トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成30年9月定例会 > 10月1日(月曜日) > 内沼博史(自) > 平成30年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(内沼博史議員)
ここから本文です。
ページ番号:138794
掲載日:2024年10月8日
Q 内沼博史 議員(自民)
平成29年度の県内の野生鳥獣による農作物被害額は、43市町村で被害金額1億1,059万円です。被害面積は49.9ヘクタールに及び、イノシシによる被害額が最も多く、次いで鹿、猿、アライグマ、ハクビシンの5種で、全体の約89%を占めています。アライグマ、ハクビシンについては、県内全域で被害が出ていますが、山間部を抱える中山間地域においては、イノシシ、鹿の被害が特に多く、農作物は無論のこと、整備した森林の樹皮を剥がしたり荒らされる被害も出ています。飯能市においては、住宅地の近くで、車と鹿の接触事故なども見受けられます。
鳥獣被害は、農業者や森林所有者にとっては経済的損失のみならず、営農意欲や経営意欲の減退、耕作放棄地や森林の荒廃など、被害額以上の影響を地域に及ぼします。山間地域を抱える自治体においては、地元猟友会に捕獲を依頼したり、わなの設置、防護柵の設置などの対策を行っていますが、猟友会員の高齢化や後継者不足に悩まされています。
私の地元飯能市では、有志の市職員70人による市鳥獣被害対策隊を組織し、被害対策に取り組んでいると聞いております。また、山間地域の原市場地区では、自治会の有志で猿対策協力隊を結成し、対策を行っています。全国でも同じような悩みを抱えている自治体は多く存在すると思います。
長野県伊那市では、昨年度からくくりわなにセンサーを取り付けることにより、獲物がかかったわなの位置を的確に把握し、猟友会メンバーの見守りの負担を減らすことができ、さらにわなを多く仕掛けられ、わなに獲物がかかった情報がすぐに入るなどのメリットがあるということで、IoTを活用した鳥獣被害対策を実施していると聞いております。埼玉県においても、人手不足を補い、業務の効率化を図るため、IoTを活用した鳥獣被害対策に取り組むべきだと思います。
そこで、現在の埼玉県の鳥獣被害対策の取組状況と今後の対策について、IoTの活用も含め、農林部長にお伺いします。
A 篠崎 豊 農林部長
野生鳥獣による農作物などへの被害対策は、農作物や木材の生産面のみならず農山村の活力を維持する上で、大変重要と考えております。
このため、県では市町村やJA職員などを対象にした鳥獣害防止指導者育成研修を実施し、これまでに209人の方に受講していただきました。
研修を受講された方々は、鳥獣の侵入を防止する電気柵の設置指導など、各地域で鳥獣被害対策の先頭に立ち取り組んでいただいております。
また、国の鳥獣被害防止対策交付金を活用し、市町村やJA、猟友会などで構成する鳥獣害対策協議会が取り組む捕獲わなの購入や、シカなどを捕獲した経費などを支援しています。
さらに、森林においては、シカの侵入を防ぐ防止柵やクマの皮はぎを防ぐ樹皮ガードの設置などを、平成29年度までに飯能市や秩父市などの山間部において1,592ヘクタール実施しました。
鳥獣被害対策の基本は「食わせない」「住まわせない」「捕獲する」の3つです。これらの対策を組み合わせ、地域全体で取り組むことが重要でございます。
しかしながら、議員お話しのとおり、農業者の高齢化や農山村の人口減少に伴い、対策作業員の負担を減らすことが課題となっています。
このような中、秩父地域鳥獣害対策協議会では秩父農林振興センターや農業技術研究センターと連携し、IoTを活用した囲いわなによるシカなどの捕獲試験に取り組んでいます。
この囲いわなは、わなに設置した赤外線カメラの画像が手もとのスマートフォンでリアルタイムに確認でき、さらにはスマートフォンの操作でわなの扉を閉めることができます。
平成29年度は秩父市荒川地区でシカの捕獲試験を行い、平成30年度は皆野町でイノシシの捕獲試験を行っています。
IoTを活用した鳥獣被害対策は、対策作業を行う者の負担を減らす上で有効と考えており、今後とも、関係部局と連携して対策に取り組んでまいります。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください