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掲載日:2024年10月17日
Q 高木功介 議員(自民)
認知症の高齢者が1人で出かけて列車にはねられ、遺族が鉄道会社から高額な損害賠償請求を受ける。7年にわたり最高裁まで争われ、注目を集めた裁判がありました。
厚生労働省によると、2025年には認知症患者は約700万人に達し、65歳以上の高齢者の実に5人に1人が認知症になると予想されています。埼玉県においても、2025年には約40万人に達すると推計されています。本県では、認知症行方不明者の数は年間1,800人前後で、何と全国第2位であります。認知症高齢者の行方不明件数が多いと事故が起こるリスクが増え、住民の方が被害者になる可能性も多くなります。
民法によれば、認知症等の責任無能力者が事故を起こしても賠償責任を負うことはなく、代わりに法定監督義務者が監督義務を怠った場合は賠償責任を負う可能性があるとされています。また、介護を担う人が事故を予見できたのに回避できなかった場合、介護者が賠償責任を負うこともあります。このように認知症の親族を自宅でサポートする場合、家族が背負う責任はかなり重いものがあります。
こうした背景から、認知症の方が起こした事故に対して被害者を保護する観点から、市町村自治体が認知症、その家族の方を個人責任賠償保険と契約する事例が増えています。平成29年11月に神奈川県大和市が全国に先駆けて導入し、全国で少なくとも61市区町村がこの保険を活用した賠償制度の運用を始めています。
先日、大和市議会議員の友人に照会したところ、これまでの加入導入に対して議会を含め批判の声はないとのことでした。日本総研が全国61市区町村の実態を調べた結果でも、市民の安全・安心の確保、また他の認知症高齢者向けの施策との相乗効果を踏まえ、適正な費用負担と考えている自治体が多かったとの調査結果が出ています。
このように多くの自治体に支援されている保険制度ではありますが、埼玉県内の自治体で認知症の人の事故を補償する認可保険の加入支援を行っている自治体は、官憲の範囲ではないのが実態です。全額公費負担だと財源が厳しい自治体では導入になかなか踏み切れないのが実情かと思います。
埼玉県としては、県内の自治体にこのような認知症保険の導入のための広報と補助を行うことができれば、知事が言われる「日本一住みやすい埼玉県」に近づくのではないかと思慮しますが、福祉部長の答弁を求めます。
A 山崎達也 福祉部長
認知症の方の事故を補償する民間保険への自治体による加入支援の実施形態としては、保険への加入だけを支援する事業単独のものや、見守り用のGPS端末の貸与や衣服等に付ける身元確認用シールの配布などの見守り事業と保険への加入を組み合わせて行っているものがあります。
また、保険料について、全額公費負担のものや、利用者の一部自己負担が伴うものがあるなど、様々なパターンがあります。
県が市町村を対象に行った調査では、見守り事業と保険への加入を組み合わせて実施しているとしたのが3団体、このうち2団体は一部自己負担があるとし、実施を検討中のところが1団体、残りの59団体は検討を行っていないという結果でした。
国では、現行の認知症施策推進大綱において、自治体が認知症の方の事故を補償する民間保険への加入を支援する取組について事例を収集し、政策効果の分析を行うこととしています。
県といたしましては、国の動向を注視していくとともに、まずは、他の先行自治体が実施している様々な事例について、会議などの場を通じて市町村に情報提供してまいります。
併せて、認知症の方が事故などに遭わないよう地域全体で支えていく取組である、埼玉県徘徊高齢者等SOSネットワークの活動の推進や、チームオレンジの構築などを通じて、御本人やその御家族が安心して暮らせる地域社会の実現を目指してまいります。
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