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掲載日:2024年10月17日
Q 高木功介 議員(自民)
新型コロナウイルスが猛威を振るって間もなく2年になります。その間、国民全員が感染予防に努め、医療従事者などエッセンシャルワーカーは過労で倒れるほど懸命に闘ってこられております。心から感謝を申し上げます。
ワクチン接種率も順調に増え、感染者数、重症者数も減り続けています。もちろん、今後ウイルスの変異により更に強毒化した場合、どのようなことになるか分かりません。しかし、明けない夜はありません。いつかは感染症は収束いたします。
学んだ教訓について総括しなければなりません。感染症危機管理の最終的な成否は、ある特定の病原体が発現させた危機が国益に対して与えた負の衝撃を阻止又は低減できたかの一言に尽きます。
そこで、感染症収束時に本県として事案総括検証を確実に行い、将来の危機に備えるべきだと考えます。特定の危機管理事案全体の総括や、事態準備行動や事態対処行動に対する個別具体的な判断や行動についての精査は事案総括検証(After Action Review)、略してAARによって行う必要があると考えます。もっとも、こうした分析手法はコロナに限らず、あらゆる災害にも当てはまる検証方法です。
このAARは、次の五つの方法で行います。
まず1つ目に、今回の危機管理活動、つまり危機発生時の事態対処行動に加え、危機発生までの事態行動準備を含む点を総括し、成功か失敗かを確定すること。
2つ目に、今回の危機管理におけるベストプラクティスを制度化し、次の事態対処行動に生かすこと。
3つ目に、今回の危機管理活動における課題を同定し、それに基づく提言をすること。
4つ目に、提言に基づき人的・物的・財政的支援を得て、危機管理組織及び危機管理活動を強化すること。
そして最後に、今回の危機管理活動を総括することで主要構成員の責任を明確化し、信賞必罰を与え、組織の教訓にすることです。
これらのAARは、危機管理組織及び中立な第三者が危機管理活動のどの時点で、どのような対応を行うのが適切であったのかということを事実に基づき精査し、危機の特性を踏まえた上で建設的な検証を行い、危機管理組織及びその機構の構成員の責任を問うことが求められます。こうした検証として恒例なのが一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)が行っている検証方法であると言えます。例えば、2020年10月に発表された新型コロナ対応・民間臨時調査会調査・検証報告書を一つの規範にすべきと考えます。
そもそも私がいまだに新型コロナウイルスパンデミックが収束していないこの時期に、なぜこのような提案をしたのかといえば、この検証活動は関係者の記憶が鮮明に残っているときに行う必要があり、具体的には事態活動終了後、3か月以内に集中して行ってこそ意味があるとされているからです。
検証作業は検証者の主眼を排除し、ファクトに基づいて行う必要があります。ファクトとは、危機管理活動における文書とデータや関係者の証言を指します。そのため、今からAARの効果的な実行に備え、収集すべき各種資料を確定し、感染症が収束した折にはAARを確実に実施していただきたいと考えますが、知事の答弁を求めます。
A 大野元裕 知事
未知のウイルスを原因とする新型コロナウイルス感染症は、発生当初、予防方法も治療方法も確立しておらず、手探りで様々な対策を行いました。
昨年4月の第1波からこの夏の第5波までの全てにおいて、それぞれの体制の検証やボトルネックとなった課題の洗い出しを行い、保健所の機能強化や医療提供体制の再構築を進めるなど、その時々の反省を踏まえて次の波に備えた対策の見直しを行ってまいりました。
さらに、必要に応じて戦術的対象を定め、高齢者施設への徹底介入、拡大PCR検査基準の公表及び実施、ワクチン確保及び抗体カクテル療法活用に向けた政府への強力な働きかけ、エッセンシャルワーカー向け優先接種の実施など実効的な措置をこれらの反省と検討に基づき構築をしてまいりました。
議員お話しのとおり、新型コロナウイルス感染症が収束したとしても同じような新興感染症が発生しないとも限らず、今回の経験を次の新興感染症流行等の際に生かしていくことは大変重要だと思います。
議員からは、事案総括検証(AAR)を行うべきとの御提案をいただきました。
新型コロナウイルス感染症は必ずしも事前に想定された準備を前提とするべきものではありませんが、今回の感染症の発生初期から収束に至るまで、保健医療分野に限らず県民生活の様々な場面でどのような影響が発生し、それにいかに対処したのかをしっかりと記録していく必要があると考えます。
携わった職員の記憶が鮮明なうちに準備を進めることは、記録の散逸を防ぎ、残すためにも重要なことであり、感染状況の落ち着いた時期には、そういった記録の整理も進めていくべきと考えております。
事案総括検証の考え方を取り入れつつ、引き続き、感染拡大期ごとに振り返りを行うとともに、新型コロナウイルス感染症が収束した際の検証にも役立てていきたいと思います。
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