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掲載日:2023年12月28日
Q 山崎すなお 議員(共産党)
埼玉県県民満足度調査によると、少子化に危機感を抱いている県民の割合は82.2パーセントに上りました。また、少子化の原因は、「子育てに対する経済的負担が重いこと」が第1位となっています。埼玉県の昨年の出生率は1.17です。少子高齢化への対応は必要ですが、やはり少子化に立ち向かい、克服することが県民から求められています。私は、4歳の子供を育てながら働いてきましたが、子育てと仕事の両立が本当に難しいと日々感じています。こんなに大変では、子供が減っていくのも当たり前だと思うときもあります。
子育てを社会全体で応援していただきたい。知事、子育て支援を基本として、少子化の克服に全力を挙げていただきたいのですが、御答弁をお願いします。
次に、具体的な子育て支援策について伺います。
まず、保育制度の拡充についてです。
川口市など県南部では、保育士不足が深刻です。保育士がいないために、定員どおり子供を受け入れられない保育所が多数生まれています。令和5年度、県の聞き取りによると、全県で925人の子供を受け入れることができなかったとのことです。保育士の給与基準には地域格差があり、東京に比べて埼玉県が低いことが、県南部の保育士確保が困難な理由となっています。
知事に伺います。
県として、国に対し、この公定価格の地域区分見直しを働き掛けておられますが、来年度、解消の見通しはあるのでしょうか。公定価格の地域区分格差解消が実現しないうちは、県として処遇改善をすべきと思いますが、この2点について御答弁を求めます。
県は、新卒、既卒保育士の県内就業を応援して、20万円の準備金貸付を設けています。これは、2年間の県内就業で返還免除となります。昨年度、新卒457人、既卒27人の保育士に準備金が渡っています。また、奨学金を借りて資格を修得した保育士の奨学金返済を支援する制度も今年度から始まり、9市町村が実施する予定です。これらの支援制度を更に多くの市町村に広げていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
また、保育士養成校に、埼玉県にはこんな支援制度がありますとアピールしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
福祉部長、2点答弁を求めます。
続いて、病児保育所の拡充についてです。
本当は、子供が病気のときに、いつも仕事を休めればいいのですが、どうしてもお願いせざるを得ない場合があります。子育ての中心を担っている本県の30代から40代女性は非正規労働者も多く、欠勤がそのまま収入の低下につながります。
全県に144施設ですが、市町村ごとにばらつきもあって、川口市は4か所しかありません。更に増設していただきたいのですが、小児科学会では、病児保育に手を出すな、やればやるほど赤字になると言われているそうです。補助は、国と県と市町村で3分の1ずつ、運営費として700万円程度、あとは利用者1人当たりの加算です。病児保育所の場合、当日キャンセルもあり、利用人数が確定しないという問題があります。
そこで、質問ですが、病児保育所を増やしていくため、県としての補助金増額をしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。また、加算制度ではなく、運営費補助を基本とするよう国に要望していただきたいのですが、いかがでしょうか。
2点、福祉部長の御答弁を求めます。
次に、教育費の負担軽減、特に県立高校の負担についてです。
県立高校では、一定所得範囲の方は、国の就学支援事業で授業料は無償となっていますが、そのほかに多数の負担があります。ある県立高校1年生の男子生徒は、冷房費、学校積立金、PTA後援会、生徒会費として11万4,000円、制服代として6万4,000円、修学旅行7万2,000円、タブレット端末購入費3万9,000円と教科書1万4,000千円、体育着、ジャージ、上履き、かっぱ、合わせて3万1,000円と、県立高校でありながら、初年度33万4,000円もの費用がかかりました。まず、県立高校1年生のこの負担について、知事の感想をお伺いします。
