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掲載日:2023年12月28日

令和5年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(山崎すなお議員)

世界に広がるアグロエコロジーの波、有機農業促進のために

Q   山崎すなお 議員(共産党)

農薬や化学肥料を大量に使い、大規模施設で生産する工業的農業が、地域の環境と農業生産を破壊してきました。その中で、農業の営みを生態系の中に位置付け、生物多様性と地域コミュニティを重視するアグロエコロジーを推進する動きが世界的に広がっています。
国連食糧農業機関は、小規模家族農業の役割を特別に重視し、地産地消など地域循環型のアグロエコロジーを強調しています。日本でもこの流れの中で、少なくない新規就農者が有機農業に取り組んでいます。
本県においては、県内最初に、小川町がオーガニックビレッジ宣言を行い、国の助成を受けて有機農業を支援しています。有機農業面積や有機農業者の拡大目標を持って計画的に進め、現在、有機経営体は全体の15.8パーセント、有機耕地面積は18.7パーセント、有機農業に取り組んでいる農家割合は17.9パーセントとなっています。私もお会いしましたが、その多くが非常に若い新規就農者です。
町は、JAS規格の煩雑さを避けた独自の認証制度、おがわん認証をつくり、技術普及のための講習や残菜を利用した液肥づくり、生産物の流通加工を支援しています。特に、おがわん野菜の給食への積極的活用が重要です。毎月の献立表には、材料が小川町産のものや、おがわん認証のものが分かるようになっています。栄養教諭による食育の授業が行われ、食育だよりで地産地消の大切さが広げられています。
今後更に、小川町のように有機農業を進める取組を広げるべきだと考えます。小川町には、多数の視察が全国から訪れているそうです。埼玉県内でも、小川町の取組、成果を積極的に広げるべきと考えますが、いかがでしょうか。
JAS認証は大切ですが、そこまで厳しいものを無理に求めなくても、市町村独自の認証でも構わないと思います。(仮称)埼玉県オーガニックシティ宣言に取り組む市町村を支援する制度を創設することを提案しますが、いかがでしょうか。
給食や地域の残菜を液肥とする設備や、タマネギなど長期保存するための設備など、有機農業の支援となる設備に対する助成制度を創設すべきと考えますが、いかがでしょうか。
以上3点について、農林部長の答弁を求めます。
また、学校給食の食材についても、県産材使用を促進すべきです。栄養教諭等による県産材の食育教育の現状と、今後これを拡大していく取組を進めることについて。献立表や給食だよりなどで食材の産地を積極的に明らかにしていく取組を推進することについて。
以上2点、教育長の答弁を求めます。
学校給食に有機野菜を取り入れる際に、小川町から学ぶのは、少しずつやれるところからという考え方です。小川町でも、大根、白菜、キュウリを月に何回か使用するところからのスタートです。市町村立学校や特別支援学校の給食に、年に1回、月に1日でも、有機野菜の日をつくるなど取り組んではいかがでしょうか。教育長の答弁を求めます。

A 横塚正一 農林部長

まず、小川町の有機農業の取組・成果を広げることについてです。
小川町では、地域ぐるみで有機農業に取り組み、本年5月にはオーガニックビレッジ宣言を行い、魅力ある街づくりを目指しています。農産物は学校給食や地元レストランへの提供のほか、加工品にも活用されています。
県では有機農業の推進のため、小川町のような地域ぐるみの有機農業の取組を各地に展開していきたいと考えています。
このため、農業者や市町村等の関係者を対象とした研修会やSNS上で生産者と流通業者、消費者が有機農業の情報交換や連携ができるプラットフォームを活用し、小川町の取組を積極的に情報発信してまいります。
次に、仮称「埼玉県オーガニックシティ」宣言に取り組む市町村を支援する制度についてです。
国では、有機農業の生産、流通、消費に地域ぐるみで取り組む市町村をオーガニックビレッジとして支援する事業を実施しています。
オーガニックビレッジになるためには、有機JAS認証取得の取組は要件ではなく、取り組みやすい制度となっているため、本県ではこの制度を活用する市町村を支援してまいります。
県内には小川町以外にも有機農業を地域ぐるみで実践し、オーガニックビレッジを目指している市町村があり、県は生産技術の指導や地域内流通、地場加工品の製造などの取組を支援する国の交付金の活用などを支援してまいります。
また、県では本年創設した環境負荷の低減に取り組む農業者や事業者などを表彰する埼玉・農のエコロジーアワードを通じて、有機農業など環境負荷低減の取組を県内に広げてまいります。
次に、有機農業に必要な設備に対する助成についてです。
県では、地域内資源を活用した液肥や堆肥を生産する施設などの整備を支援する事業を実施しています。
また、国においても化学農薬や化学肥料を使用しない栽培技術の実証に必要な機械・施設の整備を支援する事業のほか、たまねぎ貯蔵庫などの集出荷貯蔵施設の整備を支援する事業を実施しています。
引き続き、これら事業の活用を推進しハード面から有機農業を支援してまいります。

A 日吉亨 教育長

まず、「県産材の食育の現状と拡大の取組について」でございます。
県が、令和4年度に実施した「彩の国ふるさと給食月間の取組調査」によれば、8割を超える小・中学校で地元産食材への理解を深める食育活動を行っておりました。
具体的には、地元産の果物について生徒自らが調べる授業、児童が育てた野菜を収穫し給食で食べる授業などがございました。
県では、こうした授業を各学校に紹介し、更なる取組の普及を図ってまいります。
次に、「献立表などに食材の産地を明らかにする取組について」でございます。
議員お話しの小川町以外にも、「給食だより」やホームページで献立に使う県産食材の豆知識や地域伝統食の紹介などに取り組んでいる市町村もございます。
県では、こうした取組を「彩の国学校給食研究大会」で紹介するなど、地域の実情に応じた取組を推進してまいります。
次に、「市町村立学校や特別支援学校の給食に有機野菜の日をつくる等の取組について」でございます。
有機食材については、地域における生産量や、価格といった観点から、給食では安定した調達の確保という課題がございますが、地域の実情に応じて「有機野菜の日」などを設け、給食などに有機食材を取り入れることは、児童生徒が環境を考えるきっかけになると考えます。
県では、各市町村にこうした取組について情報提供をするとともに、特別支援学校での取組について検討してまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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