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掲載日:2024年4月3日
Q 田村琢実 議員(自民)
埼玉県内に児童養護施設は、私立18、県立3、市立1、計22施設が運営されております。平成29年、国が打ち出した「新しい社会的養育ビジョン」によると、社会的養護の必要な児童に対して施設入所に代わる養子縁組や里親養育を推進し、児童養護施設に入所する児童は高度専門的なケースへと特化していくとし、そのための施設の高機能化や多機能化が求められるといたしました。しかしながら、生活施設という枠組みでは限界もあります。
以下、質問いたします。
第1に、施設を取り巻く現状として、被虐待児童や発達障害児、特別支援学校・学級に通う児童が多く施設に在籍しています。このような自立困難児童に対し、職員はより多くの時間と労力を要します。また、児童の暴言や暴力の増加による職員の心身への負担も増加しています。
これらの状況を鑑み、被虐待児加算と同様に、発達障害児特別支援学校・学級に通う児童に対する加算を行う必要があると思いますが、知事の所見をお伺いいたします。
また、心理療養を要する児童増や地域分散化の進行などを見据えた心理職員の増配置が必要でありますが、知事の所見をお願いいたします。
第2に、県内の5つの児童養護施設において一時保護施設所を設置しています。児童相談所にて賄わなければならない一時保護を肩代わりしているのが現状です。この一時保護施設所の職員配置基準は、現在、定員6名に対し2.5名となっており、この基準で支援業務を回していくのは困難であることは明白です。各施設では3名から5名の加算配置をし、運営がなされています。
そこで、このような県内の一時保護施設の現状を鑑み、職員の配置基準を上げる必要があると思いますが、知事の所見をお伺いいたします。
第3に、児童心理治療施設についてお伺いいたします。
現在、県が所管している児童心理治療施設は嵐山学園の1か所のみです。嵐山学園の治療の必要な児童が断たない中、施設が1か所のみであることから児童養護施設がその受皿になっているのです。体制が整っていない児童養護施設での要治療児童の受入れは他児童への影響も大きく、施設運営の課題となっています。
福祉部長は12月定例会の小川議員の一般質問において、「嵐山学園が持っているノウハウを県内の児童養護施設への研修等で技術を提供し、県全体としてケアが進むようにしていく」と答弁しておりますが、根本的解決になっておらず、早期の施設新設が求められるところであります。知事の所見をお伺いいたします。
第4に、職員の処遇改善についてお伺いいたします。
来年度予算案において児童養護施設の人材確保対策として、ようやく求めていた保育士並みの家賃補助加算を予算立ていただきました。高く評価したいと思います。
しかしながら、他業種と比較すると、児童養護施設の職員に対する処遇改善加算は低いところであります。算出方法は異なりますが、介護・障害福祉施設職員の職員処遇改善加算は、児童養護施設と比較して一般職職員の加算額で2倍近い開きがあり、とても平等とは言い難い状況であります。
私は、あらゆる福祉施設の中で最も光を当てなくてはならないのは、児童養護施設だと思っています。なぜなら、児童の養育過程の中で保護する人がいないからです。
よって、職員確保はとても重要な施策であり、職員の他業種への流出阻止や新規確保のため、加算額を介護・障害福祉施設と同等レベルまで増額すべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
児童養護施設に入所している約6割の子供が、親からの虐待などを受けており、心に傷を抱えています。
また、発達障害や知的障害を抱える子供たちも多く入所しています。
児童養護施設の職員は昼夜を問わず、こうした子供たちに接しておりますので、その苦労は並々ならぬものと受け止めています。
児童養護施設の運営費は、基本的に国と県が負担している措置費で賄われており、その他の配置基準など全般的基準につきましては国が定めることとなっています。
そのため、国に対して新たに「知的障害児・発達障害児受入加算費」や「特別支援学校・学級児加算」を創設するよう要望しているところであります。
次に、心理職員の増配置についてであります。
児童養護施設の職員配置については国が定めるところではありますが、心理療法担当職員や個別対応を行う職員が各1名の配置となっており、十分ではないという現状があります。
このため、国に対して、当該職員を施設規模に応じて複数配置とするよう要望しています。
次に、一時保護施設の配置基準の引上げについてであります。
議員お話しのとおり、児童養護施設に併設されている一時保護施設の職員の配置基準は児童6名に対して職員2.5名となっています。
一時保護施設の職員の負担も増大していることから、国に対し、一時保護施設の配置基準を児童6名に対して3名となるよう引上げの要望を行っております。
次に、児童心理治療施設の新設についてです。
県所管の児童心理治療施設は嵐山学園1か所のみとなっています。
私も、昨年12月に訪問いたしましたが、虐待や、家庭・学校での人間関係等により、心身が不安定な状態となり、社会生活が困難になっている児童たちが入所しており、職員の皆さんが身を粉にしながら、子供たちに接する姿を拝見いたしました。
施設長を始め職員の皆さんが深い愛情を持って子供たちに接する光景には頭が下がる思いがいたしました。
施設の新設については、土地や医師などの職員の確保、教育環境の整備、運営費用の負担など解決すべき様々な課題があって、簡単ではなく、時間をかけて検討する必要があります。
県といたしましては、まずは児童養護施設の機能強化を図る必要があると考えており、このため嵐山学園の職員を児童養護施設に派遣をし、そのノウハウを提供する事業を令和6年度予算案に計上をしたところであります。
次に、児童養護施設の職員に対する処遇改善加算を介護・障害福祉施設と同レベルまで増額することについてであります。
児童養護施設の処遇改善加算についても、措置費として全国共通の金額になっています。
現在、国に対して児童養護施設職員の過重な勤労実態を改善するため、措置費の人件費部分について更なる改善を進めるよう要望をしております。
児童養護施設に光を当てなくてはならないという議員のお考えは、私も全く同感であります。
あらゆる機会を捉え、児童養護施設の職員の処遇改善や環境整備につき粘り強く国に要望してまいります。
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