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掲載日:2023年12月18日

令和2年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(村岡正嗣議員)

災害死亡者ゼロへ、実効ある避難計画と感染症対策を

Q  村岡正嗣  議員(共産党

2014年の甚大な被害となった大雪災害では、群馬県、埼玉県、新潟県の災害時相互応援協定に基づき、新潟県から大型除雪車両の派遣を受け助けていただきました。総務省は2018年、災害時に不足しがちな自治体職員を被災地外から補うことを目的に、被災市区町村応援職員確保システムを導入しました。2018年の西日本豪雨において本県は倉敷市で県職員42名、県内市町職員40名を派遣、令和元年房総半島台風では富津市及び南房総市へ県職員延べ72名、市町職員延べ182名が派遣され支援活動を行いました。
他方、昨年の台風第19号では本県も甚大な被害を受けましたが、県内どの市町村も他県への応援要請はしなかったとのことです。「応援があれば、復旧がもっと早く進んだのでは」との声も聞かれました。想定外の災害や大規模災害が予想され、広域での自治体間協力がますます求められます。
そこで、県として自治体連携を更に推し進めていただきたい。同時に、派遣職員の貴重な経験を教訓化して、今後の災害対策に生かしていただきたい。危機管理防災部長よりお答えください。
県議団は先日、読売新聞で紹介された大宮区の三橋4丁目自治会による避難行動要支援者の見守り活動について、自治会役員さんからお話を伺ってきました。まず、取組の丁寧や緻密さに驚きました。コロナ禍という困難な中を自治会役員と民生委員が合同で戸別訪問調査を行い、真に見守りの必要な方を把握するために地図落とし、見守り実績責任体制表の作成、訪問調査等の全体集約調書、避難行動要支援者の施設利用者登録名簿の作成、更に特筆すべきは、見守り支援者連絡カードを4枚作り、要支援者の方、その方を見守る近隣の方、担当する自治会役員と民生委員が、それぞれ持って災害時に助け合うシステムです。
さらに、自治会は地域の特養ホームにお願いして避難の際、公民館から体育館、福祉施設へと移動が困難な介護度の重い住民はダイレクトに受け入れてもらえるよう協定を結んでいます。逆に自治会は、災害の迫ったとき、特養ホーム入居者を2階へ避難させるお手伝いをするそうです。地域内の二つの医療機関とも協定を結び、災害でけが人が出た場合は診察してもらえるようにしています。
私は、こうした災害弱者に寄り添った自治会の取組、役員さんらの決して犠牲者は出せないという固い決意に触れ、本当に感激しました。福祉部長、紹介した自治会の取組には教訓にあふれていると思いませんか、見解をお聞かせください。
現在、本県での避難行動要支援者名簿に基づく情報同意者に対する個別計画の作成率は38%にとどまっています。是非、県としてこの事例に学んで、市町村を励まし、個別計画の作成にリーダーシップを果たしていただきたい。答弁を求めます。
東日本震災発生後、岩手県では感染制御専門班、いわて災害時感染制御支援チーム、(通称)ICATがつくられました。災害被災地の感染症リスクの把握、避難所での感染対策の指導、感染症発生状況の調査、衛生状況が悪化している避難所、感染症のおそれのある避難所への感染制御の医療チームの派遣など、避難所での感染症のまん延を防ぐ活動を行っています。大変参考となる取組です。
先日視察した感染制御に取り組む民間企業でも、社内に感染対策支援チームをつくっていました。今年の台風では、本県は幸いに大きな被害は避けられましたが、コロナ禍での避難を余儀なくされた住民もおりました。今や複合災害の時代です。避難所における感染防止に実効性ある対策が求められています。
そこで提案ですが、ICATを参考に(仮称)埼玉災害時感染制御支援チームの創設を検討していただきたい。知事の答弁を求めます。

A  大野元裕  知事

ICAT

を参考に、(仮称)「埼玉災害時感染制御支援チーム」の創設の検討ついてでございます
本県では、感染症の専門家で構成されるクラスター対策チームである「COVMAT」を組織しています。
福祉施設や医療機関において、新型コロナウイルス感染症のクラスター化を避けるため、発生の初期段階で現地に派遣し感染拡大を防いでおり、既に7月から28回の派遣実績があります。
このCOVMATは、議員お話しの「いわて感染制御支援チーム(ICAT

)」も参考に組織したものであります。
通常、災害時には、保健所が市町村と連携して避難所の感染症対策に当たりますが、大きな災害が発生した際には、保健所での役割が十分に果たせなかった例も伺っております。
災害時の感染症対策を強化するため、避難所などへCOVMATの機能を生かしたチーム派遣を検討してまいります。

 

A  森尾博之  危機管理防災部長

 

