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掲載日:2024年10月18日

令和2年9月定例会 「新型コロナウイルス感染症対策委員長報告」

委員長 小島 信昭

新型コロナウイルス感染症対策特別委員会における審査経過の概要について、御報告申し上げます。
本委員会に付託されております案件は、「新型コロナウイルス感染症対策等に関する件」であります。
本付託案件について、7月から9月にかけて閉会中に4日間にわたって、また、今定例会では1日委員会を開催し、審査を行いました。
初めに、閉会中の審査経過の概要について御報告申し上げます。
審査に当たりましては、執行部から詳細な説明を受け、その後、質疑を行いました。
以下、論議のありました主なものについて申し上げます。
まず、「新型コロナウイルス感染症を災害として捉えることで、DMATとの連携によりCOVMATの機能性が高まるといった効果がある。新型コロナウイルス感染症が災害対策基本法の災害には当たらないことは理解している。県が法律論ではなく、災害として捉えることはできないか」との質問に対し、「県として災害対策基本法と切り離し、新型コロナウイルス感染症を災害と捉えることは可能であると考える。実際に自衛隊に災害派遣要請を行い、ホテル療養者の支援を頂いた事例もある。災害法制では災害と認められない部分でも、可能なところは災害として捉え対応していく」との答弁がありました。
次に、「これから第1波のときより大きな波がやってくる可能性も想定される。そうした事態に備え、どのように県独自の財源を確保していくのか」との質問に対し、「今後更に対策を講じていく必要が生じた際の財源確保は、大きな課題であると認識している。歳入面では、国庫支出金を有効に活用するとともに、必要に応じ国に拡充を求めていく。加えて県独自の新型コロナウイルス感染症対策推進基金などを活用していく。歳出面でも、必要性や緊急性の観点から事業の選択と集中を図って歳出削減に努めることにより、財源を確保していきたい」との答弁がありました。
また、「財源調整のための基金については、令和2年2月定例会の予算特別委員会の質疑において、700億円程度の残高確保が必要との答弁があり、当時の残高見込みは70億円程度であった。こうした財源の状況が、今回の新型コロナウイルス感染症対策を大きく左右したと思うが、今後の財源確保策をどのように考えているのか。特に、歳出面における事業の選択と集中はどのように行うのか」との質問に対し、「今後、県財政は、新型コロナウイルス感染症により、歳入歳出の両面で影響を受けてくると考えている。そうした中で、歳入面においては、国庫支出金や地方財政措置のある県債の活用が必要になってくる。歳出面においては、まずは新型コロナウイルス感染症の影響でやむを得ず実施できなくなった事業について執行の見直しを行い、9月定例会以降に整理していきたい。さらに、県単独の事業についても必要性や効果を抜本的に見直ししていくことで、必要な財源を生み出していく」との答弁がありました。
次に、「新型コロナウイルス感染症の対応に当たる職員が1週間以上職場を空けてしまう状態があるなど、本来業務に支障が生じていると聞いている。これまでの職員定数削減の弊害ではないかと考えるが、今後もマンパワーが必要となる非常事態に備える上でも、職員定数を増やすべきではないか」との質問に対し、「基本的な考え方として、平時には業務量に見合った定数を配置し、今回のような非常事態においては、全庁体制で対応することとしている。職員定数については、行政の効率化により見直しを図るとともに、県民の生命や財産に重大な影響を及ぼすような事案に対しては増員するなど、めりはりをつけて対応していく」との答弁がありました。
次に、「PCR検査について、ピーク時には1日当たり3,400件を見込んでいるが、検査対象者を拡大する方針が示された中で、検査需要の再検討を行う考えはあるか」との質問に対し、「新型コロナウイルス感染症とこれから流行期を迎える季節性インフルエンザの症状は似通っているため、発熱した患者については両方の検査を行う必要がある。そのため、季節性インフルエンザのピークに合わせて検査需要を見直す必要がある」との答弁がありました。
次に、「フェーズ4に向けた病床確保が厳しさを増す中、県からの依頼に応じて病床を増設した医療機関の改修費用は国の補助金の対象外である。病床確保を進めるためには、改修費用を補助すべきと考えるがいかがか」との質問に対し、「病床増のための改修費用に対する補助については、国に対して再三にわたり相談をしているが、既存施設に付属していくものとの考えから国の補助金の対象外となっている。県としては改修費用に対する補助が病床確保において重要であると考えているため、引き続き国に要望をしていく」との答弁がありました。
