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掲載日:2022年10月19日
Q 齊藤邦明 議員(自民)
今月18日の読売新聞トップ記事は、全国の教育委員会におけるいじめ担当部署の職員構成についての記事でした。同紙の調査によると、全国主要都市の教育委員会の53%で、いじめ問題を担当する職員が全て教員出身者で構成されているとのことでした。
本来、学校を指導する立場であるが、教員への身内意識から、いじめの放置や資料の隠ぺいなど、不適切な対応が各地で繰り返されていることに言及し、いじめ調査の第三者委員会などが教育委員会の問題点を指摘した事例として、北海道旭川市、兵庫県神戸市、茨城県取手市などの問題が挙げられていました。
そこで、一つ目の質問ですが、県内のいじめ担当組織の職員構成はどうなっているのでしょうか。また、学校でいじめが起きたときの調査については、どのような職員構成で行っているのでしょうか、教育長に伺います。
続いて、いじめの認知件数について伺います。
文部科学省の調査によると、令和2年度における全国のいじめ認知件数は51万7,163件にも上ります。その内訳は、小学校で42万897件、中学校で8万877件、高等学校で1万3,126件、特別支援学校で2,263件となっています。本県の公立学校においては、小学校で2万2,613件、中学校で3,279件、高等学校で106件、特別支援学校で24件のいじめが認知されています。
全国のいじめ認知件数は右肩上がりで推移しているのですが、令和2年度は全ての校種で認知件数が減りました。小学校で13.1%の減、中学校で24.1%の減、高等学校で28.5%の減、特別支援学校で26.4%の減と大幅に減少されました。一方、本県のデータを前年と比較すると、小学校のみ認知件数が19.6%も増加している状況です。
そこで質問です。
児童生徒の数が減っているにもかかわらず、いじめの数はなかなか減りません。いじめ撲滅に向けた県のこれまでの取組についてお聞かせください。また、本県では小学校のみ令和2年度の認知件数が増えておりますが、その理由はどこにあるのでしょうか、教育長に伺います。
学校と家庭がこの世界の全てと考えている子供たちは少なくありません。狭い世界から飛び出してほしい、いじめから逃げてほしいと思うのですが、その手段や力もないから困っているのです。被害を受けている子供は、今このときも苦しんでいます。恐らく人類が続く限り、いじめは発生し続けるのでしょうが、子供たちのSOSに気付けたら、大きな問題になる前に必ず止められると思います。
いじめを早期発見し、県として子供たちをどのように守っていかれるのでしょうか、教育長の御所見をお聞かせ願います。
A 高田直芳 教育長
まず、「県内のいじめ担当組織の職員構成」についてでございます。
県教育委員会におけるいじめ担当組織につきましては、担当課長以下10名の職員で構成しており、教員出身者は7名、そのほか行政職1名、県警察からの出向等2名となっております。
また、県内の各市町村教育委員会におけるいじめ担当組織の職員構成につきましては、さいたま市を除く各市町村にアンケート調査を実施したところ、約3割の教育委員会で教員のみの職員構成であるとの結果でございました。
市町村教育委員会には、教員出身の指導主事のほか行政職員も配置されておりますが、行政職員には財務、施設管理や学籍管理、給食業務などの管理運営上の様々な業務があるため、いじめ対応を含め教育指導全般について、少ない人数の指導主事が担わざるを得ない状況がございます。
一方、市町村の中には、行政職員がいじめ問題に対応しているメリットとして、これまで様々な仕事を経験したことで幅広い視点から考えられることが、いじめ問題の対応に生かされるとの回答もございました。
市町村教育委員会は、学校とは異なる視点からいじめ問題に対応することが求められることから、県といたしましては、市町村教育委員会に対し、多角的な視点でいじめ問題に対応できる体制づくりを進めていただくよう働きかけてまいります。
次に、「学校でいじめが起きた時の調査について、どのような職員構成で行っているのか」についてでございます。
いじめを認知した場合は、いじめ防止対策推進法第22条に基づき、まずは学校において、管理職や生徒指導担当教員、養護教諭等からなるいじめ防止対策組織によって、必要な調査を行うこととされております。
その中で、いじめ重大事態として認知される場合には、文部科学省が定めるいじめ重大事態の調査に関するガイドラインに基づき、公平性・中立性を確保された組織で客観的な事実認定を行うことができるよう調査を行うこととされております。
具体的には、弁護士や医師、心理や福祉の専門家などの参加を確保するよう努めることとされています。
県では、特に、初めて重大事態の調査を行う市町村教育委員会に対しては、調査組織の構成に関し助言を行ってまいりましたが、引き続き、法に則った適切な調査がなされるよう市町村を支援してまいります。
次に、「いじめ撲滅に向けた、県のこれまでの取組」についてでございます。
いじめは卑怯な行為であり、絶対に許されるものではありません。
県では、毎年度2回、市町村の生徒指導担当課長会議を開催し、いじめの早期発見とその後の組織的対応の重要性等について繰り返し指導してまいりました。
また、全県の生徒指導主任を対象に行っている研修において、法令に基づいたいじめ問題に対する対応について、周知徹底を図っております。
一方、児童生徒に対しては、心の相談に対応するスクールカウンセラーの配置、電話相談やいじめの通報窓口の設置に加え、令和2年度からはSNS相談窓口も開設し、児童生徒の相談に広く対応できるよう体制整備を図ってまいりました。
加えて、ネット上におけるいじめやトラブル防止のため、「ネットトラブル注意報」を月1回配信するとともに、児童生徒自身によるネット利用のルール作り活動の実施を各学校へ働きかけてきたところでございます。
次に、「本県の公立小学校における令和2年度のいじめ認知件数の増加の理由」についてでございます。
令和2年度における国の調査結果によりますと、小学校のいじめ認知件数につきましては全国的には減少傾向を示す中で、本県を含め、12府県において小学校の認知件数が増加いたしました。
本県における増加につきましては、これまで、口げんかやふざけ合いなど、単なる一時的なトラブルとして捉えていたケースについても、いじめとして積極的に認知していくという考え方が学校に定着してきたことが一つの理由ではないかと考えています。
また、小学校では、児童の発達段階が未成熟なため、ちょっとした異変を察知して見守っていくという教員の対応も継続的になされており、認知件数が増加したことも考えられます。
県といたしましては、引き続き、いじめの積極的な認知に努め、いじめが発生した場合には初期段階から積極的かつ組織的に対応するよう県立学校及び市町村教育委員会を指導してまいります。
次に、「いじめを早期発見し、子供たちをどのように守っていくのか」についてでございます。
県では、これまで、いじめはどの学校にも、どのクラスにも起こりうるという認識に立ち、学校や市町村教育委員会に対して、「いじめ防止対策推進法」を踏まえた適切な対応の徹底を求めてまいりました。
いじめを早期に発見するためには、教職員ひとり一人が児童生徒の様子に細かく目を配り、休み時間の過ごし方が変わったり、ことばの数が少なくなったりといった些細な変化を見逃さないことが大切です。
いじめを認知した場合には、いじめ被害を訴えた児童生徒やその保護者に寄り添うとともに、迅速かつ組織的に対応することが何よりも重要となります。
また、学校はいじめの解消に向けて、外部の専門家や関係機関等と連携し対応することも必要です。
県といたしましては、いじめを早期に認知し、適切に対応して解消できるよう、いじめ問題への取組を引き続き推進し、児童生徒が安心して学べる学校づくりに努めてまいります。
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