広域での自治体連携のさらなる推進及び派遣職員の貴重な経験を教訓化し今後の災害対策に生かすことについて、お答えを申し上げます。
まず、広域での自治体連携のさらなる推進についてでございます。
昨年の令和元年東日本台風では、全国の自治体から様々な応援を受け、災害対応にあたる県や市町村の大きな支えとなりました。
例えば、大阪府の職員には大阪府北部地震の経験を生かして災害救助法の実務に当たっていただき、また熊本地震を経験した熊本県と熊本市の職員には、応急仮設住宅への入居受付の段取りなどで支援をいただきました。
さらに、神戸市にある防災研究機関の「人と防災未来センター」の職員には、被災した方々の生活再建の支援をはじめ、災害対応全般にわたり数多くの有益な助言をいただいたところでございます。
災害の規模が大きくなるほど、被災自治体のみでの対応は困難となりますので、広域的な自治体連携は不可欠でございます。
そのため、議員お話の被災市区町村応援職員確保システムについて、防災担当課長を集めた会議や研修会など様々な機会を捉え、その有効性を市町村に丁寧に説明し、大規模災害時に速やかに活用できるようにしてまいります。
また、県は9都県市や3県知事会議などの枠組みで相互応援協定を結んでおりますので、訓練や合同研修会などを通じて、一層の連携を推進してまいります。
次に、派遣職員の貴重な経験を教訓化し、今後の災害対策に生かすことについてでございます。
県では、被災地に派遣した職員の経験を、本県の災害対策に生かすよう努めてまいりました。
例えば、熊本地震では、車中泊避難者のエコノミークラス症候群を予防するための弾性ストッキングや使い捨てトイレの備蓄に繋げました。
平成30年西日本豪雨では、派遣した職員の200を超える気づきを事例集としてまとめ、全ての市町村と共有をいたしました。
また、東日本大震災の被災地支援として宮城県で災害救助法の事務を担当していた職員が令和元年東日本台風における本県の災害救助事務に中心となってあたっております。
今後も、県内市町村とともに積極的に職員派遣を進め、被災地で得た貴重な経験や教訓を生かし、本県全体の災害対応力の向上を図ってまいります。

 

A  山崎達也  福祉部長

 

県ではこれまで、全ての市町村が避難行動要支援者名簿に基づく個別計画の作成に着手することを目標に、研修会を実施するとともに計画作成に着手していない市町村へは個別訪問による働きかけを行ってまいりました。
その結果、令和2年度末までに全ての市町村が計画作成に着手する見込みであり、今後は、議員お話しの計画の作成率を向上させていく必要がございます。
大きな課題の一つとして、個別計画では地域住民の方に災害発生時の支援者となっていただく必要がありますが負担が大きく、支援者の確保が難しいため計画作成がなかなか進まないというお話を聞いております。
避難行動要支援者名簿に基づく個別計画は、市町村が自治会、自主防災組織、民生委員等と協力しながら、実効性のあるものとするよう作成することが重要です。
お話しのあった、さいたま市大宮区三橋4丁目自治会の取組は、計画の上で、ある方の支援者となられるお一人の方に責任や負担が集中しないよう、地域住民が相互に補完し合いながら地域の避難行動要支援者に関わっている事例であり、計画作成の推進に向け大変参考となる事例と考えます。
こうした事例を市町村に対する研修会などで積極的に情報提供してまいります。
県といたしましては、今後ともより多くの避難行動要支援者の個別計画が作成されるよう市町村に強く働きかけてまいります。

 

再Q  村岡正嗣  議員(共産党

 

おおむね私の質問の趣旨を御理解いただいてリーダーシップを発揮していただくということは受け止めましたけれども、参考例として教訓的に御紹介した大宮の自治会の例も市町村のほうに研修会等で紹介するというお話がありました。ただ、私、この個別行動計画というのは本当に大事だと思っているんですね。車椅子に乗って避難できる人もいれば、車椅子にも乗れない方もいるし、みんな一人ひとり違うわけですよ。ですから、そういう人たちが災害のたびに犠牲者になっているわけです。ですから、まさに個別計画、行動計画を作るということは、命に直結するわけです。
 ところが、御承知のように、市町村はこれを作るのに苦戦しているんですね。私も行って聞きました。とにかくお願いですということです。そこで、リーダーシップということを私は言ったんですけれども、是非紹介するというだけじゃなくて、市町村と一緒になってそういう実践をやっている方は大宮区三橋4丁目自治会以外にもあると思いますので、じかにお話を聞くとか、やっている取組を一緒に市町村と行って見るとかも含めて、そもそも本当にこれが、つまり38%というのは要配慮支援者の名簿の中で情報提供に同意してくれた人の中の38%なんですね。
ですから、要配慮が必要な人全てを個別計画にのせなくては本来いけないわけです。そういう目標から考えれば、研修会で市町村にこういう事例がありますよ、参考にしてねというだけでは、とてもじゃないけれども、これは進まないと思いますので、もう一度その立場から決意を含めて答弁をお願いします。

 

再A  山崎達也  福祉部長

 

単に研修会などで情報提供するだけではなく、まず市町村とは作成の課題について、よく意見交換を行ってまいりたいと考えております。
また、特に支援が必要である場合や市町村の方から御要望があれば関係機関との会合の場に出向いて一緒に考えるなど、個別の対応も検討してまいりたいと考えております。

 

 

 

  •  上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

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