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掲載日:2023年12月28日
Q 山崎すなお 議員(共産党)
失われた30年とも言われる長きにわたる経済の停滞により、既に県民の暮らしが疲弊し切っているところを物価高騰が襲っています。労働者の実質賃金は、96年のピーク時から年64万円も減少し、日本経済の5割以上を占める家計消費の落ち込みは、国内経済を停滞させ、国民一人当たりのGDPはG7で最下位となっています。
県の役割は、県民の暮らしの厳しさに心を寄せ、物価高騰の波からの防波堤になることです。この観点から、以下、質問します。
国民健康保険税が高過ぎます。川口市で、所得200万円の4人家族で年額約32万円の保険税は、負担の限界です。
しかし、埼玉県は第3期県国民健康保険運営方針案を策定し、令和9年度までの保険税水準の準統一のために、市町村の一般会計からの繰入れを全廃するとしています。党県議団は、市町村の一般会計繰入れ全廃は、必ず保険税の引き上げを招く、今すぐ統一は必要ないとして、運営方針撤回を主張してきました。
ところが、県は、これまで今後検討するとしてきた収納率までの完全統一の期限を令和12年度までと、突如明記してきました。収納率は大都市部で低く、今でも8パーセントの市町村格差があります。完全統一の期限を決めて無理やり目指すなら、今以上に収納対策が強化され、差押えなどが横行しかねません。
国保税水準統一を県民は求めていません。今年8月から9月にかけて、個人15人、7団体から84件寄せられた県民コメントは、「保険税の引き上げを行うべきではない」「法定外繰入れ解消を市町村に求めるべきではない」「準統一を進めるべきではない」という意見が圧倒的でした。県は、県民の声に耳を傾けるどころか、真逆の修正を行ったのです。
知事に伺います。県民コメントにかけられた方針案と決定された方針案は、かけ離れたものです。意見と真逆の修正を行うのであるなら、県民コメントにはどのような意義があるのでしょうか。
県民コメントを再度実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。
8月から9月に行った県民コメントは、一般には、いまだに公表されていません。方針を決定する前に公表すべきです。県民コメント制度を改正すべきと考えますが、いかがでしょうか。
以上3点、見解をお答えください。
2017年以来、国保運営方針の下、53自治体が保険税を引き上げています。この12月定例会でも、狭山市は全体で平均7,390円引き上げ、例えば年収236万円、2人の子供を抱える母子家庭の保険税を約3万円引き上げ、24万5,800円とする案を提出しています。さらに県は、狭山市の一般会計繰入れ解消が進んでいないとして、特別指導を予定しています。知事、母子家庭に年3万円もの保険税引き上げを行うことについてどうお感じになりますか。
狭山市に県が特別指導を行い、狭山市の一般会計繰入れが全廃されたなら、更なる保険税引き上げが起こるのではないでしょうか。
統一のメリットは、県内どこでも同じ保険税と言いますが、高い金額で同じ保険税になるなら、被保険者のメリットはないと考えますが、いかがでしょうか。
一般会計繰入れ全廃の第3期運営方針を撤回すべきと考えますが、以上4点、知事の答弁を求めます。
県は、秋の試算として、被保険者1人当たり5,385円増額の来年度の保険税必要額を示しました。4年連続の引き上げです。さらに、各市町村の保険税が引き上げとなります。県国保運営方針には、国保会計悪化の要因として、公的負担比率が改善されないからだと明記されています。これに従い、党県議団は、国保への公的負担を増やすよう6月にも求めました。
しかし、国の負担は来年度増える見通しはない、また、市町村の一般会計繰入れ全廃の方針撤回もしないとのことでした。それならば、来年度の保険税の引き上げを食い止めるために残されている道は、県が基金や一般会計から繰入れを行うことだけです。知事、県の基金と一般会計からの繰入れで、5,385円の増額を食い止めていただきたいのですが、いかがでしょうか。
A 大野元裕 知事
保険税水準の完全統一の実施時期について、県民コメントにかけた案では、「収納率の差が一定程度まで縮小された時点」としておりました。
現在の案では、「収納率の差を縮小し、令和12年度の完全統一を目指す」との表記とし、目標年度を定めたものであります。
これは、収納率の差が令和4年度において更に縮小したことや、複数の市町村から目標年度を明確にしてほしいとの意見があったことを踏まえた修正であり、当初の案から大きくかけ離れたものではありません。
また、附属機関である国民健康保険運営協議会で県民コメントの意見を示した上で審議をし、答申を頂いたところであります。
県民コメント制度には、県民誰もが意見を述べる機会が保障されており、寄せられた御意見につきましては協議会における審議の参考にさせていただいているという意義があります。
他方、県の施策等の立案に対して賛否を問うものではないとともに、寄せられた全ての御意見の反映が困難なことは御理解いただきたいと思います。
次に、県民コメントを再度実施すべきと考えるがどうかについてであります。
今回の県民コメントは定められた手続に従い適正に実施されていることから、再度実施することは考えておりません。
次に、県民コメント制度を改正すべきと考えるがどうかについてであります。
県民コメント制度では、寄せられた意見を考慮して意思決定を行うものとされており、寄せられた意見は、県の意思決定後に県の考え方と併せて公表するものとしております。
先ほど申し上げたとおり、県民コメント制度は賛否を問うものではありませんので、公表の時期の見直しは考えておりません。
次に、母子家庭に年3万円もの保険税引上げについてどう感じるかについてであります。
国民健康保険制度は、被用者保険の事業主負担に相当する部分がないことから、制度の運営に当たり、国費、県費など2,000億円を超える公費が投入をされております。
また、所得に応じた軽減制度など、低所得者に配慮した制度も併せて設けられています。
その上で、被保険者の方には、国民健康保険制度を維持するために必要な額を保険税として負担していただいていると考えております。
次に、狭山市の一般会計繰入れが全廃されたなら、更なる保険税引上げが起こるのではないかについてであります。
一般会計からの繰入れを解消するための手段としては、医療費適正化の取組などによる歳出の削減のほか、収納率の向上、賦課限度額の引上げや適切な保険税率の設定などによる収入の確保がございます。
各市町村は、それらを組み合わせて対応しており、狭山市においても同様に、現在の状況を踏まえ、適切に対応されるものと考えております。
次に、高い金額で同じ保険税になるなら、被保険者のメリットはないと考えるがどうかについてであります。
保険税水準が統一されると、原則として、同じ世帯構成、所得であれば県内どこに住んでも同じ保険税となり、公平性、透明性が高まります。
他方、保険税水準の統一により、被保険者の負担が増減することはありますが、高い金額で同じ保険税になるという指摘は当たりません。
また、医療費の負担を県全体で支え合うため、小規模な市町村で高額な医療費が発生した場合においても保険税の変動を抑えることができるということも被保険者にとってのメリットと考えます。
次に、一般会計繰入れ全廃の第3期運営方針を撤回すべきと考えるがどうかについてであります。
国民健康保険制度を安定的に運営するためには、収支を均衡させる必要があります。
また、一般会計からの繰入れは、法定の公費負担に加え、国民健康保険に加入していない方、加入者以外の方々からの税を法で定めた以上に充当することになります。
このため、第3期運営方針においては、令和8年度までに一般会計からの法定外繰入れを解消することとしております。
令和4年度時点で、県内の3分の2の市町村が一般会計からの繰入れを行っていますが、令和8年度までの解消に向けて計画的に取り組んでいただいているところ、運営方針を撤回することは考えておりません。
次に、県の基金と一般会計からの繰入れで5,385円の増額を食い止めてほしいがどうかについてであります。
県の国民健康保険財政安定化基金には、保険税引上げの抑制に活用できる財政調整事業分として約27億円の積立てがございます。
この事業分については、市町村と協議し、一人当たりの納付金が大幅に増加する場合に活用することといたしております。
令和6年度の納付金算定に当たっては、おおむね過去の伸び率の範囲内にあることから、基金を活用することは考えておりません。
また、令和5年度予算において、県の一般会計から約550億円の財政支援を行うこととしており、法定の範囲を超えた更なる県費の投入は難しいと考えております。
再Q 山崎すなお 議員(共産党)
県の基金と一般会計からの繰入れについて、基金の活用は、大幅に増加するとき市町村と相談をして行うということで、今回はおおむね過去の範囲内との御答弁でしたが、一人当たりの保険税必要額の引き上げは4年連続であり、右肩上がりです。このまま引き上がり続けたら、この先どうなってしまうのでしょうか。どこまで引き上がるのでしょうか、心配でなりません。この右肩上がりを、今何として止めるべきではないでしょうか。知事の御答弁を求めます。
再A 大野元裕 知事
令和6年度の一人当たりの納付金でございますが、前年度から4.5パーセントの伸びとなっております。
他方、直近3年の平均値は4.7パーセントの伸びとなっており、これが単年度だけの傾向かどうかは分かりませんけれども、伸び自体は低下をしているところでございます。
そこで、近年の伸び率を大幅に超える場合には、基金残高の状況も踏まえながら、市町村と協議の上、活用を検討してまいりたいと考えております。
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