トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成28年2月定例会 > 平成28年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (新井 豪議員)
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掲載日:2023年5月16日
Q 新井 豪議員(自民)
CCRCとは「Continuing Care Retirement Community」の略称であります。高齢者の継続したケアという理念に基づき、加齢とともに変わる高齢者ニーズに応じて、住居、生活、介護、看護、医療、それぞれのサービスを総合的に提供していく施設のシステムです。CCRCの歴史は百年以上と古く、アメリカでは1970年代から急増して現在では2,000か所以上存在し、およそ75万人が生活しております。
このCCRCには、これまでの高齢者施設と違う大きな特徴があります。健常な方たちが共同住宅形式で食事や娯楽を共にし、健康維持のための保健、医療サービスが提供される自立型住居、生活支援や介護支援が必要になったときに移り住む支援型住居、常時介護が必要になり、24時間体制の看護・医療サービスが提供される介護型住居という健康レベルに応じて3つの住まいが用意されているという施設であります。
我が国では、このたびの地方創生の目玉の一つとして、内閣官房のまち・ひと・しごと創生本部において日本版CCRC構想有識者会議が開かれました。構想の基本コンセプトや具体像が取りまとめられ、退職した高齢者の地方移住の受皿となる日本版CCRCの正式名称「生涯活躍のまち」として、このCCRC構想をそれぞれの地方版まち・ひと・しごと創生総合戦略に盛り込むことを国が支援する地方自治体の条件としたのであります。
ちなみに、この発表が昨年8月のことでありますが、12月定例会で提示された埼玉県の総合戦略には「CCRC」の文字は盛り込まれておりませんでした。元気なシニアの移住を受け入れることにより、地域の消費需要が喚起され、雇用を創出し、多世代との協働を通じた地域の活性化が実現するものと考えられ、国の試算によると100人の移住が実現した場合、年間約1億8,000万円の経済効果があるとされております。
さらに、高齢者移住による受入れ自治体の財政への影響が心配されるところでありますが、新たな法改正によって、このようなサービス付き高齢者向け住宅も特別養護老人ホームなどへの入所同様に、介護や医療保険の保険者を引っ越し前の居住地から変更する必要のない住所地特例が適用されるようになりました。
こうした背景を受けて、姉妹都市関係にある豊島区と秩父市との交流の中で、既に区内には新たに特別養護老人ホームを建設する土地がない豊島区と高齢者が元気で健康に暮らすまちを目指す秩父市との間で、豊島区の高齢者を秩父市が受け入れる日本版CCRCの整備を目指すとの合意が交わされました。
内閣官房のまち・ひと・しごと創生本部の調査によると、この秩父市を含め、山梨県や長野県など全国の約1割の自治体が関連の取組を推進する意向との結果が公表されました。県内では、秩父市、和光市、坂戸市、越生町、鳩山町、小鹿野町となっておりますが、我が埼玉県は推進する自治体に手を挙げていないのであります。
そして、先日開催されたまち・ひと・しごと創生総合戦略特別委員会において、我が会派の武内議員がこのCCRCについて質問したところ、「これは市町村でやるべきもの。もし市町村でやるならその支援ができるか検討したい」と積極性に欠けると感じられる答弁でありました。さらに武内議員が「県として推進すべきではないのか」と詰め寄ったところ、やっと「市町村を支援していきたい」という答えが返ってきたのであります。都内からあふれる健康なシニアを受け入れ、その大きな消費需要によって、若者の雇用を作るというこの構想に対していささか消極的に見えます。シニア革命を標榜する行政とは思えない姿勢なのではないでしょうか。
そこで、お伺いいたします。まず、このCCRC構想に対して、県は推進するとしても積極的なのかどうかを明言していただき、県として今後CCRC構想を進める市町村に対してどのように支援をしていくのか、また、県としてCCRCに対する市町村の動向をどこまで把握されているのか、さらに県内の他の市町村にもCCRCの取組を広げていくという考えはあるのか、企画財政部長にお伺いいたします。
A 中原健一 企画財政部長
まず、県ではCCRCを積極的に推進していくのかについてでございます。
国は平成27年12月に「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を改訂し、日本版CCRC構想を推進する考えを公式に位置づけました。
県では、現在ご審議いただいております「埼玉県まち・ひと・しごと創生総合戦略」において、東京都区部への一極集中の克服のための施策の一つに「高齢者等の移住の支援」を掲げCCRCの取組を推進することとしております。
国は、CCRCに取り組む市町村において有料老人ホームを整備する際の県への事前届出を不要とするなど特例措置を講ずる地域再生法の改正案を国会に提出しているところです。
今後、日本版CCRC構想が具体的に制度化されることから、その状況を踏まえつつ県としても希望する市町村の意向に応じて積極的に支援を進める考えでございます。
次にどのように支援していくのかについてでございます。
現在、県内でCCRCの検討が最も進んでいる秩父市においては、姉妹都市関係にある豊島区と個別に議論している点に特徴があると承知しております。
1月20日に豊島区が公表しました区民アンケートでは、回答者の約7%が秩父市への移住に前向きな回答をされており、移住する側からも相手のイメージを持ちやすくなっているというふうに考えてございます。
県としては埼玉県内への移住を推進する県外の市区町村があれば、県内市町村とのマッチングを図り、支援してまいる考えでございます。
また、現行制度で介護保険の住所地特例が適用されるのは、移住先の有料老人ホームなどに入所して介護、食事等のサービスを受ける場合に限られております。
CCRCは本来的には健康でアクティブなシニアの移住促進を中心とするものでございますが、こうした方が定住後に介護等の支援が必要となった場合は住所地特例は適用されず、定住先の市町村が費用を賄うこととなるという課題がございます。
国は、調整交付金等で配慮することを検討しておりますが、県としましては全国知事会などを通じて住所地特例のさらなる拡大など制度改正を引き続き国に要望し、市町村がCCRCに取り組みやすい環境づくりを支援してまいります。
次に、県としてCCRCの構想に対する市町村の動向をどこまで把握しているかについてでございます。
平成27年11月の調査で、推進意向がある市町村は全国で243団体で、本県では秩父市、和光市、坂戸市、越生町、鳩山町、小鹿野町の6市町です。
現状としましては、例えば、秩父市では平成27年10月に国の地方創生先行型交付金の上乗せ交付分の採択を受け、CCRCの導入に向けた課題の検討などを行っているところです。
また、越生町も同交付金を活用し、移住の基礎調査などを実施しております。
最後に、県内の他の市町村にもCCRCの取組を広げていく考えはあるかについてでございます。
今後、改正地域再生法が成立し、希望する市町村が地域再生計画及び生涯活躍のまち形成事業計画を策定することでCCRCが制度的に実行段階に入ります。
県としては、現在推進意向のある市町の検討を支援し、その状況を県内の他の市町村に情報提供し、広げてまいります。
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