特に、タブレットの負担は入学時の負担を大きく増やすとともに、学校ごとに3万から15万円と、初年度の教育費に大きなばらつきを生んでいます。タブレット端末の負担について6月定例会でも取り上げ、御答弁は、国が負担すべきものということでした。私も文部科学省の担当者に会い、タブレット端末の国負担を求めたところ、国としては3分の1交付税措置をしているとのことでした。学校のICT環境整備に係る交付税措置があるのですから、使うべきです。教育長、県としてタブレット端末配備をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、学校のエアコン設置運営費用です。もはや地球沸騰の時代、エアコンは、生徒の健康を守るだけでなく、教員の健康を守る上でも欠かせません。教育的にも労働者保護の観点からも、当然県が負担するものと考えます。
県立高校のエアコンの県負担について、研究が進んでいると聞いています。一般質問第1日目にも御答弁がありましたが、教育長、研究の進捗と県負担についての決意をお示しください。
A 大野元裕 知事
まず、「子育て支援を基本として、少子化の克服に全力を」のお尋ねのうち、子育て支援を基本として、少子化の克服に全力を挙げてについてであります。
少子化の背景には、様々な要因が複雑に絡み合っていることから、県では「埼玉県子育て応援行動計画」を策定し、幅広い分野にわたる取組を総合的に実施をしているところであります。
議員お話しの子育て支援については、社会全体で応援する取組も含め、これまでも数多く実施してまいりました。
本県におけるパパ・ママ応援ショップに対する子育て家庭の認知度は98.8パーセントに上っており、乳幼児との外出を支援する赤ちゃんの駅などと合わせて、2万3,600か所を超え、全国最大規模となっております。
また、今年度から「コバトンベビーギフト」事業を新たに実施し、市町村と子育て世帯を確実につなぎ、孤立した子育てなどを地域全体で防止する取組を行っています。
さらに、子ども食堂など、子供が地域で安心して過ごせる居場所を令和6年度末までに、目標である800か所の設置ができるよう取り組んでいるところであります。
この目標を達成するため、本年9月に、「こどもの居場所フェア埼玉」を初めて開催し、子供の居場所の認知拡大やその運営団体と民間企業との交流機会の創出を図りました。
また、11月には、出産・育児への不安を解消し、子育ての楽しさを実感していただく、「SAITAMA子育て応援フェスタ」を官民連携で新たに開催し、2日間で1万7,300人を超える方々に御来場いただきました。
今後も、こうした子育てを支援する取組を重ねて実施し、「子育てに希望が持てる社会」を実現することで、少子化の流れを転換できるよう、全力で取り組んでまいります。
次に、県として国に対し地域区分の見直しを働き掛けているが、来年度解消の見通しはあるのかについてであります。
保育士に関しては、保育士給与の原資となる国の公定価格が本県の実情を反映していない地域区分により決められており、隣接する東京23区と比べ著しく低く設定されていることから、特に県南部の自治体では人材確保に大きな支障が生じています。
そこで、地域区分の見直しを実現させるため、これまでも機会を捉え、大臣、県選出の国会議員に対して要望してまいりました。
直近では、11月13日に、保育士が給与水準の高い地域へ流出するという共通の課題を持つ埼玉県・千葉県・奈良県・和歌山県の4県が共同で、工藤彰三内閣府副大臣に対し、隣接する自治体間で地域区分に大きな差が生じないよう、地域の実情を十分に反映した地域区分にすることなどについて要望をいたしました。
また、その2日後には、私、自ら、工藤副大臣に対し、公務員の地域手当のみならず、公示価格など他の客観的指標も考慮するなど地域の実情を十分に反映した地域区分を設定することについて強く要望をいたしました。
現時点では、まだ改善の見通しは立っておりませんが、私の説明に対し、工藤副大臣からは、保育士の処遇改善は当然の話であり、財源確保に向けてしっかりと頑張っていく旨の回答を頂いたところであります。
今後もあらゆる機会を通じ、国に対し、粘り強く要望してまいります。
次に、地域区分の格差解消が実現しないうちは、県として処遇改善をすべきについてであります。
私は、保育士への最善の処遇改善は、国が定めている給与の原資となる公定価格の見直しであると強く認識しており、まずは国に対し、このナショナルミニマムの問題に取り組むよう総力を挙げて働き掛けることが最優先と考えます。
一方、公定価格の見直しには一定の時間を要することもあり、その間は保育士確保に効果的な取組を実施していくことも重要と考えます。
そこで、県では、保育士自身に直接支援が届く処遇改善策として、就職準備金の貸付けや宿舎借上補助の県独自の上乗せのほか、今年度からは保育士への奨学金返済支援事業を行っています。
今後も、保育士が仕事にやりがいと誇りを持って働くことができるよう、保育士の方に直接支援が届く処遇改善に市町村と共に取り組んでまいります。
次に、県立高校1年生に対する負担額についてであります。
議員お話しのとおり、本県の県立高校におきましては、制服や教科書、タブレット端末などの購入費や、空調費を含めたPTA会費など、高校1年時には保護者の負担額は30万円を超える場合も生じております。
一般的に、高校に入学する際には、教科書や制服、体育着などを購入していただいていると承知をしております。
このような一定の受益者負担を求めることは必ずしも否定されるものではないと考えますが、本県の県立高校1年時における費用につきましては、保護者の皆様に御負担をおかけしているものと認識をしております。
A 金子直史 福祉部長
まず、御質問1「子育て支援を基本として、少子化の克服に全力を」のお尋ねのうち、就職準備金貸付や奨学金返済支援制度を多くの市町村に広げていただきたいについてお答え申し上げます。
県では、保育士自身に直接届く支援が重要と考え、県の独自策として、新卒保育士向けの就職準備金貸付や短時間での就労を希望する潜在保育士向けの就職準備金貸付等を実施をしております。
また、今年度からは、奨学金を返済しながら保育所等で働く保育士に対し、年額18万円を5年間、最大で90万円の支援を行う保育士奨学金返済支援事業を新たに開始しました。
本県の保育士確保に係る各種事業が、多くの市町村で活用していただけるよう、会議の場など、あらゆる機会を通じて積極的に働き掛けてまいります。
次に、保育士養成校に支援制度があることをアピールしていただきたいについてでございます。
現在、県内全ての保育士養成校に対し、新卒保育士向けの支援施策を記載したパンフレットを送付し、少しでも多くの学生に本県の保育現場へ興味を持っていただけるよう取り組んでいるところです。
また、県内保育所との就職のマッチングを行う保育士就職フェアや、保育士の就職あっせんを行う保育士・保育園支援センターなどにおいて、こうした支援制度を紹介しております。
引き続き、保育士を目指す方々に対し、本県の支援制度をアピールしていくことで保育士確保に努めてまいります。
次に、病児保育所を増やしていくための補助金増額についてでございます。
病児保育事業は、子ども・子育て支援法に基づき市町村が実施する事業であり、費用は国・県・市町村で負担することとなっております。
県の補助額は、年々増加し、昨年度は4年前の平成30年度に比べ、1.26倍の約2億3,000万円を補助し、数も着実に増えてきております。
こうしたことから、現時点では、県の補助金による上乗せは考えておりませんが、この事業を必要とする市町村が確実に実施できるよう予算の確保に努めてまいります。
次に、加算制度ではなく運営費補助を基本とするよう国に要望していただきたいについてでございます。
これまでも、国に対して、病児保育事業の基本単価の増額をはじめ、利用児童数に左右されることなく安定経営を維持できる補助の仕組みとするよう要望してまいりました。
その結果、令和5年度からは、保護者が当日に病児保育施設の利用をキャンセルすることが多い状況を踏まえ、補助メニューに当日キャンセル対応加算が追加されたところです。
引き続き、国に対し、病児保育事業が安定して運営できるよう補助金の増額について要望してまいります。
A 日吉亨 教育長
まず、「県として、タブレット端末配備をすべき」についてでございます。
