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掲載日:2022年10月19日
Q 阿左美健司 議員(自民)
近年の気候変動の影響により激甚化、頻発化している気象災害などに対応するため、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策が進められております。本県においても、令和2年度、3年度と2年続けて補正予算が措置され、河川改修や道路整備などに多くの事業が拡大しており、県内各市町村においても対策が進められております。また、国土強靱化5か年計画への対応だけでなく、既存ストックの老朽化、更新の問題が顕在化し、市町村の土木関連の仕事量は増加しております。
このようなことから見ても、市町村における土木系専門職の人材確保及び質の向上は喫緊の課題です。これらの手当てが遅れると、市町村における道路や河川の日常の適切な管理は災害時の被害の度合いにも直結し、機能的に不可分である県管理施設への影響だけではなく、広く県民の安心・安全の確保に支障を来すと考えます。
今年6月30日の日経新聞に、土木系の技術職員が不足する自治体での災害復旧事業を支援するため、国土交通省は、小規模自治体への支援内容をガイドラインとしてまとめたとありました。土木系技術職員等の人材不足は、官民共通の課題であると認識していますが、特に小規模市町村では、職員の確保に大きな課題を抱えております。市町村の職員に実情を聞くと、地元のために重要な事業なのでしっかりとやり切りたいという強い意思はあるものの、それを実施するだけの体制が十分ではないという声が返ってきます。
小規模市町村では、職員数が決して十分ではない中で多くの業務を処理しています。特に災害発生時の復旧作業では、災害査定のための膨大な資料作成が求められます。また、土木のような専門分野に対応できる職員も限られております。一部の小規模自治体においては、土木系職員を採用する余裕がなく、一般事務職が土木業務を担当するケースもあります。そのため、職員間の能力差も大きく、現場において業務が停滞する要因ともなっています。つまり、通常の日常業務をしていて問題解決をしなければならないときに、指示を仰いだり相談する必要があっても、周りにそういう人材がいないため、業務が滞ってしまいます。
こうした中、県では令和3年3月にデジタルトランスフォーメーション推進計画を策定し、建設分野においても、業務の効率化などに向けてデジタル技術の活用が進められているところです。秩父地域では、西関東連絡道路の長尾根バイパスの整備に向け、ドローンレーザー測量による三次元データの取得など先進的な取組が行われております。このようなデジタル技術は、少人数、短時間で従来以上の成果を生み出すことができるため、働き方改革にも資するとともに、特に体制の手薄な小規模市町村においては、効率的な業務遂行が可能になると考えています。
しかしながら、デジタル技術の活用により効果を上げていくためには、市町村職員の技術力向上は避けて通ることができず、県によるバックアップが必要であると考えます。建設技術の進歩のスピードは速いので、県職員のためにも、市町村職員のためにも、最新技術の研修や講習などを行い、知識と情報の共有が重要だと考えます。
以上のことから、質問いたします。
1つ目、市町村職員への技術的支援についてです。
ドローンレーザー測量などのように最新の測量技術を取り入れるため、また、建設業者などと最新技術の習得などで後れをとらないために市町村職員の技術力向上に取り組むため、技術的なテーマに即した研修の実施など市町村職員への技術的支援の充実を図れないでしょうか。
A 北田健夫 県土整備部長
県民の安心・安全を確保する観点から、道路や河川などの整備や維持管理に携わる職員の技術力向上は、市町村職員においても大変重要であると認識しております。
このため、県では、総合技術センターが主催する研修において、県職員だけでなく市町村職員も対象に、体系的な土木技術研修を実施しております。
研修では、職位に応じた階層別研修や、測量、調査、設計、施工管理等の業務分野に応じた技術力を養成する内容を設定しています。
令和3年度は17講座を実施し、733人の市町村職員に受講していただきました。
このほか、県発注工事で実施している3次元測量やICT施工などのデジタル技術に関する現場見学会なども一部の工事で実施し、市町村職員にも参加していただいております。
今後とも、最新技術の動向を注視するとともに、市町村のニーズも踏まえながら研修のテーマを検討し、土木行政にかかわる市町村職員への技術的支援の充実に努めてまいります。
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