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掲載日:2024年10月17日
Q 高木功介 議員(自民)
東日本大震災の救助体制の反省の一つに、医療機関に壊滅的な損害が生じたことで被災状況が想定をはるかに超え、既存の災害対策マニュアルの多くが機能しなかったことが挙げられます。数々の教訓と知見を踏まえ、宮城県と宮城県薬剤師会はインフラ喪失下の大規模被災時に通常の調薬と医薬品の供給が可能な自立した医療支援ユニットであるモバイルファーマシーを開発しました。これ以降、全国で導入が進み、現在では約20台のモバイルファーマシーが導入されております。
しかし、首都圏を見ると、導入しているのは神奈川県に2台、東京都に1台、山梨県に1台あるのみです。確かに災害が起こると他県からモバイルファーマシーが応援に駆け付けてくれる事例はありますが、人口の比率から考えた場合、大変脆弱な体制と言えます。
モバイルファーマシーは、車内に調剤台や医薬品棚、小型分包機、薬品保管庫といった調剤室としての機能を備えるとともに、高性能バッテリーや発電機、衛星通信アンテナ、給水タンク、簡易ベッド、トイレなどを搭載することで、災害被災地のようなインフラが途絶した地域でも自立的に調剤作業と医薬品供給が行えるようになっています。
東日本大震災を契機に開発されたこのモバイルファーマシーが活躍したのは、熊本地震のときでした。モバイルファーマシーは震災翌日から被災地で自立した形で調剤業務を行うなど、移動薬局としての力を発揮しました。さらに、災害派遣医療チーム(DMAT)との連携で初期の災害医療を行い、日本医師会災害医療チーム(JMAT)との連携で、地域医療の復活までの橋渡しをするなどしました。震災直後から地域の薬局が稼働するまでをカバーし、つなげる役割、兵站の役割を担うことができたと評価されております。
現在、薬剤師法第22条の施行規則では、薬剤師は特別な事情がある場合を除き、原則として薬局以外での販売、授受の目的で調剤してはならないとあり、薬局以外での調剤は災害時あるいは患者の状態が居宅などで急変した場合などといった緊急な場合に限定されているため、現時点ではモバイルファーマシーで平時の業務として調剤を行うことはできません。
しかし、有事に備えることは行政の役割であると思います。埼玉県が導入に関係することで、災害派遣に県が主導的に関わることができます。また、薬物乱用キャンペーンでの使用なども可能になります。加えて、将来的には薬事法改正など法整備において僻地や過疎地での調剤の活用も期待されます。
さらに、モバイルファーマシーは平時では学生の研修や研究などにも活用できることから、薬科大学が運営に協力するケースが多いのですが、日本薬科大学など本県にはモバイルファーマシー導入に前向きな大学があります。
そこで、本県においてもモバイルファーマシーの導入と特に維持管理を県が主導し、埼玉県薬剤師会と教育機関とも協力して行ってほしいと考えますが、保健医療部長の答弁を求めます。
A 関本建二 保健医療部長
モバイルファーマシーは、キャンピングカーを改造し、薬局の機能を搭載することで災害時に調剤や医薬品を供給できる車両です。
全国での導入台数は20台で、薬剤師会が13台、大学が5台、民間企業が2台を所有しています。
その活動状況は、熊本地震の際に、大分、和歌山、広島の各県から1台が、その後、広島、熊本での豪雨災害でそれぞれ1台が出動し、これまでに全国で3つの災害に対し、計5台の活動実績があったと聞いています。
一方で、平時は学校やイベントでの展示、薬剤師の研修や薬学教育等で年に数回使用していると聞いています。
また、災害時に運用していくためには、車両で活動する薬剤師や使用する医薬品の確保、活動する薬剤師の研修等の課題を整理する必要がございます。
今後、議員お話しの導入に前向きな大学に、導入の意向や目的、活用方法等を確認した上で、導入や維持管理、運用方法等について県薬剤師会とも協議してまいります。
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