トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 令和4年9月定例会 > 令和4年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 > 10月3日(月曜日) > 阿左美健司(自民) > 令和4年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(阿左美健司議員)
ここから本文です。
ページ番号:223958
掲載日:2022年10月19日
Q 阿左美健司 議員(自民)
本県で過疎地域に指定されている秩父地域の小鹿野町、東秩父村の人口密度は、実はドイツ、イギリスなどの諸外国並みであり、これを適疎と捉え、これを豊かな暮らしにつなげる魅力として肯定的に捉え、PRしていこうという執行部の県議会での答弁がありました。私も、そうした魅力はあることは理解いたしますが、一方で、私の地元を含めた過疎地域の肌感覚は、もっと切迫した切実なものです。
秩父地域の主要な道路には、知っている方の名前の書かれた葬儀の看板が毎日のように立っています。車を運転しているだけでも、あの人が亡くなってしまったな、ああ、人口が減っているなと、嫌でも実感させられます。
確かに、今の状態が適疎とされて、つまりちょうどいい適度なまばらで、これが世界標準だと言われれば、そうかもしれません。今現在、私自身も日常生活の一定部分の不便さを感じつつも、片道2時間かけて県議会に通っております。こうして、私も生まれ育った地域に住み続けていることを考えてみれば、過疎は駄目だ、人口は増やさなきゃいけないという強迫観念は捨てなければいけないのかもしれません。
人口動態が安定している状態で、現在の適度な人口密度が将来にわたって保たれていければ、適疎とされてもよいと私も考えます。
が、今、正にその適疎とされている地域で進行しているのは、超少子高齢化の進行に伴う急激な人口減少です。私は、適疎を認めないのではなく、この適疎とされている今の状態をどのようにしたら維持できるのかということを真剣に考えなければならないと考えます。
東京都豊島区ですら消滅可能性都市とされる状況ですので、今現在、適疎とされている過疎地域の状態は、近い将来の都市部の姿かもしれません。一貫して人口流出による社会減に歯止めがかからず、毎年出生数が減り続けている中で、本格的に高齢者が亡くなる年齢を迎えたことによる自然減が極めて深刻なものになっています。
県内の過疎地域は、3町増えて7市町村の地域となり、この地域では令和2年の国勢調査の人口減少率は、既に10%に近い水準となり、今後更に加速します。人口減少の過程では、税収が減り、それに伴い行政サービスが低下し、ライフライン、社会資本の維持が困難になり、地域コミュニティや地域の伝統文化の維持継承ができないなど、様々な課題が一気に顕在化することになります。現在、森林環境譲与税を基金で積み立てている地域では実感がなく、恐らく想像がつかないことだと思います。
令和3年4月には、新たに、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法が施行されました。今後は、過疎地域の持続的な発展に向けて積極的に取り組むことが重要であり、また願いでもあります。
そこで、質問ですが、まず1つ目、過疎についての問題をどのように認識しているのかについてですが、現在、過疎地域の選出の県議会議員は僅かに5人です。皆、危機感を感じ、地域の実情を訴えております。県も、埼玉県過疎地域持続的発展方針を策定し、過疎地域の発展に心を砕いてくれていると考えておりますが、県として、過疎から生じる様々な問題をどのように認識し、どのような考えで対応していこうと考えているのか。埼玉の母なる川である荒川上流域での切実な問題を、埼玉県の荒川最下流の川口市の大野知事に考えをお聞きします。
A 大野元裕 知事
「過疎についての問題をどのように認識しているのか」についてであります。
過疎地域では、急速な人口減少や少子高齢化など、厳しい状況が長期にわたって継続しており、地域社会を担う人材の確保や地域経済の活性化などは喫緊の課題であると認識しております。
このため、過疎についてしっかりと対策を講じていくことは大変重要なことと考えております。
県はこれまで、いわゆる過疎法に基づき策定した県の方針に基づき、県及び市町村において詳細な計画を策定し、総合的かつ計画的に施策を推進してまいりました。
令和3年9月に策定した新たな方針では、これまでに引き続き、道路等の生活産業基盤を整備するとともに、地域資源を活用した産業の振興などを推進することとしております。
加えて、新たな施策として、本県への移住・定住の促進とともに、地域おこし協力隊など地域の担い手となる人材の確保・育成を図ることとしております。
この方針に基づき、例えば、本年4月に西関東連絡道路の国道140号長尾根バイパスが新たに事業化されるなど、秩父地域への交通アクセスは着実に改善が進み、今後ますます発展が期待されるところです。
また、人材の確保・育成の面では、今年度から、「ちちぶアンバサダー」として、大学生や高校生が秩父地域の企業を取材し、その魅力をSNSで発信することで、若者の雇用確保につなげるよう取り組んでおります。
しかしながら、課題解決は道半ばというのが実感であります。
過疎の問題は一朝一夕には解決し得ない難しい課題ではありますが、今後も、市町村や関係機関と十分に連携をし、過疎地域の持続的な発展に向けて、粘り強く取り組んでまいります。
再Q 阿左美健司 議員(自民)
知事の答弁の中で、過疎対策は一朝一夕には無理だという趣旨の答弁をいただきました。私も、そのような趣旨は十分理解でき、納得しているつもりではありますが、今具体例の中で私が先ほど申し上げました、葬儀の看板のことをちょっと申し上げましたけれども、これは秩父地域に住んでいる方、私以外の方、皆さんが同様に感じていることです。同様に感じているということは、同様に、私と同じように皆さん危機感を感じているということが地元地域にあるというふうに私は考えております。
そういった危機感が、やはり2時間かけて秩父地域から県庁まで来ますと、どうしても薄まってくるんじゃないかというふうに、私はそういうふうに思ってしまいまして、知事や各部長たちも秩父に折に触れてお越しいただいているようですけれども、そういった地元の危機感が県庁まで伝わっているかというのが、甚だ疑問です。
今後、そういった秩父地域を含めた過疎地域の危機感を、県庁の皆様も危機感を共有していただいて、過疎対策に取り組んでいただけるかどうかということを再質問いたします。
再A 大野元裕 知事
地元の危機感をしっかりと受け止め、過疎地域に対して危機感を持って取り組むかどうかという御質問をいただきました。
私ども埼玉県全体として、過疎地域、そして適疎やあるいは集密する地域様々あるとは思いますけれども、過疎地域については、やはり方針をしっかりと定めた上で、地元の市、町、村と連携をして計画を作り、それを一つ一つ実現していくことが、やはり大切だと考えております。
冒頭の御質問の中で、適疎、過疎の話がございましたけれども、人口密度だけいえば適疎ではあるけれども、しかしながら御指摘のように、毎日のように葬儀あるいは高齢化、あるいは若い方々が出て行ってしまう、こういった意味での人口減少は非常に深刻であり、過疎対策は私は必要だと思っています。
結果としての人口密度だけではなくて、そのような状況の中で、産業、交通、人材の確保、更には様々な知恵を入れた上で、広報等にも努めていくことが必要だと思います。
一朝一夕ではございませんけれども、まずは計画を市町村としっかりと作った上で、これを一つ一つ確実に実行していくということについて、危機感を持って取り組まさせていただきたいと思います。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください