孤立対策をどのように進めるお考えか、知事にお尋ねします。
4点目として、単身高齢者への対策も重要です。政府は6月11日、孤独・孤立対策推進法に基づく重点計画を決定しました。この中で、我が公明党が提言してきた孤独・孤立の問題についての知識を身に付け、身の回りの人に関心を持ち、できる範囲で困っている人をサポートする、つながりサポーターを養成することが位置付けられました。このサポーターを増やしていくことが今後の単身高齢者対策に有効と考えますが、福祉部長に御見解を伺います。
5点目として、孤独・孤立で悩んでいる方の相談窓口を案内するため、県はポータルサイトを開設し、ライフステージに合わせた相談窓口を紹介しています。北海道では、LINEアプリで行政の支援窓口に民間の窓口を加えた支援情報ナビを道民に発信。照会による自動応答で、お金のこと、仕事のこと、家族関係のことなどを相談する窓口を案内しています。本県においても、孤独を感じている人が相談しやすいLINEによる取組を行うべきです。福祉部長の見解を伺います。
A 大野元裕 知事
孤独・孤立は誰にでも起こり得る問題であり、その要因は多種多様であることから、単独の支援機関では対応が困難な課題も多く、様々な主体が分野や種別、地域を超え連携することが何よりも重要と認識をしております。
そこで県では、令和5年2月に埼玉県孤独・孤立対策官民連携プラットフォームを設置し、行政、NPO、民間企業など社会のあらゆる主体が地域を超えて広くつながり、支援のための知恵と資源を出し合う体制を整えたところであります。
また、施策を推進していく上では、孤立を防ぎ、声を上げにくい方を取り残さないために、相談しやすい環境づくりや人と人とのつながる機会を増やしていくことが重要であると考えます。
こうしたことから、県のホームページや広報紙など様々な広報媒体を活用し、「困ったときに支援を求めるのは良いことである」というメッセージで意識啓発を図るとともに、身近な地域の居場所や相談窓口の情報を積極的に発信しているところであります。
先般、令和6年4月1日から孤独・孤立対策推進法が施行され、6月11日には、法に基づく重点計画が孤独・孤立対策推進本部において決定をされました。
この重点計画の策定に当たっては、私も有識者会議のメンバーとして御意見を申し上げるとともに、内閣府からの要請に基づき、副知事から本県のプラットフォームに関する取組を加藤鮎子孤独・孤立対策担当大臣に御説明させていただいたところであります。
今後も、孤独・孤立で苦しまれている方々を誰一人取り残すことなく、安心して暮らせる日本一暮らしやすい埼玉の実現に向け、全力で取り組んでまいります。
次に、より身近な圏域でプラットフォームを展開できるようにすべきについてであります。
議員お話しの身近な圏域単位でのプラットフォームの設置には、圏域内の市町村や圏域に根ざしたNPO等の参画が欠かせません。
県の孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム会員数は、令和6年5月末現在で144団体まで拡大をしておりますが、市町村の参画は46団体にとどまっております。
また、NPOや民間企業の会員の半数以上は、県全域又はさいたま市周辺を活動範囲としており、現状では、身近な圏域単位でのプラットフォームを編成することは難しいと考えています。
国からの通知により、官民連携プラットフォームの設置の仕方については、県と市町村で検討するよう示されております。
そこで、まずは、県のプラットフォームに全ての市町村に御参画いただけるよう働き掛けた上で、県のプラットフォームにおいて、圏域単位でのプラットフォームについて議論をしてまいりたいと考えます。
次に、若い世代に対する孤独・孤立対策をどのように進める考えかについてであります。
県の調査では、若者の孤独感が高く、人とつながる場を求めているものの、リアルな交流場所を利用しづらいと感じていることも分かりました。
そこで、県庁共通メタバース空間を活用し、仲間や相談窓口につながることができるイベント「つながるSAITAMAフェスタ」を12月に開催いたします。
「つながるSAITAMAフェスタ」に参加して人や社会とつながる安心感をバーチャルで実感いただき、さらにそこからリアルなつながりを希望する方に対しては地域のリアルな居場所の利用も促してまいります。
また、10月には、「バーチャルユースセンター」の試験運用を開始し、体験・交流・相談等の機能を備えたネット空間における若者の新たな居場所を提供する予定であります。
さらに、若い世代はSNSの利用率が高いことから、普及啓発用のWEB広告を配信し、「ひとりじゃない」「声をきかせて」などのメッセージを届けるとともに、視聴傾向を分析し、今後の対策に活用してまいりたいと思います。
若者や若者を支援する現場の声をしっかりと受け止めて、リアルとバーチャルの両面で支援してまいります。
A 細野正 福祉部長
議員お話しのとおり、国は、孤独・孤立対策推進法に基づく重点計画において、孤独・孤立の問題についての知識を身に付け、周囲の人に関心を持って、できる範囲で困っている方をサポートする、「つながりサポーター」の養成を進めていくという方針を示しました。
孤独・孤立についての理解・意識や気運を社会全体で高めていく上で、「つながりサポーター」の役割は大いに期待されるものであり、単身高齢者対策としても極めて有効なものと考えます。
現在、国において、「つながりサポーター」の養成のためのカリキュラムやテキストの検討を進めるとともに、全国5カ所の自治体や民間企業等で養成講座を試行的に実施するなどの取組を進めていると伺っております。
県としては、こうした国の動向を踏まえ、制度が本格実施となった際には、孤独・孤立問題において地域のキーパーソンとなりうる「つながりサポーター」の養成を積極的に進め、声を上げやすい・声をかけやすい社会の実現に取り組んでまいります。
次に、「孤独を感じている人が相談するために利用しやすいLINEによる取り組みを行うべき」についてでございます。
孤独・孤立に悩む方の中には、人に知られたくないという気持ちなどから、相談すること自体をためらう方がいらっしゃいます。また、どこに相談したらよいか分からないという声も聞かれます。
そこで、県では、令和4年度に埼玉県孤独・孤立対策ポータルサイトを立ち上げ、「孤独・孤立は誰にでも起こりうることで、声を上げること、人を頼ることは良いこと」とのメッセージを発信するとともに、相談窓口を分かりやすく示すため、ライフステージ別や悩み別に掲載しました。
令和6年5月には922件のアクセスがあり、このサイトから「こころのサポート@埼玉」や「埼玉県ひきこもり相談サポートセンター」などの40を超える相談窓口に500件以上がつながっています。
一方で、ポータルサイトに限らず、相談窓口へのチャンネルを複数用意することは、相談しやすい環境の充実につながるものであり、議員御提案のLINEの活用も新たなチャンネルになると考えます。
県では、友達登録数が60万人を超える公式LINEアカウント「埼玉県庁」を運用していることから、このLINEアカウントを活用して、孤独・孤立の相談窓口に関する情報を発信し、誰もが相談しやすい環境づくりの充実を進めてまいります。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください