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掲載日:2024年3月21日
Q 田並尚明 議員(民主フォーラム)
昨年の日本人の出生数は、速報値87.3万人となりました。2019年に見られた大幅減少には一旦歯止めがかかっているものの、コロナ禍の影響を受け、5月から7月の妊娠届出数は前年比大幅減で推移しており、8月以降も同様の傾向と仮定すると、2021年の出生数は前年比マイナス11.1%の78.4万人まで落ち込む見込みとのことです。国立社会保障・人口問題研究所が2017年に出した人口予測では、出生数の90万人割れは2020年、84万人台になるのは2023年と見込んでおり、想定を超える速度で少子化が進んでいます。
この日本全体の傾向に本県も例外ではなく、昨年の出生数は速報ベース4.9万人で、合計特殊出生率も5か年で来年度に達成目標とされる1.5とは、かけ離れた状況になっています。新型コロナウイルスのパンデミックは、少子化にも大きな影響を与えていますが、昨年の出生数のうち10月までの出生の大半はコロナ禍以前の妊娠で、そのせいばかりにはできないということを考えると、ここまでの少子化の加速は、これまでの少子化対策が妥当だったのかという問いを生むことになります。
知事、昨年までの出生数減少の受止めと、これまでの取組の方向の評価について、御見解をお聞かせください。
次に、今後の少子化対策について伺います。
中央大学教授の山田昌弘氏の著書「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?」によれば、日本の少子化政策は欧米の少子化対策をまねるばかりで、日本人の特性を踏まえていなかったことが失敗の原因としており、今後はここを改善する必要があるとしています。日本人は中流という多数派に同調する傾向が顕著で、結婚、出産においても人並みの生活の維持が重要になっていると、同書は指摘しています。
しかし、欧米といっても国によって事情は異なりますが、日本には成人したら子育て完了という社会風土、大学などの教育費負担の心配の少なさ、若くて所得が低い世帯への住宅支援などがあるわけではありません。そこで、子育てまで含めた多額の出費があっても、世間体を保てそうな結婚でないと踏み切れない、こうした事情があると分析します。
ちなみに、同書のデータ分析では、独身者が結婚を望んでいても、恋愛をリスクと捉え、行動を起こさない若者の増加を指摘しています。こうした若者には、本県の今注目を集めているAIを利用した婚活支援は有効と言えると思います。
さて、これらを踏まえると、少子化の加速を防ぐためには、教育費負担の更なる軽減、住宅支援の充実など、経済的に安心できる政策をしっかりと打つ必要があるのではないでしょうか。今後の少子化対策を見直していくつもりがあるか、知事にお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
出生数減少の受け止めとこれまでの取組の方向の評価についてでございます。
令和元年の我が国の出生数は、約86万5,000人で、過去20年間のピークである平成12年の約119万人に比べて27.3%の減少となっております。
本県における令和元年の出生数は、約4万8,000人で平成12年の約6万6,000人と比べて、27.3%の減少で、国と同様に少なくなっています。
出生数の大幅な減少は、埼玉県の活力を維持していく上で極めて危機的な問題であると認識をしております。
また、県民が子供を安心し、生み育てられる希望をかなえるようにしなければならないと思っています。
県では、少子化対策として、妊娠・出産、子育て、就労、働き方、住まいなど様々な分野にわたる取組を総合的に実施してまいりました。
現在の数値では出生動向の改善という結果にはつながっていませんが、こうした取組の方向そのものが間違ったとは考えておりません。
しかしながら新たな分野でのアプローチを強化する必要もあると考えており、更なる改善を図った上で実効性の高い少子化対策を進める必要があります。
次に、今後の少子化対策を見直していくつもりがあるかについてでございます。
これまでも、少子化対策を進めるに当たっては、不断の見直しをしてまいりました。
今後はこれまで行政が公費を投じて取り組んでこなかった分野にも力を入れたいと考えております。
たとえば、近年、少子化の要因として、未婚率の上昇が大きな課題となっています。
結婚は個人のライフスタイルに関わるものであり、行政が関与するべきものではないとの意見もありましたが、県の信用力を生かし県が主体の一つとなって取り組むことといたしました。
平成30年にSAITAMA出会いサポートセンターを官民連携により設置し、AIによりマッチングを導入したところ、様々なメディアで取り上げられ、会員数の急増、成婚数の増加につながっています。
また、従来は、若者が結婚する際に、住宅の確保など新生活に必要な費用を公費によって積極的に支援するという考えは希薄でありました。
しかし、全国調査では結婚資金の不足が結婚への大きな障害となっていることが明らかになりました。
このため、県と市町村で構成する少子化対策協議会で意見交換や協議を行い、国の交付金を活用しながら、市町村とともに住宅など結婚新生活への支援を拡大しております。
あるいは、埼玉版スーパー・シティプロジェクトでは、職住近接のまちづくりを進めるものであり、子供たちを見守り、育てやすいまちづくりから構想をしようというものでもあります。
今後も社会情勢の変化や県民のニーズを踏まえ、少子化対策の見直しをしっかり行い、本県の活力の維持と子供を安心して生み育てる希望の実現に全力で取り組んでまいります。
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