学校のタブレット端末等のICT環境整備に関する交付税措置については承知しておりますが、生徒1人1台端末の整備には多額の財源を要します。
GIGAスクール構想は、国が全国的に進めているものであり、小中学校と同様、高等学校についても、国による更なる財源措置がなされるべきものと考えます。
そのため、県では、十分な財源措置について国に引き続き要望してまいります。
次に、「県立高校のエアコンの県負担について、研究の進捗と決意」についてでございます。
県では、これまで、各学校のエアコンの設置数、設置年度、費用等の詳細な調査や他県のエアコン整備計画や保護者への補助制度等の調査を行い、公費負担の検討を行ってまいりました。
これらの調査結果を踏まえ、財源の見通しを含めその手法について、引き続き検討してまいります。
再Q 山崎すなお 議員(共産党)
保育士養成校への支援制度のアピールについてですが、県内はもちろん、近隣の保育科のある大学、短大、専門学校に足も運んで保育士を獲得していただきたいのですが、福祉部長、いかがでしょうか。
続いて、教育費の負担軽減についてです。
まず、タブレット端末について、小・中学校並みの助成を国がするべきとのことでしたが、それが実現しない場合でも、タブレット購入の負担軽減について取り組んでいくべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、エアコンの県負担について、来年度更新を控えている高校もあり、冷房費が更に上がるのか心配の声も上がっています。財源の見通しはいつ頃つくのでしょうか。今年度中なのか、来年度中なのか、更に先になりそうなのでしょうか。
以上2点、教育長にもう一度答弁をお願いします。
再A 金子直史 福祉部長
本県では、これまで県内の保育士養成校に対し、県内保育所への就職につながるよう様々な支援制度をアピールしてきたところですが、近隣の保育士養成校にも働き掛けることは、保育士確保に向けた有効な策の一つであると考えます。
今後の保育士確保に当たりましては、県外の大学・短大などの保育士養成校への訪問についても検討してまいります。
再A 日吉亨 教育長
タブレット端末の配備についての再質問にお答えを申し上げます。
県では、経済的理由によりタブレット端末の購入が困難な場合に備え、貸出用のタブレットを公費で整備しております。
加えて、希望する学校が共同で端末を調達することで、スケールメリットを働かせ、端末の購入価格を低減し、保護者負担を軽減する方策についても準備を進めております。
引き続き、県では、タブレット端末に関する十分な財源措置について、国に要望してまいります。
県立高校のエアコンの県負担についての再質問にお答えを申し上げます。
今や学校のエアコンは必要不可欠なものと認識しておりますので、エアコン代を保護者に御負担いただいていることにつきましては、大変心苦しく思っております。
引き続き、エアコンの公費負担の実現については、財源の見通しについて、いつまでと今ハッキリ申し上げられませんが、その手法について検討してまいります。
再々Q 山崎すなお 議員(共産党)
先ほど財源の見通し、いつと言うのは難しいという御答弁でしたが、本当にこのエアコンの整備、必要不可欠なものです。学校の中には、病気を抱える生徒もいます。妊娠中の先生もいらっしゃいます。そういう中で、エアコンの整備というのが絶対に必要で、更新できないということなどはあってはなりません。
そういった意味で、財源の見通しがいつ頃つくのかということについて、ある程度の目安だけでもお答えいただけないでしょうか。
再々A 日吉亨 教育長
県では、エアコンの設置費や維持管理費の公費負担に向けて、これまで、各学校のエアコンの契約状況や設置状況を調査してきました。
しかしながら、県立学校の施設に関しましては、現在も特別支援学校の整備を計画的に実施しているほか、校舎の老朽化対策なども必要な状況であり、エアコンの公費負担に係る財源の見通しを立てていく必要がございます。
今後、必要な財源の見通しが立ち次第、速やかに公費負担に着手できるよう、検討してまいります。
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