次に、「本県の最大の課題である病床確保に向けて、新たな専用医療施設の設置を検討すべきではないか」との質問に対し、「新たな専用医療施設の設置に当たっては、看護師をはじめとするスタッフの確保などの大きな課題がある。そうした中、医療機関においては、新型コロナウイルス感染症患者の受入れと一般医療の両立を図っていく必要があるが、院内感染を防ぐ観点からも、ハードルは高いものの、専用の病棟の整備について議論が始まっている。早期の整備実現に向け、しっかり検討していく」との答弁がありました。
次に、「教育のICT化に当たっては、単に端末の環境が整えば良いということではなく、それぞれの市町村に差が生まれないようにすることが重要である。そのためには、県として、教育のICT化を進めていくための総括的な組織を設置して取り組むべきと考えるが、いかがか」との質問に対し、「県教育委員会が所管する県立学校だけでなく、市町村教育委員会が所管する小・中学校も含めた県内全ての自治体において、ICT環境を有効に活用して、しっかりとした教育ができるように、専門の組織を作って取り組んでいく」との答弁がありました。
次に、「新型コロナウイルス感染症を社会的な側面から克服するという考え方がある。デジタルトランスフォーメーションの推進により、利便性の高い社会を創るとともに、都市への集中から地方への分散を図るというものであるが、そのためには、地域における社会全体でデジタルトランスフォーメーションを実装する必要がある。その基本的な計画を定めるべきであると考えるがいかがか」との質問に対し、「デジタルトランスフォーメーションが目指す社会は、社会インフラとしてIT技術を活用することにより、いろいろなものがつながる社会である。こうした社会を実現するため、今年度中に全庁を挙げてしっかりとした方向性を定めた計画を策定したい」との答弁がありました。
続いて、今定例会中の審査経過の概要について御報告申し上げます。
今定例会では、これまでの審査の中で委員から発言のあった意見・提言を取りまとめ、本委員会として執行部に送付する提言を決定しました。
お手元の提言に沿う形で説明いたします。
まず、「1. 総括的な事項」として、「新型コロナウイルス感染症対策については、特別委員会の審査を踏まえ、県民をどう守るかという視点に立った、対応マニュアルを策定すること」との意見がありました。
次に、「2. 組織分野に関する事項」として、「これまでの新型コロナウイルス感染症対応の教訓を生かし、感染症や台風等の有事に備え、職員定数の見直しを図ること」などの意見がありました。
次に、「3. 財政分野に関する事項」として、「財政調整基金については、不測の緊急事態下においても迅速かつ万全の対策が行えるよう十分な基金残高の復元、確保策を計画的に講じること」などの意見がありました。
次に、「4. 情報発信等の分野に関する事項」として、「県ホームページのリニューアルについては、新型コロナウイルス感染症関係の重要な情報を県民により伝わりやすい内容にして、県民が必要な情報を確実に入手できるようにすること。また、行政手続のワンストップ化、ペーパーレス化及びオンライン化等、デジタルトランスフォーメーションに対応すること」などの意見がありました。
次に、「5. 医療分野に関する事項」として、「国の新たな推計に基づき宿泊療養施設の確保に努めること。特に県南部地域での宿泊療養施設の確保に注力するなど、感染状況の実態に合わせて感染者の多い地域に重点的に確保すること」などの意見がありました。
次に、「6. 福祉分野に関する事項」として、「福祉施設間の互助ネットワークの構築及びケアラー支援等に係る事業については、緊急事態下においても即応的な支援が行えるよう関係団体との連携・協力体制を構築すること」などの意見がありました。
次に、「7. 教育分野に関する事項」として、「新型コロナウイルス感染症等の感染を懸念して、一定期間自主的に休んでいる児童・生徒の学びの遅れを取り戻すべく、県は強い問題意識をもって市町村への指導や市町村との連携を図ること」などの意見がありました。
次に、「8. 経済分野に関する事項」として、「県内各地域を含む社会全体のデジタルトランスフォーメーションの実装を加速するために、基本計画を策定すること」などの意見がありました。
最後に、「9. 雇用分野に関する事項」として、「民間企業が安心して雇用を維持できるよう、経営者に対する支援を拡充すること」との意見があったところであります。
その後、次回の審査については、執行部に対して送付する提言への対応について確認することと決しました。また、日程については、12月定例会中に開催することと決した次第です。
以上、審査経過の概要について申し上げましたが、「新型コロナウイルス感染症対策等に関する件」につきましては、今後とも引き続き審査する必要がありますので、閉会中の継続審査事項として御決定くださいますようお願い申し上げまして、本委員会の報告を終わります。

  • 注意:氏名の一部にJIS規格第1・2水準にない文字があるため、第1・第2水準の漢字で表記しているものがあります。

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